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エッセイほか

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そば粉文化の国際比較に関する挑戦的個人的研究

<既存の知見> 1)蕎麦はそば粉を捏ねて(蕎麦切りなら細く切って)茹でて作る。 2)ガレットは、そば粉を捏ねて薄く広げて焼く。 3)既存の知見から、蕎麦とガレットとは、同じ素材からできていることが確認される。 <仮説> 茹でて十分に柔らかくした蕎麦をシート状にして焼けば、ガレットになる。 <研究手法> 茹でた乾麺のそばをフライパン上で広げてシート状にして焼き、ガレットになるか確認する。 <結果> 不格好な蕎麦せんべいになった。仮説は支持されなかった。

四角錘の体積は、本当に四角柱の体積の1/3なの?

 錐体の体積が、底面積と高さがそれぞれ同じである柱体の体積の1/3だということをビジュアルに示そうとして模型を作りました。  立方体はxyzの3方向に、同形同大に均等に3分割できるから1/3になると気付いて、この1/3という中途半端な分数は、空間が3次元だからだということを深く納得しました。  確かに、2次元の正方形はx方向とy方向に同形同大の1/2の面積の2つの三角形に均等に2分割できますよね → 〼  これなら、n次元超立方体に対する超錐体の超体積は、1/nになるこ

おネエ言葉の効能

 私がAちゃん、Bちゃん(*)ウォッチングをした時代には、まだ「育メン」という言葉は使われていなかったが、件の子供の遊び場では、積極的に子供と関わる若い父親の姿を見ることは普通であった。  *編集部註: 「Aちゃん、Bちゃん」については、前note「正義の名の下の暴君」参照  そのような若い父親が子供と接している様子をウォッチングしていて、当時、気づいたことがあった。子供を叱る時に、いわゆるおネエ言葉を使う男性がいるのだ。当初は、その父親が、母親や女性保育士の叱り方を真似

ファイナンス理論から見た「朝三暮四」

 wikipediaによれば、朝三暮四とは、 非常に猿と戯れるのが好きな男がいた。この男は家族のことも放っておいて、猿を可愛がるものだから、餌の時間になるといつも猿が寄ってくる。ところがそれが原因で、ある日奥方から「猿の餌を減らしてくれないと、子供たちの食べる物までなくなってしまう」と窘められてしまう。困った男は何とか猿たちを籠絡しようとし、一斉に呼びかけた。これからは「朝には木の実を三つ、暮(ばん)には四つしかやれない」と告げるも、猿たちは皆不満顔。それならば「朝は四つ、

みんなが言ってるもん

 ところで、件のBちゃん(*)はS幼稚園に通っています。Bちゃんのクラスは年長のゾウ組です。ゾウ組では年明けから大縄跳びが流行っており、園庭では縄に引っ掛からずに何回続けて飛べるか数える声が毎日響いていました。  *編集部註: 「Bちゃん」については、過去note「正義の名の下の暴君」参照  ゾウ組の園児が園庭に出るのは、毎朝9時と決まっています。Bちゃんは、いつも9時ギリギリに登園して、園庭に駆け出すのが常でした。  ある日、9時少し前の、まだBちゃんが到着していな

正義の名の下の暴君

 以前、4・5歳の子供たちが遊んでいるのを観察する機会があった。大規模小売店の一画の開放的なスペースに柔らかいウレタンなどの敷物が敷いてあって、自由に遊べる玩具が置いてあるような状況を思い浮かべていただくとよい。互いに知らない子供が、親の買い物が終わるまで連れて来られて遊んでいる場所である。  ここでは便宜的に、元から遊んでいた女の子をBちゃん、新しくこのスペースに入ってきた女の子をAちゃんと呼ぶことにする。  新参者のAちゃんがスペース全体を見回して、誰も使っていないパ

黒衣(くろご)の存在論的意味

 私の娘(当時5歳)が人形劇を見た後、帰宅して教えてくれたことがある。 娘「人形のお芝居見たよ。おもしろかった。でも、黒い人が動かしてるのがばれてた」 私「黒い服の人は、いないふりをしてるんだよ」 娘「でも、顔が見えてた」 私「じゃあ、顔が見えてなかったら、いないふりにしてあげる?」 娘「うん」  この会話で、「黒衣(くろご)」の記号性について、しばし考えることになった。歌舞伎などで「黒衣」が いない/見えない ことになっていることについて、これまで専ら「黒い衣装を着てい

「昼過ぎ」とはいつなのか

 今日の昼過ぎに来るはずの長女(21歳)がまだ現れない。新型コロナに感染したのかもとか、事故に遭ったのかもとか、熱射病にやられたのかも、とは、微塵も思わないが。  そういえば、若い頃の友人に、「今日、渋谷で5時!」と待ち合わせの約束をしたのに、5時に自宅でシャワーを浴び始めたやつがいたが、長女があいつと同じメンタリティを持っているなら、今頃まだシャワーを浴びているのかもしれない。  とはいえ、すでに正午から3時間ほど過ぎようとしている。そんなに長い時間シャワーを浴びていると、

プリンテイスティズムの倫理と論理と技法――プリンは別腹!

 「もうお腹いっぱい」と膨れた腹をさすっているのに、好物のプリンが目の前に現れると、「プリンは別腹」などと、自嘲とも開き直りともつかぬ独り言を聞こえよがしに言いながら、おもむろに食卓に向き直る図は、「プリンテイスティズム」のステロタイプな表現として、すでにわが国に広く定着しているところである(もちろん、「プリン」の部分は人によって「チョコムースケーキ」であったり、「とんこつラーメン」であったりしてもよい)。  ところで、なぜ、満腹になった後に更に好物を食べたいときには、「○

【書籍紹介】スティーヴン・トゥールミン(2011)「議論の技法」東京図書

 本書は、英国の哲学者スティーヴン・トゥールミン(Stephen Edelston Toulmin, 1922-2009)が1958年に著した書籍の翻訳本です。分担して訳しているせいか、訳語の統一性に欠けて文章が分かりにくいのが難点です。  トゥールミンは、伝統的な三段論法(「すべての人は死ぬ(大前提)」→「ソクラテスは人である(小前提)」→「したがって、ソクラテスはいつか死ぬ(結論)」)が、そのまま適用できるのは数学の証明程度に過ぎず、現実社会の議論における実用性が極めて

嘘は泥棒の始まり、か?

 日本文化において広く共有されている倫理観を、少年少女の心の中で涵養するための言説として、「嘘は泥棒の始まり」というフレーズがよく使われていた(今はどうか知らない)。  私自身、まだ小学生になる前から繰り返しこのフレーズに接していた。 しかし、そのようなフレーズに接するうち、次第に違和感を覚えるようになっていったのだ。その違和感には、大きく二つの方向性があった。  一つ目の違和感は、言説の必然性である。  「泥棒」とは「盗み」をはたらくこと、あるいは「盗み」をはたらく人を指

交通教則の「衝撃力」って何?

 学生の頃、自動車の教習所で説明を受けたときに、質問したい衝動をぐっと堪えて以来、30年以上もやもやとしてきたことがある。それは、「衝撃力」のディメンジョンは、本当に「力」なのか、ということである。 交通の方法に関する教則  第4章 自動車を運転する前の心得   第5節 安全運転に必要な知識など    2 自動車に働く自然の力 (3) 衝撃力  交通事故の大きさは、車が衝突したときに相手に与えたり、自分が受けたりする衝撃力の大きさに関係します。衝撃力は速度と重量に応じて大き

アインシュタインを凌ぐ法則の発見か

 南京理科大学の鈴木飲兵衛教授(専門:酒肴学)は2019年5月1日未明、質量欠損に関する新しい法則を発見したと発表した。  一般に調理をする際には、出来上がった料理の質量Mc、調理前の食材の質量Mmおよび廃棄等部分の質量Maの間には、      Mc=Mm-Ma の関係が成り立つことが知られているが、この等式が成立しない「対称性の破れ (symmetry breaking)」の発生が調理業界の未解決問題として、かねて探求されてきた。  鈴木教授は、自ら酒肴の調理実験を繰

昔話にラノベ風タイトルをつけてみた

 ラノベやアニメのタイトルがどんどん長くなっています。  試しに、日本の昔話にラノベ風タイトルをつけるとどうなるか考えてみました。  ********************** (1)桃から生まれた俺が、家来と一緒に鬼退治してきた件 (2)吹雪の晩に起きたことを僕はまだ話せない。 (3)月に還る前にわがまま言ってもいいですか? (4)小さかった俺は、鬼が残したアイテムでデカくなった。 (5)みんな、いじわる猿のことが嫌いなんだからねっ! (6)鴨を捕り過ぎた俺が転生したら