(創作物語)聖ヴァンパイア~呪われし運命~ その22 『魔女アデリーヌの最期と、最後の別れ』

前回までのあらすじ

魔女アデリーヌは、騎士ヨーセフ、その後巨大なドクロモンスターに憑依し、ナイルス達を更に追い詰める。しかしそこにあの犬のミンミと一緒にいた老人が現れるが、果たして、、、、、

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 老人「始祖ネーブロス、、、、、久しくその名を聞いたな、、、、、、、」

 老人は近くに倒れている騎士ヨーセフのかけていたネックレスを取り、握りしめる。老人の体はみるみる若返り、初代ヴァンパイアの始祖ネーブロスに変貌を遂げる。

 始祖ネーブロスは、圧倒的な力と魔力でドクロモンスター(憑依)を押しのける。

 始祖ネーブロス「しかし、お前にとどめを刺す者は私ではない。お前は、私の中で永久に滅するのだ」

 そう言うと、始祖ネーブロスは、巨大なドクロモンスター(憑依)を軽々と持ち上げて、天に放り投げる。全身に魔力を集中させ、一気に放出させる。ドクロモンスター(憑依)は粉々に砕け、大地に粉として降り注ぐ。

 はたまた精神体となった魔女アデリーヌ。行先は、そう始祖ネーブロスの体である。

 始祖ネーブロス「(さあ、こい、、、、)」

 魔女アデリーヌが始祖ネーブロスの体には入る前に、始祖ネーブロスは力の大部分をナイルスに渡すことに。ナイルスの額の十字傷が光出し、始祖ネーブロスの力が、ナイルスへと流れてゆく。

 ナイルス「、、、、、貴方は、、、、」

 始祖ネーブロス「お前は、ペデルセン族の子孫であるな。あれから数千年、、、、。我が血が絶えていなくて良かった、、、、、。魔女アデリーヌは私の体と共に、お前が消滅させるのだ。後は頼んだぞ、、、、、」

 老人から放たれたまばゆい光が、ナイルスを包み込む。ついに、聖ヴァンパイアの誕生だ。

 始祖ネーブロスの体をのっとった魔女アデリーヌ。

 始祖ネーブロス(憑依)「ついにやったぞ!!!完全無欠とはこのことよ!!!」

 聖ヴァンパイア・ナイルス「お前だけは、、、、、、、始祖ネーブロス様の意志は、僕が継ぐ!!!!貴様は、ここで滅しろ!!!!」


 最後の一撃

 始祖ネーブロスの体をのっとった魔女アデリーヌ、そして始祖ネーブロスから聖ヴァンパイアの力を受け取ったナイルスの最終決戦が始まる。

 始祖ネーブロス(憑依)「素晴らしいぞ、この湧き上がる魔力と力は、はぁーっはっは!!!」

 魔法陣を張り始める始祖ネーブロス(憑依)。魔法陣に触れた仲間のアニッサ、オマリ、ドラゴン、騎士ヨーセフも、始祖ネーブロス(憑依)に操られ始め、武器を持ち覚醒したナイルスに向かってくる。

 聖ヴァンパイア・ナイルス「フレーゲル!操られた仲間の相手を頼む、、、、」

 フレーゲルが4人を相手しているが、多勢に無勢。やがて押しきられそうになる。

 フレーゲル「ぐふっ、、、、。流石にキツイ、、、、」

 始祖ネーブロス(憑依)「さあて、聖ヴァンパイアとやらの実力を見せてもらおうじゃないか?!」

 始祖ネーブロス(憑依)は自らの爪を魔力の矢に変え、一斉にナイルスに向けて飛ばす。

 それを瞬間移動で回避してゆく聖ヴァンパイア・ナイルス。

 始祖ネーブロス(憑依)「生き残った者がこの世界を好きにできるのだ!!!」

 聖ヴァンパイア・ナイルス「、、、、、違う、、、、共存こそが、我々ヴァンパイアの使命だ!!」

 始祖ネーブロス(憑依)「生き物は所詮我々の餌なのだよ!!!」

 巨大なドクロモンスターの骨を集め、大きな斧を作り出した始祖ネーブロス(憑依)。それを持ち、大きく振りかぶる。その速度たるや尋常ではない速度でナイルスに向けて振り下ろされる。

 始祖ネーブロス(憑依)「大人しく、消えちまえ!!!」

 両手でその巨大な斧を受け止める聖ヴァンパイア・ナイルス。次第に地面が陥没してゆく。

 始祖ネーブロス(憑依)「このまま地獄の果まで落ちてしまえ!!!」

 聖ヴァンパイア・ナイルスは受け止めるだけで精一杯のようだ。近くには、あの犬のミンミと一緒にいた老人が倒れていた。
 
 聖ヴァンパイア・ナイルス「、、、、僕は、、、ここで、、、、終わるのか、、、、?」

 やがて受け止めきれなくなった斧が聖ヴァンパイア・ナイルスの体を真っ二つに。その瞬間、爆発が起こり、辺りは煙に巻かれる。

 フレーゲル「ナイルスーーーーーー!!!!!、、、、、、畜生!!!!」


 最後の覚醒

 やがて、煙が消え、中から一人の男の影が露わになる。そうだ、あの聖ヴァンパイア・ナイルスだ。しかし、様子が少し違う。全身ツルッとした見た目。真っ白い肌に透き通るような肌色。体毛は全く無く、まるで異星人のようである。

 ナイルス(覚醒)「僕は、、、、、死んだのか??」

 心の中にあの老人の声が聞こえてきた。

 老人「その姿が完全なる聖ヴァンパイアだ。始祖ネーブロスの力はすべて引き出しておいた。さあ、目の前の敵を討ち滅ぼし、魔女アデリーヌを封印するのだ。今のお前なら、抜け殻となった始祖ネーブロス(憑依)は問題ではない」

 始祖ネーブロス(憑依)「な、何なんだ?お前は、、、、。まあ良い、もう一撃を食らわせるだけ!!!さっさと地獄にいけ!!!」

 またもあの巨大な斧を作り出し、ナイルスに向けて振り下ろす。しかし、その巨大な斧を片手で軽くさばき打ち返す覚醒したナイルス。

 聖ヴァンパイア・ナイルス(覚醒)「もう、誰も、傷つけさせやしない、、、。始祖ネーブロス様、、、、、貴方の願い、とくと成就させます、、、、」

 全魔力を拳に集中させる聖ヴァンパイア・ナイルス(覚醒)。

 始祖ネーブロス(憑依)「こざかしい!!!我が魔力を持って、消え去るがいい!!!」

 2つの黒い炎と白い炎が激しくぶつかり合い、辺りは一瞬で灰と化してしまう。

 始祖ネーブロス(憑依)「どうした?それが全魔力か?私はまだ半分程度なのだがね、、、クックック」

 更に魔力を上げて、黒い炎が白い炎を飲み込まんとしていた。片足をつく、聖ヴァンパイア・ナイルス(覚醒)。

 聖ヴァンパイア・ナイルス(覚醒)「ぐっ、、、、こんなところで、僕は、、、、」

 いくつもの顔を思い出していた。一緒に戦った仲間の、ヴァンパイアハンター、オマリ、フレーゲル、ネヴィル、犬のミンミ、騎士ヨーセフ、ドラゴン、そしてアニッサ。もう駄目だと思ったその時、始祖ネーブロス(憑依)の脇から、剣撃を食らわせる者がいた。あの騎士ヨーセフだ。

 騎士ヨーセフ「貴様だけは、、、、我が祖母を、、、、、返してもらう!!!」

 一瞬のスキを見逃さず、全魔力を一点に込め聖ヴァンパイア・ナイルス(覚醒)がとどめを刺すことに成功。

 

 聖ヴァンパイア・ナイルス(覚醒)「、、、、お、、、終わった、、、」

 その場に倒れ込む、聖ヴァンパイア・ナイルス(覚醒)。

 空には眩しく大きな太陽が照りつけていた。


 戦いの後に、、、、、

 やがて、消滅した始祖ネーブロスの体は雲となり、人の形を取り始める。

 片目でそれを見ていたナイルス。魔女アデリーヌが消滅したことで、覚醒の力も消えていた。

 何とかその場に立ち上がるナイルス。

 人形をした雲「良くやった。魔女アデリーヌを始祖ネーブロスの中に閉じ込め、それ毎消滅させるとは、お前の活躍は評価に値する」

 ナイルス「貴方は、、、、、、、」

 人形をした雲「私は、お前たちを作った創造主だ。あの魔女アデリーヌは、私の手に負えなかったのだ、、、、。本当に申し訳ないことをした。今回はお前の功績を称えるとともに、何かひとつだけ願いを叶えようぞ」

 周りを見渡すと、そこにはナイルス以外の生き物は全くいなかった。魔女アデリーヌとの戦いですべての生物は死に絶えていたのだ。

 ナイルス「、、、、、、、」

 人形をした雲「そうか。ならば、この大地の生き物を全て再生しようではないか。ただし、条件がある」

 ナイルス「それは、何ですか?」

 人形をした雲「お前は最後のペデルセン族のヴァンパイアだ。お前が次の始祖ネーブロスとなり、この世界を見守ってゆくのだ。2度と魔女アデリーヌのような存在が現れぬように」

 ナイルス「あの、老人の中に閉じ込められるのでしょうか?」

 人形をした雲「あの老人の中には別世界があり、こちらの世界と繋がっているのだ。お前は特別にあちらの世界とこちらの世界を行き来出来るようにしてやろう」

 ナイルス「私からも条件を出してもよろしいでしょうか?」

 人形をした雲「何だ?」

 ナイルス「あらゆる生き物とヴァンパイアが共存できる世界にしてほしいのです」

 人形をした雲「、、、、、わかった。お前の願いとなるように、次なる世界はそうしよう」


 フッと意識が飛ぶナイルス。

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