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Case3.ワークショップの意義

いろんな場面で開催されているワークショップ。そのレベル感やバリエーションが増えてきていることは、これまでの記事のとおりである。

今回は「ワークショップ」と呼ばれるものについて、結局のところ何を目指す手法なのかということを読み解いていきたい。

ワークショップワークショップと言われるが、なぜ「ワークショップ」でなければならないのか。なぜ「会議」とは何が違うのか。なぜ「講義」ではダメなのか。

「ワークショップ」という手法がもたらす効果とその意義について考えていく。

参加者一体型の場

「ワークショップ」と聞くとどんなことを思い浮かべるであろうか。

よく言われるのは「参加のプロセス」であるということ。

会議や講義では一方的に話を聞く時間が多い。発表者や登壇者等話す側と参加者としての聞く側が明確に分かれる構造がある。

それがワークショップになると、参加者も発言する機会が増え、双方向のやり取りが生まれる。

学び合いの場と言われる理由はここにある。

双方向のやり取りを通して、個人の知識や知見が集約されることで、その場に関わった全員が、自身の考え以上の成果をもたらすことができる。

全員が創造的なプロセスを経験し、そのプロセスを共有することができるというのが大きな特徴の1つである。

体験学習の場

他の特徴の1つは「体験のプロセス」であるということ。

ワークショップと聞いて、時間中延々と話を聞いていた。ずっと話をしていた。というのは想像しにくい。

ワークショップと聞くと、何らかのワークやアクティビティ、教科書ではない手法を使ってのプログラムがあることがイメージされるのではないだろうか。

参加者一体型の手法であるということともつながってくるが、ワークショップでは、創造的な学びをつくるプロセスの中で、それぞれが既定路線の思考から外れることが求められる。

そのためテキストや座学等の頭を使った学びの時間が少なく、体を使ったり、ときには直感に従ったりといった普段は使わない要素を使って、プログラムを進めていく事柄が組み込まれているのである。

会場がいくつかの島に分けられ、模造紙やポストイットが机の上に広がっていて、各タームごとに参加者の代表が全体に発表している画像なんかを見ると「ワークショップ」だなと感じる。まさにそのイメージである。

学びと成長の場

もう1つ特筆すべき特徴は「成長のプロセス」であること。

先ほども学び合いの場と述べた通り、提供側と参加側が双方ともに学び“合う”場であり、新たな発見と学びが関わった人全員に起こることもワークショップならではである。

ワークが始まると、参加者同士が小グループに分かれて会話していたり、少人数が対面でやり取りがされている場面がイメージできるのではないだろうか。

講義や講演であればこうはなりにくい。

講義や講演というは構造上、知識を有しているものが一方的に知識の伝達を行うので、一方にとっては大きな学びになるかもしれないが、もう片方にとってはともすれば知った知識の羅列にしかならない。

双方が発言をし、意見を交換することで、既知の知識が深まったり、暗黙知が表出して形式知に変換されたりすることが起こる。

何かを知っているからワークショップが機能するのではなく、どんな知識レベルの参加者が集まったとしても、必ず学びが生まれることができるのがワークショップの特徴である。

チャレンジの場

これらを踏まえたときに見えてくるワークショップの潜在的な特徴は、関わる1人1人にとって「挑戦のプロセス」であるということである。

その場で起こることに参加し(参加のプロセス
その場で起こることを体験し(体験のプロセス
発見と学びによって成長する(成長のプロセス

ワークショップに関わる全員はこのプロセスを経る中で、様々なチャレンジを経験する。

参加することがチャレンジになるかもしれないし、体験の中でチャレンジが生まれるかもしれない。参加と体験により挑戦が生まれ、結果として学びと成長が創発されるのだ。

参加 + 体験 → 挑戦 → 学び・成長

「ワークショップ」とは「挑戦による成長のプロセス」であり、「ワークショップ」の意義とは「挑戦による成長」である。

つまり「ワークショップデザイン」とは関わる人の「挑戦による成長のデザイン」である。

関わる人がどんな挑戦をし、どんな成長をするのかを考えるのが、ワークショップをデザインするということなのである。

ワークショップがそのバックグラウンドを経てつくられるので、関わった人が参加し、体験し、結果成長できるのである。

まとめ

今回はワークショップの特徴とともにその意義を整理させていただいた。

ワークショップの意義とは「挑戦による成長」であり
ワークショップデザインとは「挑戦による成長のデザイン」である。

学びと成長が双方向で起こるということがワークショップの魅力であり、そのためには挑戦・チャレンジが欠かせない。

ワークショップをデザインするときには、参加者が何に挑戦するのかを考えたい。

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和△1金◻︎3◻︎3D30/4w5/INTP/秘密兵器。ワークデザイナー。高校時代に出会った料理人の影響で料理の道へ。「素材を活かす」料理の考え方は人材にも通ずると信じ、その人が持ち味を“思い出す”自己変容を描くセッションや研修を実施中。