見出し画像

2021算数入試問題分析速報<北嶺中>

はじめに

皆さんこんにちは、三上圭です。中学入試算数の問題分析を連載していこうと思います。学校からの公式な平均点データなどが、まだ出ていない段階ですので、個人の感覚でまとめていきたいと思います。
初回は道内最難関校『北嶺』です。

全体の印象

制限時間は60分、120点満点。大問5題(昨年と同じ)、小問22題(昨年より1題減)で例年通りのボリュームでした。
全体の難易度は、昨年と比べるとやや易化したイメージです。特に大問4と5が昨年より得点しやすかったのではないでしょうか。
合格者平均は22題中12題の54%程度(120×54=64.8点)と予想します。

大問1 計算問題

北嶺の計算問題は非常に時間と手間がかかります。試験時間が60分と長いため、じっくり取り組み全問正解を目指しましょう。

(1)は数字を並び変えて、2種類の等差数列の和を求める問題。これまでに見なかった出題で、驚いた受験生も多いかもしれません。

(2)は見てすぐに、工夫する方針が立つ問題。分配法則の利用は、どの学校を受験するとしてもマスターしておきたいところ。

(3)は分数の四則計算

(4)は分数・小数交じりの逆算

大問2 小問集合

大問2は例年通りの小問集合。侮れない出題が多くあります。落ち着いて、解けるところをしっかり得点したいところ。今年は(3)と(4)の正答率が低くなりそうです。5題中3題正解を目指しましょう。

(1)平均の問題
てんびんや面積図で、正確に処理してしまいましょう。

(2)食塩水
AとBの同じ食塩水を、異なる割合で混ぜたのを比べる典型的な問題。『てんびんを縦に2つ並べる』という必須解法がスムーズにできたでしょうか。

(3)場合の数
シンプルな問題ですが、非常に難しいです。全ての場合を落ち着いて計算することができたでしょうか。
2000年の東大(理系)大問5の問題をそのまま持ってきたような…
万の位には0を使えない制限があり、それより小さな位には、それ以前の位で使った数字と、その数と足して9になる数を使えないという制限が加わっていきます。
答えは9×8×6×4×2で出ます。難関校受験者は、理由も含めて理解しておきましょう。

(4)集合に関する問題
3つの量の集合に関する問題です。ベン図を使おう!というところまではたどりついたと思いますが、そこから先がすんなりいきません。
ベン図のそれぞれの領域にア、イ、ウ、エ、オ、……と名前を付けて、消去算のように処理すると良いでしょう。

(5)平面図形(直角三角形の面積)
長さがすぐにわかるので、計算ミスだけ気を付けて確実に取りたいですね。

大問3 立体図形

大問3は立体図形(立方体)でした。それほど難易度が高くないので、全問正解を目指しましょう。多くの問題に触れてきた受験生であれば「あ、これね」とスイスイ進んだのではないでしょうか。

(1)展開図が正方形になる特別な三角すい
中学受験生にとってはお馴染みの三角すいからの出題。体積を求め、逆算します。一度は取り組んだことがあるのでは?という出題です。

(2)これは(1)より易しい問題でした。すぐに正解が出せるでしょう。

(3)表面積の差を求める問題でした。(1)に引き続き、展開図が~を使うかと思いきや…ただの計算でした。切り口が等脚台形になる、がスムーズに出てくるかどうかがカギでした。

大問4 速さと条件整理

例年、大問4と大問5は難しいです。全問正解は不要。この大問4は(1)①②だけでも出来ていればOK。

(1)は①②ともに平易。ほぼ、文章の読み取りでした。しっかり内容を理解し、丁寧に計算すれば解ける問題。
(2)は条件が複雑で難しい。特に②は、かなりの難問。正答率は非常に低いでしょう。(2)②は解いても解かなくても、合否に影響しないとみています。

大問5 連続する整数の和

2020渋幕・2018開成と難関校で頻繁に出題されていた「連続する整数の和」からの出題です。

(1)は単純作業の問題。初見の受験生も、ちゃんと読めば得点できる問題。

(2)は1+2+3+……+13=91を使った問題。問題文が、やや不親切で題意を読み取れない受験生もいたかも。

(3)54を連続する整数の和で表す方法
「1以外の奇数の約数の個数」が何通りの整数和で表されるか、に等しいことを扱っていれば比較的考えやすい問題。

(4)5種類で表せる=1以外の奇数の約数が5個に気づけば方針が立つでしょう。1を含めると奇数の約数は6個あるので、このような整数は
奇数A×奇数B×奇数Bの素因数の積を持っていると連想できればゴールは近いでしょう。

御三家や渋幕、早慶など難関校を目指す受験生に、ぜひ取り組んでもらいたい良問でした((4)はちょっと難しい問題ですが…)

北嶺の算数は難しい問題が多く、不安を覚えるかもしれません。ただし、(特に専願であれば)合格者平均はそれほど高くありません。『まずは半分取ろう』という気持ちで、とるべきところを正確に得点できるよう、普段から落ち着いて取り組んでいきましょう。


よろしければ、Twitterのフォローをお願いします。中学受験や算数の情報をつぶやいています。
Twitterアカウントはこちらから

YouTubeで単元ごとの解説動画を公開しています。解説している問題をダウンロードすることもできます。ぜひご活用ください。
YouTubeチャンネルはこちらから


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?