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2023年 上半期映画ベスト10

初めてのnoteだよ!

上半期の映画館での鑑賞本数は32本。これは大谷翔平の30本を上回る結果だけど、例年に比べると少なめなのは、わりと日曜に映画を観に行く僕が『機動戦士ガンダム 水星の魔女』にハマったからですね。いやほらリアタイしたいじゃん? 17時までに帰らなきゃじゃん? という感じで2本立てで鑑賞することがめっきり減った影響は大きい。ただそのぶん曇りなき眼で見極めて作品を選んだので、失敗も少なく満足度の高い上半期だった。というか、なんだかんだ毎年ベスト10決めるの迷うよな。もう上半期終わっちゃたので、取り急ぎ順位ではなく公開日順で発表します!

『恋のいばら』

玉城ティナ様と松本穂香様の共演の時点でもう最高。爆イケクソチャラカメラマン渡邊圭祐くんの今カノ(ティナカノ)と元カノ(穂香ノ)。いやいや羨ましすぎる恋愛遍歴だなというのはさておき、どうやらその男、交際相手のエッチな写真を撮っているようで、かつてそんな写真を撮られた元カノが画像を削除したいと今カノに頼み込むという。そんなこんなで始まる秘密の共犯関係がそりゃもう眼福だし、カノジョとカノジョに対して尊さがとめどなく溢れる。ただ、チャラい男を成敗する復讐映画にも、恋愛観への問いかけ映画にもせずに、いやぁ人間ってこんなもんでしょという空気で突き進んだ感じ、さまざまな要素をひっくるめた人間への愛を感じます。あとほんと城定監督の撮る松本穂香さんと玉城ティナさんが美しいことよ…。美しいひとが美しく撮られる。こんな素敵なことはないね…!

寝顔も美しいティナ様


『イニシェリン島の精霊』

拒絶するおじさん、縋るおじさん。行き場のない島を舞台に、おじさんvsおじさんの超仲違い映画。おじさん同士の軋轢って、外から見てるとマジで知らんがなって感じなんだけど、かくいう私も30歳は既に越えた、ただのおじさんですからね…。どちらの気持ちも分かるし、どちらも結構めんどくせえなァ! って思います。でも、こんなスリリングで胸騒ぎのする退屈な話はなかなかないし、映画を彩るコリン・ファレルの困り眉の傾斜がすごい。何に揉めてるかわからなくなるままに、いろんな悪意がエスカレートして、話が通じなくなって後に引けなくなる感じ。こわいです。とってもこわいです。怖いといえば、グロ耐性がないから普通に例の断面は痛くて無理でした。男の約束、指切りげんまん! PG12!

『あつい胸さわぎ』

若年性乳がんを患う芸大生の主人公…と聞くとシリアスな闘病モノかと身構えてしまってたけど、笑いどころも多い、心あたたまる物語だった。誰かとの関係、日々のなかで生まれた"しこり"に、自分に、現実に向き合って走り出す主演の吉田美月喜さんの瑞々しさが良い。そして常盤貴子の綺麗なのにオカン感が溢れまくりなのがすごい! 話の展開は少々ゆっくりではあるけど、そこが味になっているというか、葛藤する主人公そのものな感じもするし、結論を急がない眼差しになっててとても良いですね…。登場人物みんなに「がんばれ!」と言いたくなる気持ちのいい映画であり、最後で掻っ攫っていく佐藤緋美くん映画でもある。しかし、まさかこのあともう一本佐藤緋美映画が爆誕するとは思わなかったのだが……

『少女は卒業しない』

いやあ…。自分の卒業式じゃないのに、めちゃめちゃに泣いちゃった。今年の優勝候補。そして佐藤緋美くんは完全に優勝。主演:河合優実×監督:中川駿×原作:朝井リョウ。やっぱり普通の青春モノのわけないのよ。そして藤原季節が丸眼鏡+カーディガンというこんな好印象な感じで登場ってことはもうまともな人間なワケな…あれ? え、まともじゃん、超いい先生じゃん。善性に見える藤原季節なんて絶対真っ黒だろと観客(僕)をめちゃめちゃ不安にさせただけでしたね。廃校前の高校を舞台に、それぞれの恋にお別れを告げる少女たち。本作はあんまり廃校自体を仰々しくは扱わないけど、過ごしてきた場所が消滅するという、"帰ってこられる場所がなくなる"という実感が、全編に漂っており苦しかったです。まるで彼女たちと同じ空気を共に過ごした気持ちになると同時に、彼女が感じたその気持ちは彼女だけのもので、決して観客に同化させないのだと言わんばかりの美しい横顔の数々はもう泣くしかない。複雑で純粋な想いを仕舞うには、今というこの瞬間も学校も狭すぎるから…。ところでみんなはどのエピソードが好き? 僕は軽音部部長!

超絶真っ黒そうな藤原季節


『フェイブルマンズ』

まるで僕らはフェイブルマンズ。タイトルが主人公のフェイブルマンではなく、フェイブルマンズというのがミソな気がする、スピルバーグ監督の自伝的作品。自伝映画なのに、あんなに成功しとるのに、これが僕の成功物語! みたいな空気ゼロ。もっとウッキウキで自慢していいんやでスピルバーグ。なんか「映画は誰かの人生を変える」ことに対する夢だけでなく呪いや暴力性の話でもありましたね。濃厚でダダ漏れな映画愛憎と凄み。子供ながらいきなりクオリティの高い映画を撮りまくる少年。そんな奴なんているわけ…となったところで、こいつスピルバーグだしなと思えるリアリティ。さすがの巨匠力がやばいし、登場した時点で「あ、この日々は絶対長く続かない」と予感させる俳優No.1のミシェル・ウィリアムズ姉様は、今作も危うさも擦り切れさも束の間の幸せ感も全開でやばい。あと上半期屈指のラストシーンな。


『グリッドマン  ユニバース』

宝多六花ーーーーーーッ! 期待値なんて爆風で蹴散らして超えてきた。欲しいのはこれだろ? に全部答える圧倒的ファンサービス。観客の熱量はうねりとなって、満員の劇場から「今俺たちの心はきっとひとつになっていた」感が溢れていた。2023年はエブエブの作品賞受賞の勢いもあってかメタバースイヤーの流れだけど、結局「だけど現実を生きろよ」的なメッセージになりそうなところ、フィクションを楽しんで、フィクション愛することを全肯定する感じがもうたまらない。そして同じくらいにやっぱり青春模様の描き方が瑞々しいのがグリッドマンのいいところ。瑞々しいというのは水分があるので、当然湿度が高いシーンもあったりして…。マジ愛の湿り気。じめっとした六花さん、好きです。そんな彼や彼女の眩しさ青さ真っ直ぐさに、小っ恥ずかしくてニヤニヤしてしんみりしてやっぱり笑って、その行動を見守るおじさんとなってました。あーあ。俺も文化祭の準備したいな! 気になる子と夜道を歩いたりしたいな! 世界が終わるって言われても、まだまだやりたいことはたくさんある。時空を超えた大集結も超絶怒涛の合体バトルも混沌だけど、あの日抱いた感情も、わけわかんなくて混沌でユニバースなんだ。重ねた日々、束の間のお祭り、忘れられない青春。ここが俺たちのマルチバース!!! ……いや、どこにいったんだ俺の青春バースは。

↑六花の想いが重いキャラソン


『レッド・ロケット』

東京のマイキーが金髪イケメンなら、こっちのマイキーは落ちぶれたポルノスター。しかし再起を図るリベンジャーズであることには変わらない。誓ったリベンジ〜♪ の舞台は光と影が同居するポップなテキサス。しかしこの男が、まあクソ野郎中ofクソ野郎。別居中の妻の家に転がりこんで、ドーナツ店で働く17歳に惚れ込むおっさん…ってもうアウトだろ! と言いたくなるんだけど、この映画を見てると呆れるけどなんか憎めないし、あんなスザンナ・サン様に出会っちゃたら、そりゃそうなるのも無理はないんだよな。めちゃくちゃに可愛い。監督の前作『フロリダ・プロジェクト』もそうだったけど、彼らの生き方を賞賛も批判もせずに、ただフラットに描く。ただ、フロリダ・プロジェクトと違うのは、いわゆる"良識"の不在で、マイキーと物語は閉塞感のなかをあれよあれよと彷徨い、全身全霊…いや全身全裸で突き進む。突き進むな! 求むウィレム・デフォー!


『劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ』

岡山のローカルアイドル現場を舞台にした推しごとコメディ? だけど、どんなジャンルでも、なにか推しがあるひとや、フィクションに救われたひとには刺さってしまうわね。岡山のローカルアイドルだから、ロケ地も基本岡山なんだけど、映える観光地は登場せず、普通の道とかばかり登場するし、特別なことなどなかなかない日々が描かれる。でもそんな日々を生きる活力になるのが推しという存在で、その瞬間がみんないちばん輝いているんだ。『だから私は推しました』とか『推し、燃ゆ』とか『推しの子』とか、すっかり「推し」という言葉は市民権を得た感がある今、たしかに本作のファンとアイドルの関係は理想的すぎるかもしれないし、幻想かもしれないけど、僕らはそんなわずかな接点にこそ、眩い夢を見る。そしてやっぱりアイドル映画は、最後に踊るのがいいね!ちなみに僕は普通にたぶんれおが推しになると思います。中村里帆さん、いいよね…


『aftersun/アフターサン』

雑に説明すると"A24っぽい映画"という説明になるんだけど、これは静かに心を抉るほうのA24映画。父親とふたりきりで過ごした夏休みのことを、父と同じ年齢になった彼女は、当時撮影したビデオテープの映像と共に思い出す。父と娘、束の間のバカンス。僕はバカンスする父娘ということで『SOMEWHERE』みたいな映画だと思ってたんだよ……。いや、子役の輝きが眩すぎる点はsomewhereみたいだし、親子プール映画的にもsomewhereだし、"何処か"的にもsomewhereではあったな……。まあとにもかくにも、この親子につきます。父ポール・メスカルの繊細で抱えたものの大きさを感じさせる佇まいはもちろんのこと、娘フランキー・コリオの大人びた子供という絶妙な揺らぎに目を奪われてしまうね。記録と記憶、想像と現実。そのさまざまな余白に想いを馳せて、誰かと話したくなる映画だけど、テンション的に打ちのめされて話す元気も持ってかれる部分もあるのがマジ諸刃で辛い。


『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』

OK!じゃあもう一度だけ説明するね? スパイダーマン稼業って大変って話!(違います) 前作が誰しもみなスパイダーマンになれるんだ! OK? みたいな感じだったけど、今作はそんなスパイダーマンのアイデンティティにまつわる物語。それはスパイダーマンの因果、逃れられない運命。自分がスパイダーマンだと打ち明けるのも辛い、嘘をつき続けるのも辛い。いつか破綻するかもしれないけど、目の前のひとを救いたい。だけど家族はもっと大切で……。いや、隣人業務ハードすぎません? でもどんなに冒険してても物語が破綻しないのも、"スパイダーマン"としての軸がブレないからなんだよな。もっとも軸がブレないということは、抱える苦悩は変わらないってワケ。罪作りすぎるだろ。名作の続編という上がりまくったハードルを軽々超えてきたのも、よく考えると物語的には助走段階なのに超面白かったのもやばい。大いなる成功には大いなる助走が伴うということで、後編もあまり心配はしておりませんが、ここはひとつ、グウェンにはちゃんと報われてほしいですね。俺たちをこんなにグヴェンの沼に沈めた責任を果たしてほしい。それがシュタインズゲートの選択だ!

幸せになってくれ…



-上半期の女の子-

『恋のいばら』
松本穂香
玉城ティナ

『あつい胸さわぎ』
吉田美月喜
前田敦子

『少女は卒業しない』
河合優実
小野莉奈
小宮山莉緒
中井友望

『ちひろさん』
有村架純
豊嶋花
長澤樹

『なのに、千輝くんが甘すぎる。』
畑芽育

『フェイブルマンズ』
ジュリア・バターズ

『放課後アングラーライフ』
十味
まるぴ
平井珠生
森ふた葉

『レッド・ロケット』
スザンナ・サン

『推しが武道館行ってくれたら死ぬ』
松村沙友理
中村里帆
伊礼姫奈

『aftersun/アフターサン』
フランキー・コレオ

『水は海に向かって流れる』
広瀬すず
當真あみ

『君は放課後インソムニア』
森七菜
萩原みのり

『リバー、流れないでよ』
藤谷理子


下半期もどうぞよろしく!

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