帰省〜夜行バス〜

これから実家に帰省する。

今は夜行バスの中。

なんだろう。

ぼんやり考えている。


めんどくさいな。


驚いた。

あろうことか、こんなことを思うなんて。

8月に帰省した時は、帰省が待ち遠しくてたまらなかった。

両親との別れ際にはあんなに泣いたというのに。

どうしたことか。


答えは、本当はきっと、分かってる。


慣れたんだね。一人暮らしに。

あの小さな私の 家 が。居場所になったんだな。

ぼんやり考えている。

今回だって、やっぱり帰省は楽しみだ。

ママやパパに久しぶりに会える。実家でのんびりしたい。

そう思う。

けれど。

のんびりできる、のは

たぶん、もう実家じゃなくて、私の小さなあの家の方だ。

実家に着いたら両親に会えたことを喜んでいる態度を見せなくちゃ。

そんなことを考えてしまう。

なんか気を使う。疲れそう。

こんなことを考えてしまうのが、寂しい。

なんだかな。

いや、両親に会えるのは本当に嬉しい。

だから、喜んでいる態度、は嘘じゃない。

そうなんだけど。

なんなんだろう。わからない。わからないよ。


ママから、気をつけて帰ってきてね。

とラインがきた。

かわいらしいスタンプが嬉しそうに踊っている。

優しい母だ。

ああ。

会えて嬉しいって。

テンション高めに伝えてあげたい。

あげたいって、なんだよ。

わからないな。なんなんだろう。


目を閉じる。

バスの振動。

もうすぐ、帰るよ。



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