2021算数入試問題分析速報<立命館慶祥中SP>
はじめに
皆さんこんにちは、三上圭です。中学入試算数の問題分析を連載していこうと思います。学校からの公式な平均点データなどが、まだ出ていない段階ですので、個人の感覚でまとめていきたいと思います。
今回は道内最難関コースである『立命館慶祥SP』の問題について書いていきます。
全体の印象
制限時間は60分、120点満点。大問4題(昨年と同じ)、小問17題(昨年より1題減)でした。問題量や傾向は、ほぼ変わりありません。
全体の難易度は、昨年と同程度。合格者平均は17題中11題の65%程度(120×0.65=78点)と予想します。2019年(初のSP問題)に見られた超難問は姿を消し、ここ2年はバランスの取れた出題になったと感じます。
大問Ⅰ 計算と数量分野の小問集合
見たことのある問題が並ぶ大問1は5題。〔3〕~〔5〕は少しずつ捻ってあります。5題中4題は取りたいところです。
〔1〕は立命館お得意の分配法則。ここは対策をしておく必要があります。確実に取りたいところです。0.75=3/4の分数⇔小数の変換を利用しました。
〔2〕は特筆すべきところのない逆算。得点源です。
〔3〕は整数の性質
あまりに関する問題。A÷B=CあまりDのとき、A=B×C+Dになる、基本の形が使われています。Aが81の約数だと気づければ答えは近い!
〔4〕は3量のつるかめ算
典型的な問題で学習量の差が出来に直結しました。足切りして、いもづる算に持ち込んだ受験生が多かったと思います。
〔5〕は食塩水
2021道内入試は食塩水が多いですね…。何gか捨てて、その代わりに同じ重さの食塩水を加える問題。4%と20%の混合に持ち込めば解けたでしょう。
大問Ⅱ 図形分野の小問集合
この大問Ⅱの出来が合否を大きく左右したと考えられます(2020の学校説明会でも『大問Ⅱの図形が合否の分かれ目』と言われています)。図形の性質をちゃんと理解していたか、多くの演習を積んできたかが試される出題でした。4題中2題は得点したい。
〔1〕角度の問題
2年連続で、角度の問題からスタート。二等辺三角形を使い、角度が等しくなるところをヒントにしながら解き進めます。図形の1問目で手が止まってしまった受験生も多かったようです。角度は「気づかなかったら飛ばす」が鉄則ですね。
〔2〕円とおうぎ形
棒の両端が交互に回転の中心となる問題。できあがる図形の一部が問題に書かれており、それをきっちり分析すればイメージしやすいかもしれません。差が付いた一題です。
〔3〕立体の切断
(1)は『平行な面には平行な切り口ができる』という性質をちゃんと理解できているかどうか。
(2)は切断後の立体の体積を求めます。2つの立体それぞれの体積を丁寧に求めれば答えが出るはず。
大問Ⅲ 十干十二支
北嶺の『連続する整数の和』といい、立命館SPの十干十二支といい、2021道内入試は有名問題(のパクリ)が多い印象。とはいえ、知らなくても読めば解ける。一度は経験しておきたい種類の問題ですね。4題中2題取れていれば合格ラインに近づきます。
〔1〕干支は十干十二支なので60年周期ですよね、という問題でした。
〔2〕おなじみの「甲子園球場」ができた年を問う問題。ある受験生に聞いたところ「一度解いたから覚えてるよ。1924年でしょ。」とのこと。凄い…どうして一度解いただけで覚えられるのだろうか…。
〔3〕存在しない干支の組み合わせは?という問題でした。十干も十二支も、どちらも偶数周期なので、それぞれの偶数番目と奇数番目は組み合わせにならないことが理解できたでしょうか。
〔4〕干支を音読みしたときに、音だけでは区別がつかないものを数える問題でした。与えられた表を活用すると、「こうし」と読む干支は甲子・甲巳・庚子・庚巳の4種類あることがわかります。ここで甲巳と庚巳は、〔3〕の「存在しない干支の組み合わせ」に含まれていることに注意して、全部のパターンを丁寧に調べれば答えにたどり着くでしょう。
大問4 速さ(2人の間の距離)
2人の間の距離のグラフに関する問題でした。典型的な問題で、新小6の皆さんでも取り組める問題。ぜひ挑戦してもらいたいと思います。
4題中3題は得点したいところです。
〔1〕は曲がった理由を選択肢で答えさせる問題。この問題により、グラフの全体像を掴めた受験生も多いのでは?
〔2〕はグラフに当てはまる数字を答える問題。〔1〕が正解していれば、〔2〕もそのまま得点できそうな問題。
〔3〕はグラフの作図でした。
登場人物のうちの1人が進んだ様子をダイヤグラムに書く問題。それほど難しくはありません。
〔4〕は速さの範囲を求める問題。
〔3〕で書いたダイヤグラムがヒントになり、速さの範囲が求められる問題。誘導が丁寧なので、2021の大問Ⅳは全問正解者も出たかもしれませんね。
最後に
立命館SPを目指す皆さんは、まず計算の工夫を身に付けましょう。毎年のように出題されています。また、平面図形(角度・面積・比)と立体図形の基本的な求積は、演習量を確保しておきましょう。
基礎的な内容をしっかり身に付ければ、合格点に近づける入試です。
2021立命館SP分析、いかがでしたか?
よろしければ、Twitterのフォローをお願いします。中学受験や算数の情報をつぶやいています。
Twitterアカウントはこちらから
YouTubeで単元ごとの解説動画を公開しています。解説している問題をダウンロードすることもできます。ぜひご活用ください。
YouTubeチャンネルはこちらから
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?