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2023算数入試問題分析<北嶺中>

はじめに

皆さんこんにちは、三上圭です。道内最難関校『北嶺』の2023年度入試算数分析です。

全体の印象

制限時間は60分、120点満点。大問5題(昨年と同じ)、小問21題(昨年と同じ)で例年通りのボリュームでした。
全体の難易度は2022年よりもやや難しくなったようで,学校公表の合格者平均は81.4点,受験者平均は75.3点。なお,専願で出願した場合は合格ラインが下がります。専願の合格者平均は,70点くらいと予想されます(配点が均等だとすると,21題中12~13題で正解できていると良いでしょう)。

大問1 計算問題

2023年も計算問題は4題でした。制限時間が60分と長いため,じっくりと取り組んで全問正解を目指しましょう。

(1)いたって普通の計算問題。約分をうまく使って処理しましょう。

(2)小数のかけ算を中心とした計算。ここも確実に得点しておきたいところです。北嶺は小数点以下の桁数が多い計算が求められます。小数第3位,第4位まで出てきても驚かずに処理を進めましょう。

(3)通分して計算すれば良いでしょう。工夫できそうな気もしますが,力技で乗り切ってしまって良い文章だと思います。

(4)時間の計算,面積・体積など単位が絡む計算も良くでる(4)ですが,この年は普通の逆算でした。計算できる部分を先に整理し,最後に□に当てはまる数を求めればOKです。
直前期には,面積・体積の単位換算の問題も必ずチェックしておくようにしましょう。

大問2 小問集合

大問2は例年通りの小問集合。2022年以降,易し目の問題も出題されます。落ち着いて、解けるところを確実に得点したいところ。2023年は(4)の正答率が低そうです。5題中4題正解を目指しましょう。

(1)約束記号の問題。大きな数に驚きますが,合格のためには正解したい問題です。

(2)典型的な消去算。三つの条件を並べて合計してみると,A,B,Cそれぞれ5個ずつ買ったときの合計代金が出ます。確実に取って欲しい。

(3)これも典型的な問題。仕事算の基本問題です。丁寧に処理し,ミスのないように正解しましょう。

(4)2023年の大問2では,これが最も解きにくい問題でした。単純に書き出すだけですが,入試本番の小学6年生には大変だったでしょう。「何かひっかけがあるのかも?」とか「計算一発で出せるのかも?」なんていう悩みがチラつく問題かもしれません。ここは落としても仕方ない問題です。

(5)おうぎ形の弧の長さに関する問題。ここも小数点以下の細かな計算を要求される北嶺らしい問題。ミスの無いよう,丁寧に解ききりましょう。

大問3 規則性(ご石を並べる)

最近は出題が減ってきていた,ご石を並べる問題(方陣算)でした。
思ってもみなかったところからの出題で,やや戸惑ったかもしれませんね。(1)は2問正解が目標。(2)では2問とも間違えてしまっても,それほど合否に影響はないでしょう。(2)①②どちらか片方でも出来ていればGOODです。

(1)①
ある形Bの大まかな形を,実際に書いてみればすぐにわかりそうです。手を動かして考える習慣が大切だと教えてくれる一題。

(1)②
52枚のタイルを「四畳半の畳に分ける」問題。方陣算ではお馴染みの手法ですが,身についていたでしょうか。

(2)は①に取り組む前に,説明の文章をしっかり読んだかどうかが差のつくポイントだったかもしれません。
32枚のタイルを4つのブロック(四畳半の畳)に分けて8枚ずつにしたあと,1×8と2×4の2パターンに分ける,という説明。
ここで「あー,約数の問題にするってことね!」と気づければ,次に進むことができます。

(2)①
4種類の形ができるということは,約数が8個あるということ。この中で必要なタイルの枚数が最小になるパターンを見つける,と考えると答えに辿り着くきっかけがつかめるでしょう。

(2)②
赤と青の合計は同じ枚数で,幅が半分になっていることを考えると,……と進めていきましょう。この問題が言っていることが理解できれば,正解に辿り着けたかもしれません。

大問4 立方体・正四面体・正八面体

有名な多面体の関係を問う問題。類題を経験している人も多かったかもしれません。2~3問,得点できると良いでしょう。4問全問正解していれば素晴らしい。

(1)
単純な体積計算です。確実に正解しましょう。

(2)
理解しにくかったという人もいるでしょう。正四面体の辺の中点を結んでできる正八面体のイメージが無くても,何となく「正方形っぽいなぁ」と想像ができれば正解にたどり着けます。

(3)①
ここの問題文を読んでいくうちに,(2)が何を言っているかに気づくかもしれませんね。残った立体は正八面体。体積は四角すいを2つ分,という単純な問題でした。これも得点したい問題です。

(3)②
「①は正八面体の体積を求める問題ですよ」と教えてくれているようなもの。ア~カの図を見れば,(2)や(3)が不安でも「あー,そういうことか」と問題の要点に気づくでしょう。
展開図と見取り図(今回は見取り図が無いので自分で書きましょうか)の問題では,頂点を書き込んでから考えていきましょう。少し時間はかかりますが,正解に辿り着ける問題でしょう。

大問5 図形上の点の移動・速さ

ここまで軽めにきていた分,大問5は非常に難しい問題でした。じっくりと調べながら,(1)①と②まで解けていれば十分でしょう。(1)③と(2)は時間があれば取り組みましょう,という程度です。
大問5まで解き進めてきたときに,どれほど時間が余っているかも得点に影響したかもしれません。

(1)①
「正反対の位置を通る」の条件をどう整理するかで勝負が分かれました。この建物を上から見た図が書ければ,①の正解に辿り着きます。2020年の大問5,影の問題でもありましたが,北嶺では「立体から平面を取り出して処理する」問題が多く出題されます。意識的に取り組み,克服しましょう。

(1)②
坂道が「ちょうど3周しています」の条件から,なんとなくで「えい!3回!!」とやってしまった受験生もいるかもしれません…。じっくり調べると,なかなか難しい問題です。
速さが変わるまでに,2人合わせて(真上から見た図で)何周しているのかを考えていきます。
1回目…2人合わせて半周
2回目…1回目のあと,2人合わせて1周(合計1.5周)
3回目…2回目のあと,2人合わせてさらに1周(合計2.5周)
あとは残り半分を出会うだけなので,速さを変えたのは3回とわかります。
(出発してから42秒後のことです)

(1)③
②で調べた結果,42秒後のことだったので,Aさんが進んだ道のりは42mだったとわかります。ここまでわかっていれば,答えはすぐそこでしょう。

(2)
これはできていなくても全く気にしなくて良いでしょう。非常に難しい問題でした。(1)②の続きを調べていきますが,正解に辿り着くのは困難でしょう。

みなさんの健闘を祈ります!

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