バストリオ+松本一哉 『黒と白と幽霊たち』@21世紀術館シアター

2歳の娘と一緒に、演劇を観た。

それは、とても幸福な時間だった。

音楽とダンスと演劇とポエトリーリーディングと、インスターレーションと、美術と、なんか、いろんな境界線があやふやになっている「劇作品」だった。  

その境界線は、現実ともあやふやになっていた。

そういうの、私が個人的にとてもすきなことだから、私は、きっととくに、おもしろく感じたと思う。

石がドダン!と落ちた後、娘が、「いくよー」「どん!」「いくよー」「どん!」って客席からジャンプしだして、

ジャンプ、、、いいのかな、、、いや?でも、すごい音楽的って思って、そのまま放置していたんだけれど、

松本一哉さんの音楽もどんどん共鳴しているような感じがして、大丈夫だろう、と思って、私は娘がジャンプしているのを感じながら、演劇をみていた。

シアターは地下にあって、美術館の廊下から、見下ろせる。通行人の人に手をふったりしながら、観劇の時間はすすんでゆく。演劇を体験する感じ。

終演後、舞台監督さんっぽいかわいい女の子が、娘のジャンプに関して、「天才」って表現してくれたのがとてもうれしかった。

いろとりどりのスーパーボールがドシャアアアアアンって転がった時、娘はまっさきに拾いにいったよね。そして、それが、最後、舞台の奥に転がっていっちゃって、それを拾たいって言ってたけど、、もうラストシーン終盤だったので、拾いにいかせることができなかった。で、娘はちょっとだけ泣いて、、、

拾いにいかせなくて正解です、そのお母さんの美的センス最高ですって、前述したスタッフさんが言ってくれて。ほっとした。

観る前は、一人で、集中して、劇作品を観たいような気もしてたけれど、2歳0ヶ月の彼女と一緒に演劇をみることができてよかった。

観劇してから、もう、5日たつのだけれど、まだ反芻することがあったりして、そういうのが、芸術に触れることの、たのしみだと思う。


この3日間、娘が、夜、お兄ちゃんと布団に入っても寝ないので、布団からでて、1階のソファーに座って、二人で映画を観ている。

途中で眠くなってくるので、30分ぐらいを3日間。岩井俊二の代表作『スワロウテイル』むかーし、観たのに結構忘れてて、ラストどうなるんだろう、、、ドキドキしながら、娘と一緒に観てる。

『フラガール』『人のセックスを笑うな』いろんな映画を一緒に観てるけど、静か。『人のセックスを笑うな』なんか、これでもかっていう長回しの、ゆるんゆるんの世界観なのに、じーーーーっとみてる。


だから、彼女の観劇のスタイルは完璧だったのかもしれない。

もう大人になったらできないやつ。

観劇を体感するやつ。

そういえば、息子が2歳半の時に、開幕ペナントレースの実験的なパフォーマンスに近い『マクベス』を利賀村のリフトシアター(野外劇場)で、観たんだけど、面白かったなー。あのマクベスは、いま8歳の息子は、もうみれないかもしれない。

7歳ぐらいまでは自由にみれるんじゃないだろうか、
もちろん、面白くないものはギャーギャー騒ぐと思う。つまんないよー劇場からでていきたいよーって。だから、子どもも楽しめる、そういう演出のものだった、二つとも。ちゃんと楽しんでた。娘も息子も。

7歳ぐらいになると「世間」をいいも悪いも勉強しちゃうし、日本の教育が
1+1=2しか教えないから、答えの見つからないものはすっごい難しいと思う。
だから、金沢は娘と二人でいって、息子は富山に残って釣りへ。観劇は彼のストレスになるだけだから。

思春期終わったら、自分の意思で演劇みるようになってほしいな。
でも、それは彼らが選択することだから親が劇作家だろうとなんだろうと何も言えないんだけどさ。

やっぱり、作品観ると、私も作りたくなる。


ああ、演劇ってなんて自由なんだ。なんて、おもしろいんだ。って思った。

バストリオのみなさんと松本一哉さんありがとうございました。


追伸: 松本一哉さんのお父様が、娘の隣の席で、娘が大騒ぎしても見守ってくださったので、私も、観劇に集中できたのだ。隣がもし、子どもに対して、静かに座ってみろよ、非常識やなーっていう空気だったら、終わりだったな、、って思った。




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