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Case2. ワークショップをデザインする②

ワークショップをつくり込むワークショップデザインについての考察である。

前回は昨今意味するところの多くなった「デザイン」という言葉について、言葉が持つ守備範囲や機能から、含まれている要素について整理した。(前回の記事はコチラ

今回はそれを踏まえて、ワークショップデザインとは何を考えることなのかを読み解いていきたいと思う。

ワークショップデザインに係る要素

デザインには「設計」「組立」「表現」の要素が含まれている。

ワークショップデザインを考える上でも、この3つの要素についてそれぞれ考えていこうと思うが、その前に3つの相関関係について捉えておきたい。

この3つの要素がどのような役割を果たしているかというと、その違いは時系列の違いにある。

設計 → 組立 → 表現

の順でデザインのプロセスは進んでいく。

その意味でもワークショップデザインを考える上で、この3つの要素は必要不可欠であり、どれかがない状態で実際にワークショップを行うからクオリティや進め方にバラつきや捉え方の差が出てくるのである。

ということは、ワークショップをデザインする上で考えることはこの3つの要素で、この3つの要素を抑えることがワークショップの質を高めるためには重要である。

ワークショップを「設計」する

最初のプロセスはワークショップを「設計」することである。

ワークショップをつくり込むにあたって、目的や目指す成果を設定するのが「設計」というプロセスである。

何のためにこのワークショップをするのか。どんな効果を狙っているのか。それらを整理するところからワークショップデザインは始まる。

この部分が正確に認識されていないと、つくり込む過程でどんどん実態からかけ離れていくし、ズレていることに気づけない。

このプロセスを踏まないとどうなるかというと、目的のないままワークショップが組み立てられていくことになる。

目的にないまま組み立てるということはどういうことかというと、行うワークやアクティビティ、時間の制約によってワークショップがデザインされていくということである。

ワークショップは、絶対的なワークやアクティビティ、運営の仕方があるわけではない。

目的があって、その目的を達成するために適したワークやアクティビティと、目的を達成するために適した運営の仕方、進め方があるだけである。

どんなワークやアクティビティを選んで、どんな運営方法を取るのか。その判断は目的が何かによって変わってくる。

それを決めるのが「設計」の段階である。

どんな目的があって、そのために使える資源(時間、場所、設備等)は何が必要で何があるのか。ワークショップの前段階の要素を整理する。

この段階があるから、ワークショップに血が通うのである。

ワークショップを「組立」てる

次に位置するのがワークショップを「組立」てることである。

ワークショップに関わる要素を、組み合わせて1つのカタチにするのが「組立」というプロセスである。

ワークショップの中で、どんな状況が起こって、どんな場面が生まれ、どういう結果をもたらすのか。

時間に経過による場面や参加者の状態の変化を想像し、どのようなアプローチが目的達成のために必要なのかを導き出してく。

ワークショップをつくると聞いて、まず思い浮かぶのはこの段階のプロセスだと思う。

時間配分、ワークやアクティビティの選定、全体的な空気感や雰囲気、参加者の負荷等を考えて、ワークショップ全体の流れを考えていく。

「設計」の段階で設定した目的やゴールに道筋をつけていくイメージ。

それが「組立」の段階である。

バラバラのパーツが組み上げ、つなげて1つのカタチを成していく。

「設計」が血を通わせるのだとしたら、骨格を固めていくのがこの段階である。

ワークショップを「表現」する

最後のプロセスがワークショップを「表現」することである。

実際にワークショップを運営する中で、細かな調整とリアルタイムの判断を行うのが「表現」のプロセスである。

ワークやアクティビティも表現とすることもできるが、それらはどちらかというと構成に関わる要素が強いので、前段階の「組立」のプロセスに含まれていると考えてもらいたい。

「組立」の段階で構成したワークショップを実際にどう行うのか。時間が進んでいく中で、準備した事柄をどう活かしていくのか。

「設計」と「組立」の段階でのイメージを目の前に表していく。

構成した内容と実際のギャップを埋めていく作業とも言える。

いざ本番のプログラムが進んでいくと、実際に起こることは計画通りではない。

その場その場で判断と決断が求められる。まさにその場で「表現」するという表現がふさわしいだろう。

まとめ

今回はワークショップをデザインするときに含まれる「設計」「組立」「表現」の3つの要素について解説した。

設計 → 組立 → 表現

の順でデザインのプロセスが進んでいく。

設計:目的や目指す成果を設定するプロセス
組立:組み合わせて1つのカタチにするプロセス
表現:細かな調整とリアルタイムの判断を行うプロセス

である。

次回は、2回にわたって解説したワークショップデザインの総括をしてみたい。

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和△1金◻︎3◻︎3D30/4w5/INTP/秘密兵器。ワークデザイナー。高校時代に出会った料理人の影響で料理の道へ。「素材を活かす」料理の考え方は人材にも通ずると信じ、その人が持ち味を“思い出す”自己変容を描くセッションや研修を実施中。