(音楽+創作物語)Medeneraを聴きながら 『二つの月』

久しぶりのこのお題。音楽を聴きながら創作物語を書いてゆく(/・ω・)/

 Medeneraが【静かでアトモシーな雰囲気で悲しい感じの曲調】なので、物語もそういう方向性で( `ー´)ノ

 

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 その大地に立つ尽くす一人の女性がいた。

 名を『ユシハ』という。今日も村の一番高い所にある祈りの場で祈りをささげる。その像は湖畔の精霊【ケティラ】。太古の昔から浄化と繁栄をもたらす精霊と信仰されてきた。今日も精霊【ケティラ】に向かって深く頭を下げ、祈りの言葉を捧げる。

 その大地は、数千年前の大洪水で汚染しきっていた。苦しむ村人は今日も村の浄化作業に追われる。その村では、汚染された野菜を食べて生活を送っていた。汚染された野菜を食べ、20歳辺りで亡くなることが多いこの村。村で汚染されていない食べられる野菜を育てているのだが、一向にその野菜は育たない。

 彼女の右手にあるコアはその大地を癒すことのできる唯一の手段。だが、まだ彼女はその浄化の力が使えない。祈りの巫女としてのコアを使う力。

 ユシハ「・・・・・・」

 彼女には、1人の家族がいた。名をルシアという。汚染された野菜を食べても、体内で浄化できないこの辺りでは特殊な人間【劣人間】として、ただただ食料を食い尽くす存在として、ルシアは村からは邪魔者扱いされていた。劣人間に指定された者は、村の掟で『処分』されることが決まっていた。

 ルシア「お姉ちゃん、、、、、もういいよ。皆に、苦しみを広げるだけだから・・・・・」

 今日もルシアは銀色の涙を流す。汚染された水が体内に入り、涙と共に流れてくるのだ。

 ユシハ「・・・・今日も、行ってくるわ。私の可愛い妹・・・・。静かに寝ているのよ」

 静かにその銀色の涙を拭き、顔を奇麗にしてあげるユシハ。妹が涙を流す顔を見るこの時が一番つらい。

 ルシア「・・・・うん」

 家を出るユシハ。今日も家で横になっているルシアを、村人からの冷たい視線から妹を守りながら、祈りの巫女としての修行を重ねる。

 ユシハ「(あの術が完成すれば、私の右手のコアの癒しの力も解放される。そしてルシアを助けることが出来る、、、、、)」

 代々祈りの巫女としての続いてきたユシハの家系。村長は、この村の運命を、行く末をユシハにかけて今まで祈りの巫女としての成長を見守ってきた。しかし、村長は気付いていた。ルシアの左手にある傷がこの村を救う事になるかもしれないという事を。だからルシアを『処分』せずに生かしておいたのだ。

 祈りの巫女としての修行の完成が近づいていた。赤い月と蒼い月が一直線で並ぶその時、祈りの巫女としての力が最大化される。村長がユシハとルシアを家に呼ぶ。

  村長「今日がその日じゃ。赤の月と蒼の月が一直線に並ぶその時、巫女の力て精霊ケティラを呼び出し、この大地を浄化してもらうのじゃが、、、、、」

 村長は何故か目を伏せがちで語りだす。そして、祈りの巫女としてユシハと共に隣にルシアも居るではないか。

 村長は全てを話さずに、ユシハへの祈りの巫女としての儀式を始めた。精霊に捧げる台座の前で、祈りの巫女として力を発揮するユシハ。右手のコアが赤く光りだす。

 まるで赤い月と呼応するかのようにユシハの体は赤く光りだす。そして、村長はユシハに謝るように語りだす。

 村長「すまない、ユシハ。私を許しておくれ、、、。このルシアがこの村にとどまっていたほんとうの理由は、、、、」

 村長が持っている杖をかざすと、ルシアの左手の傷が蒼く光だし身体全体が蒼く光りだす。

 ユシハ「あなた、、、、ルシア!!!」

 そして、ついに目の前に精霊【ケティラ】がその姿を現す。

 精霊ケティラ「お前たちの望みは、この大地の浄化だろう。ただし、お前達のうちどちらかの命を貰い受けなければならぬ。さあ、どちらの命を差し出すのか、決めよ」

 村長「その命、私めどもでは駄目でしょうか?!」

 精霊ケティラ「ならぬ。祈りの巫女のコアを持つものか、傷があるものでなければならぬ」

 精霊ケティラがユシハとルシアの前に現れていられのは、赤い月と蒼い月が一直線になっている数分間のみ。その短い時間でユシハとルシアのどちらかの命を差し出さなければならない。

 ルシアは意識が遠のいているらしく、体は宙に浮いている。一方、祈りの巫女としての修行を積んできたユシハは精霊に語りだす。

 ユシハ「なら、私の命を」

 その時、ルシアが左手の傷をユシハの右手のコアに重ねる。

 ルシア「なら、、、、、これなら、、、、どちらも死なずに、、、、すむ、、、、の」

 赤と青の2つの光が精霊ケティラの元へと集約してゆき、辺りはまばゆい光に包まれ、精霊ケティラ、ユシハとルシアはその場から、消え果てた。

 赤い月と蒼い月がやがて離れてゆき、今まで暗く淀んだ大地に草木が芽吹き始める。

 村長「!!!、、、、あの子達は、、、、??何処だ??」

 村長は儀式が行われていた辺りを懸命に探すが、ユシハとルシアの二人の姿は何処にも見当たらない。

 ユシハの祈り子としての力と、ルシアの浄化の力。この二つが合わさり、そして精霊ケティラの神聖な力も加わり、この穢れた大地は何千年ぶりかに完全に浄化された。

 

 2人は約束の地へと旅立ったのだ。

 永遠の楽園と謡われる大地へと。


 この穢れた大地を浄化するに当たり、精霊ケティラはその力を失い、またユシハとルシアは巫女としての能力を失う事に。この世かあの世かもわからない場所、悠久の場所で、ユシハとルシアは語り合う。

 ユシハ「ルシア・・・・・あなたさえいてくれれば、あのような力はいらない」

 ルシア「おねえちゃんと一緒なら・・・・・・」

 二つの赤と青の光が交錯しながら天に昇ってゆくのを、元通りの世界になった村人たちと村長は気付かずに、、、、、。

 

 おしまい

 


 


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