(創作物語)聖ヴァンパイア~呪われし運命~ その19 『ペデルセン族とドラゴン族』

 前回までのあらすじ

 4つの国の中心にある大陸ネバドニアのあたりで、空間に亀裂が入り始めていた。その空間から謎の声と謎のヴァンパイアが会話をしていた。謎のヴァンパイアは魔女アデリーヌがしていたとされる指輪を探しに行くことに。

 一方、ペデルセンの縁の地に、来てしまったナイルス、フレーゲル、オマリの3人。塔の前に来て、老人と犬のような生き物ミンミから塔に挑戦しろと言われる。そこで、ナイルスとフレーゲルは、塔に挑戦することになるが、果たして、、、、、

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 魔女の罠と、利用される者


 ナイルス「あの人は誰だろう、、、?」

 塔の前まで歩いていくと、どこかで見た顔の人物が横たわっている。

 フレーゲル「、、、、、!!!父さん!!」

 走り出すフレーゲルとナイルス。しかし、、、、、。

 ネヴィル「フレーゲル。それ以上近づくな、、、。私が、魔物ノメルグレウスと共に消えたのは、、、、」

 その時、塔からある人物が出てくる。

 全身を禍々しいオーラで包み込んだその姿は、正しく魔女。

 魔女アデリーヌ「さて、そんなに驚いた顔しなくていいわよ、私に会えただけで貴方達は運がいいわ。うふふふふふ」

 不気味に笑う魔女アデリーヌ。

 ナイルスとフレーゲルはその場を一歩も動けないでいた。魔女アデリーヌはナイルスが持つ死の聖典に目をやると、こう告げる。

 魔女アデリーヌ「貴方達二人をどうこうするわけではないわ。ただ、、、、少しばかり力を貸してほしいの、、、、、」

 ナイルス達に徐々に近づく魔女アデリーヌ。

 ネヴィル「ま、、、、、魔女め、、、、!」

 ネヴィルはとっさに行く手を阻もうとしたがネヴィルもまた身体が動かないでいた。

 魔女アデリーヌ「うふふ、あなた達には、少々私のコマとなっていただくわ。始祖ネーブロスの復活だけは止めないとだわね。そうね、あなた達に良いことを教えてあげる。この塔の頂上に何が封印されているかわかる?」

 フレーゲル「まさか、、、、、」

 ナイルス「始祖、、、、ネーブロス」

 魔女アデリーヌ「あら、ご名答だわ。私の失った「指輪」さえ戻れば、、、(そして、指輪が戻りし時、始祖ネーブロスの力を我に、、、)」

 魔女アデリーヌは呪文を唱えると、地面あたりから岩が出現し、ナイルス、フレーゲル、ネヴィルの3人の身体を、岩鎖が締め付け始める。もがき苦しみ始めるナイルス達。やがて、ナイルス、フレーゲル、ネヴィルの3人は意識を失う。

 しばらくして目が覚めるナイルス、フレーゲル、ネヴィル。その目には、真っ赤な刻印がされていた。ナイルス達3人は魔女アデリーヌの配下に下ることに。

 

魔女アデリーヌの躍進

 魔女アデリーヌ「さて、お目覚めはいかがかしら?」

 ナイルス(操)「はっ、」

 フレーゲル「仰せのとおりに、、、、」

 ネヴィル「魔女アデリーヌ様のお力添えとなれるなら、喜んで、、、、、」

 
 魔女アデリーヌ「うふふふ。うまく行ったみたいね。まずはお前たちに私の『指輪』を探してきてもらおうかしら」

 魔女アデリーヌは水晶玉を持ち出し、指輪の在り処を映し出した。そこには、大きなドラゴンと騎士の姿が映し出されている。

 魔女アデリーヌ「まずはあのドラゴンと騎士が持っている私の指輪を取り返しに行くのよ、わかった?」

 ナイルス(操)達3人は、すぐさまそのドラゴンと騎士がいる場所に向かうことに。
 
 塔の前で一人佇む魔女アデリーヌ。

 魔女アデリーヌ「しかし、我ながらうまく行ったものだわ。まさか死の聖典を持った者が向こうから出向いてくるとは、全ての運が巡ってきたわね。うふふふふふ。死の聖典、、、、」

 

 戻った3人と、裏切り

 老人と犬のミンミのところに戻ったナイルス、フレーゲル、ネヴィル。犬のミンミだけがナイルス達の変化に気づいているようであった。

 直ぐに魔女の指輪を探しに行くことになったとオマリに伝えるナイルス達。

 ナイルス達が出発してから、犬のミンミがナイルス達が魔女アデリーヌの支配を受け操られていることをオマリに明かす。

 犬のミンミ「、、、、、ということだ」

 オマリ「そんな、、、その魔女アデリーヌが指輪を手に入れたら、、」

 老人「この世界は破滅、、、、、じゃ。ミンミ
、そのオマリと一緒にナイルス達を追いかけるのじゃ」

 オマリ「で、その魔女アデリーヌの支配を解く方法とか無いのかよ?」

 老人「人間の血じゃ。しかし、人間の血は、彼らペデルセン族にどのような影響が出るかわかっておらん」

 オマリ「で、その魔女アデリーヌの指輪がある場所は?そのドラゴンと騎士がいるところか?」

 オマリ「わかった!ありがとうな、叔父上!!」

 老人「、、、、、、」

 走り出したオマリを見ながら、犬のミンミが話し出す。

 犬のミンミ「教えなくていいのか?」

 老人「ああ。まだ黙っておくのじゃ、、、、。それに今の魔女の力なら、まだワシにも抑えられる、だがあの指輪が戻るとなると、ワシにも抑えられない、、、、」

 犬のミンミ「あんたは、人が良すぎるんだよ。あんな奴ら放っておけばいいのに」

 老人「あ奴らが最後の望みなのじゃ。魔女アデリーヌはまだ気づいておらん。そして、、、この中に居るのだ。私の中に、、、もう一人のネーブロスが」

 犬のミンミ「、、、、、俺は、奴らに同行し、監視する。あんたがネーブロスに支配されるのが先か、魔女アデリーヌに吸収されるのが先か、見ものだぜ」

 老人「ふっ、アホなことを言いなさるな、、、。さあ、彼らを追いなさい」

 犬のミンミは、そう言うと先に出発したオマリの後に追いつくために走り出す。

 

 人間界での戦い

 ちょうどその頃、先に出発していたナイルス、フレーゲル、ネヴィルの3人は、魔女の持っていたとされる指輪を探しに人間界に来ていた。

 そして、ドラゴンと騎士が居るとされる山の頂上にそびえ立つ神殿に入ってゆく。

 王座に座る騎士、そして横で大きな尻尾を巻いて眠っているドラゴン。重そうな大剣を右手に携え、目前まで来たナイルス達に問う。

 騎士「こんな昼下がりに、、、、、貴様らヴァンパイアがこの居城に何用だ?!」

 ドラゴンもこの殺気に眠りから覚め、ナイルス達を睨みつける。

 ナイルス「、、、、お前が持つ、首から下げているその指輪をよこせ」

 騎士「けっ、ヴァンパイア無勢が、生意気な口をきくじゃねぇか、、、、この聖騎士ヨーセフがこの聖剣エクスカリバーで、貴様らを消してやる」

 ドラゴン「まて、ヨーセフ。貴様ら、ただのヴァンパイアではないな、、、、?その目の刻印!!!ヨーセフ!コイツラは操られているぞ!!!ここは、我がブレスで焼き尽くしてくれる!!!」

 ドラゴンは聖なるブレスでナイルス達を攻撃するも、ナイルス達はあと少しのところでかわし切る。

 ナイルス「あの方に、、、、、お前の持つ指輪を、、、、」

 フレーゲル「その指輪を、、、、、、」

 ネヴィル「よこすのだ、、、、」

 魔女の魔力により、身体能力が格段に上がったとされているナイルス達は、あっという間に騎士ヨーセフとドラゴンに迫りくる。

 ドラゴン「仕方ない、、、ヨーセフ!その指輪を天に掲げるんだ!」

 騎士ヨーセフは、天に指輪を掲げる。すると、魔法のベールがヨーセフとドラゴンを包み込んだ。

 その時、稲妻が走ったかの衝撃が当たり一面に走る。

 ドラゴン「まさか!この魔力は、、、、、くっ、バレたか!!!」

 なんといつの間にか、目の前に、あの魔女アデリーヌがいるではないか。

 魔女アデリーヌ「ご苦労ご苦労。ついに指輪を使ったわね。そちらから場所を教えてくれるなんて、感謝しますわ〜。そうそう、その指輪よ。探していたのは」

 くるりと身をかわし、騎士ヨーセフとドラゴンの攻撃を回避し、指輪に軽くタッチする魔女アデリーヌ。

 スッと魔女アデリーヌの指におさまる指輪。魔女の身体が輝きだし、より強大な魔力を帯びるように変化してゆく。

 そこへようやくたどり着いたオマリと犬のミンミ。

 犬のミンミ「遅かったか!!!あ、、、、あれは、、、、まさか、、、」


 
 魔女による虐殺

 オマリ「どうしたっていうんだよ?!」

 犬のミンミ「戻っている、、、、昔の邪悪な魔女に、、、。今すぐここを逃げるんだ!!!」 

 オマリ「ナイルス達はどうするんだよ?!置いていくのかよ!?」 

 犬のミンミ「ナイルス達への支配は、人間の血があればもとに戻せる!今は自分の身を考えるんだ!!!」

 騎士ヨーセフとドラゴンも犬のミンミとオマリと共に逃げ出すことにする。

 その場を猛ダッシュで逃げ去る犬のミンミとオマリ、そして騎士ヨーセフとドラゴン。

 一旦、四人は、老人のところに戻ることにする。

 

 

 

 

 

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