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Case.4 ワークショップの質

様々なワークショップが世に出ている。

実際に参加すると「すごいな!」と思うワークショップもあれば、「あれはないな」と思うワークショップもある。

ワークショップが生業の1つとなっている身からするとさらに複雑で、「やってみたいな」と思うワークショップもあるし、「すごいけど自分にはできないな」と思うワークショップもある。

関わった人々のそんな想いの1つ1つが合わさって、ワークショップのクオリティになっているわけだが、そのクオリティを左右するものは一体何なのか。

ワークショップを運営する立場にあると、意識するのがワークショップの「質」。

質の向上は常に図っていきたいものであるが、何を以って「質」とし、何を以って「質の向上」とするのか。

ワークショップの質を決めるものについて考えてみたい。

何を以って「質」とするか

簡単に考えてみると、思い浮かぶのは「知識」「技術」「経験」のようなところではないだろうか。

参加者が知らない「知識」

参加者が持っていない「技術」

参加者がしたことのない「経験」

をワークショップの中で得られたとしたら、質が高いと言える可能性は高い。

ただし、である。

「知識」が高度で難解すぎると、講義としての質は高いかもしれないが、ワークショップの質としては、必ずしも高いとは言えない。

「技術」は参加者全員ができるものであればよいが、その技術を得る前提となる知識や経験が必要だとすれば、参加者の属性が重要になってくる。

「経験」はもっと不確実なことが起こりやすい。参加者自身が何かをすることが求められるので、そのときの状況や参加者の状態によって左右されやすい。

ということから考えると、ワークショップの質を決めているのは、

参加者とのマッチング度

なのではないだろうか。

前述の要素だけではなく、タイミングや参加者の興味等との親和性が質に影響している。

「合っている」を考える

では、何があれば参加者と「合っている」と考えるのか。

参加者と何が合うことが質を高めているのだろうか。

焦点の1つは参加者のニーズである。

参加者が得たいと思っていることが、ワークショップの中で得られる。

参加者の学びたかったことが、学べるとしたら、参加者に「合っている」と言えるし、参加者が自分自身に「合っている」と感じたワークショップに参加できたとしたら、そのワークショップは質が高かったと言えるのではないだろうか。

得たいことが得られるワークショップは、参加目的や参加動機を満たすことになる。

これが参加者目線から要素である。

参加者目線からの要素は、言い換えると顧客満足度からの視点である。

つまり、参加者ニーズを調査し、ニーズに合うようなプログラムを設定すれば、おのずと質は高くなる。工業製品やサービスと同じ考え方である。

ただここには1つの問題があって、それは

「参加者が参加者自身の壁を越えられない」

ということである。

自身の壁を越える

前回お伝えしたように、ワークショップとは「挑戦による学びの場」である。(前回の記事はコチラ)

参加者自身のニーズからワークショップをデザインしたときに、ニーズの中に挑戦や学びが含まれていないことがある。参加者自身が挑戦や学びに気づいていない場合、あるいは挑戦や学びを得た気になっている場合だ。

参加者がニーズとして持っているということは、少なくとも参加者自身はその存在を認知している。

だとするならば、そこから導き出される挑戦や学びは、参加者の想像の範囲、予測の範囲を越えない。

そうなると、自分自身の考えうる範囲の中だけで、挑戦や学びが完結してしまい、本当の意味での学びにはなっていないときがある。

参加者が気づいていない視点から、想像もしなかった挑戦があり、結果として未知の領域を広げるカタチで学びと成長がある。

参加者自身が無意識的に自分の中につくっていた壁の存在に気づき、その壁を越える機会がワークショップの中で起これば、それも参加者に「合っている」と言えるのではないだろうか。

参加者自身の中にある壁

これが質を決めるもう1つの焦点である。

挑戦の質、学びの質

ここまでの話を焦点別に整理してみると

参加者ニーズ:参加者がわかっている挑戦と学び
→ 参加者の満足度を上げる

参加者自身の中にある壁:参加者が気づいていない挑戦と学び
→ 参加者の視野を広げる

となる。

言い換えると、

参加者の満足度を上げるために、参加者ニーズに働きかけるワークショップは「100点満点を目指すワークショップ」

参加者の視野を広げるために、参加者自身の中にある壁に働きかけるワークショップは「120点を目指すワークショップ」

とも言える。

質からワークショップを考えたときに、この2つのバリエーションがあるのだ。

念のためにお伝えすると、この2つに優劣はない。

目指すところと役割、段階が違うのだ。

この点については、またの機会に解説したい。

まとめ

今回はワークショップの質から、そこに関わる視点や要素を考えた。

ワークショップの質 = 参加者とのマッチング度

であり、

マッチングの焦点には

参加者ニーズ → 参加者の満足度を上げる
参加者自身の中にある壁 → 参加者の視野を広げる

の2つのタイプがある。

ワークショップの質を判断するときには、こんな視点で見てみてはいかがだろうか。

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和△1金◻︎3◻︎3D30/4w5/INTP/秘密兵器。ワークデザイナー。高校時代に出会った料理人の影響で料理の道へ。「素材を活かす」料理の考え方は人材にも通ずると信じ、その人が持ち味を“思い出す”自己変容を描くセッションや研修を実施中。