定期借地権で「区分所有法」は解決できる(3冊目)

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不動産を「加工」する技術』斎藤正志(2017年)★★★☆☆

(1)内容と感想 

積水ハウスの営業マンとして35年で570棟の引渡しを行いつつ自ら中古物件を買ってきた実践的な著者。盛岡で30年近く市場に合わせ商品を売り続けてきたノウハウ集。「自分年金」「定期借地権」「介護事業」の3つの論を中心に語られる。

建設営業マンの本なので、基本的に大きい建物を沢山建てるためにあの手この手を使っている。例えば、借地を利用して資金難ありの人に建てさせたり、借地を組み入れ複数物件を建てさせたり。「何のために?」という大きな絵は感じなかった。

(2)本の要約

①自分年金

資産家向けの賃貸販売ではなく、資産形成の文脈で一般の人向けに門戸を広げる。受注金額が少なく資金調達にも苦労することから営業部門では敬遠されがちだったが大型賃貸の受注に陰りが出てきたことから注目。

②定期借地権

区分所有の分譲マンションで大規模修繕や建替が進まない「限界マンション」問題の解決策として建物譲渡特約付き定期借地権を挙げる。RCの法定耐用年数は47年だが「躯体(構造部)は60〜80年の耐久性がある」。しかし設備の老朽化や間取りを大幅に変えたいとなると身動きが取れないという問題が発生。そこで一定年数後に地主(底地所有者)が買い取る本制度を活用することで解決をはかる。

③介護事業

土地所有者が土地を借地にし、建物所有者が融資を受けて老人ホームを建設、それを介護事業者に賃貸するというスキームを考案し、自ら建物所有者として実践。さらに複数の建物を建設することでリスク分散をはかる。(老人ホームの建設の提案にあたって具体的な方法論の記載は少なかった)



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