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只見線の復旧と未来

2011年の集中豪雨災害による橋梁流出などで現在運休区間になっている会津川口→只見区間2021年には全線復旧再開することで沿線や鉄道ファン、写真家など幅広く盛り上がっているが、それ以上にタイムラインを賑わせている話題がある。
それが2020年3月に長年愛されて来たキハ40が運用離脱、すなわち営業運行から外れキハE120などに入れ替わることで巷を大きく騒がせている。

なぜ入れ替わるのか??

只見線に使用されているキハ40系はバラ付きはあるものの、1986年に製造され、約35年経過しており減価償却は完了しているのは勿論、部品供給的にも更新の時期が来ており、旧車をお持ちの方なら分かると思うが、維持費も入れ替えた方がコストが下がり、そこは民間企業のJRなら費用対効果を考えるのもしかりだろう。また、沿線住民も高齢化しており、全線開通にあたりトイレを始めバリアフリーも不可欠なこととも理由だろう。

只見線を地元が盛り上げる意味

只見地域へは福島側からは会津坂下インターから国道252号線で向かうのだが、いかんせん一本道しかなく、アクセスが良いとはお世辞にも言えない。
また、通り抜けるにも途中、六十里超という険しい峠を越えねばならず小出までは90kmほどあり、冬は冬季閉鎖されることから寸詰まり観光地でもある。実は他にも寸又峡や湯西川など同じ行程を往復しなければならない観光地はツアーなども組みにくく旅行者に嫌遠されがちという特徴があり、観光施設を建設するにも大きな投資リスクになってしまう為、ハードよりもソフト面のテコ入れが有効視されている。

沿線の取り組み

先述のように現在、只見線の中間区間は不通になっており決して本数も多いとは言えないが、補完する形で鉄道とバスを組み合わせたツアーなど募ったり沿線フォトコンの開催、直近では各宿泊施設が鉄道宿泊泊に対しキハ40系デザインの湯呑みや、只見線グッズの進呈、また最も有名な道の駅みしま宿から第一橋俯瞰など撮影施設の整備にも力を入れているが、ひとつ欠点がある。

それは、キハ40系というブランドを強烈に出し過ぎて、只見の風景イコールキハ40系という直結方程式を作り上げてしまい、たまたまキハ40系の引退が今年に重なってしまったことから、キハ40系または只見線の車両を抜いた景観が根付いてないことも現実である。

鉄道を抜いた只見の魅力

只見線沿線には、鉄道のほか沿線には三島桐箪笥、あかべこ、柳津ソースカツ丼などがあるが、どれも会津を訪れる観光客にネームバリューが浸透しているかと言われるとあやふやである。

赤べこは実は柳津町の発祥ではあるが、中通りの郡山市にデコ屋敷があること、はたまた磐越道の磐梯山SAに大きなベコがいることから、柳津町発祥なことは福島県民でさえ知らない人がいるレベルであるし、柳津ソースカツ丼も会津若松とは卵とじにしてある違いがあるのだが、こちらもほぼ浸透しておらず、只見線以外のPRがおろそかな面もあるのではないか。

 これらを表に出すためにも定期的なフードフェスの開催、磐梯山SAや阿賀野川SAなどへの只見線地域へのPRも今後視野に入れねばならないと思う。


只見線の乗客の今後

気仙沼線など恒久BRT化している中、ローカル線の只見線がなぜ復旧活動をしているのか。それは先述の通り国道252号線の冬季閉鎖である。国道252号線の別名は雪わり街道と呼ばれる通り、標高の高い山あいを通り冬は深い雪に閉ざされるのだ。ここを車両で迂回しようとすると、長岡や新津を通らなければならず、150kmほど大きな迂回を余儀なくされる。
 ただ、この点では矛盾もある。
実は国道252号線に並行して国道289号線、八十里越道路の建設が進み、早くて2023年すなわち只見線全線復旧の2年後には開通し、只見町から三条市まで45分、現在の予定では通行無料、はたまた通年通行を可能とし、鉄道の所用時間と逆転効果を引き起こしてしまう。

はたまた、只見線の玄関口はもとより、車で来て鉄道乗車を楽しんでもらおうにも長い区間で只見から大白川まで1駅30分ほどあり、車を停めた出発点に戻ろうにも時間と労力を要し、車窓から鉄道を撮影して帰る観光客が今後間違いなく増えるであろう。
この為にも、立山黒部アルペンルートのようにマイカー回送サービスや鉄道利用車のみを対象とした片道バス送迎サービスなども視野に入れるのも鉄道利用促進になると思う。

キハ40系の今後

実は現況のところキハ40系の今後は未定な部分が多く、鉄道博物館に保存されるのか、只見線沿線シンボルとして保存されるのか未定な部分も多いが、筆者としては一編成だけでも良いから定期的に観光運用してほしいところである。
また、只見線を通して地元施設や住民とのつながり、はたまた見知らぬ観光客やカメラマン同士の繋がりをもたらしたことから、この繋がりを消さない為にも今後の観光誘致に期待したいところである。

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