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『逃げたり、逃げなかったり』の移り変わり

その昔、『逃走論』という本がありました。
浅田彰さんが京都大学の准教授時代に書かれた本で、1980年代後半に一世を風靡ふうびしました。
ニューアカデミックと呼ばれたムーブメントを牽引した、けっこう難解な書籍です。


今では、そこに提示されていた「逃げていい」というテーマに大きく首肯しますし、その先見性に浅田さんのすごさを感じるのですが、当時のわたしは「自分は京大の先生をしながら、人に『逃げろ』と言ってもなぁ……」と感じていました。
若かった 😊

一方で、時代は行きつ戻りつするもので、その後、巷にはエヴァンゲリオンの「逃げちゃダメだ」というセリフが飛び交いました。


さらに時代がくだると、弁証法的(? )な『逃げるは恥だが役に立つ』が登場しますね 😊


ともかく、『逃げる』という言葉にはどうしても『敗走』のイメージがつきまとうので、それが感情をゆさぶってくるんですよね。
表現として『距離を取る』とすれば、ある種の冷静さが感じられます。

人によっては「いや、問題に向きあってこそ、人は成長する」「一度逃げると負けグセがつく」と言ったりもしますが、それはある程度『力』のある場合の意見です。
逆に、逃げる力すらわかない時だってあるわけですから。

そのあたりの心の綾のつかみ方は、やっぱり中島みゆきさんがすごいなぁ、と思います 😊


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