見出し画像

2021算数入試問題分析速報<渋谷幕張中1次>

はじめに

皆さんこんにちは、三上圭です。中学入試算数の問題分析を連載していこうと思います。学校からの公式な平均点データなどが、まだ出ていない段階ですので、個人の感覚でまとめていきたいと思います。
今回は1月校最難関の『渋谷幕張中(1次)』の問題について書いていきます。(この記事は2021年1月22日に書いたものを随時更新しています)

全体の印象

制限時間は50分、100点満点。大問5題(昨年と同じ)、小問14題(昨年より1題減)でした。頻出の平面図形と比や角度の問題がなくなり、図形の移動が出題されました。
全体の難易度は、昨年より易しくなり。合格者平均は14題中10題の71%前後と予想。ここ5年の中では最も高い合格者平均になりそうです。

1/25追記
1/24(日)に学校から入試結果データが公表され、受験者平均41.9・合格者平均52.1でした。(めっちゃハズれました!すみません!もっと精進します!)
昨年と比較すると受験者は2058名→1661名(397名減)、一方の合格者は630→682(52名増)で倍率は2.4倍となりました。

大問1 積÷和の商とあまり(数の性質)

aとbの積を和で割ったときの商をa△b、あまりをa▼bと表すと決める、約束記号の問題です。(1)と(2)が、(3)の誘導になっていることに気づけば完答が近づきます。

(1)の前に、『例えば』に注目するクセをつけましょう。『例えば』は、自分が読み取った文章の内容が、本当に正しいかどうかを一度確認できる大チャンスです。今回は決まりごとが少ない問題でしたが、これが多くなると『例えば』で確かめることで安心して進められます。

(1)は計算すればOKという問題。丁寧に確実に取りたい問題。

(2)は手が止まってしまうかもしれない問題。何とか取りたいところです。(8×c)÷(8+c)の商として最大のものを求めます。c=1,2,3,……とやっていっても良いですが、(1)でやったように適当な数を入れて計算してみても良いでしょう。
ここで、cが8に対して十分に大きいと仮定すると『8+c≒c』と考えられます、これを利用すると商は(8×c)÷(c)=8よりも小さい、つまり最大で7だ。と気づくことができます。もちろん、こんなことをしなくても答えは出ます。

いよいよ(3)です。ここは(1)・(2)の流れを意識して考えます。これまでの問題から、(3×d)÷(3+d)の商は最大でも2だとわかり、あまりは3と決まっているので

・3×d=(3+d)×0+3
・3×d=(3+d)×1+3
・3×d=(3+d)×2+3
の3つが成り立つことがわかり、d=1,3,9がわかります。『dは全部で3つあります』という条件があり親切な設問でした。

大問2 デジタル表示(場合の数)

0~9までの数をデジタル表示する時計に関する問題でした。(3)は何通りあるのかが不明なので、いったん飛ばして様子を見て欲しい問題。(1)と(2)を解いて次に向かいましょう。

(1)点灯しているライトが一番多いのは08時08分ですね。答え方は08:08と書くように指定されているので注意が必要です。

(2)点灯するライトの本数が12になるように場合に分けて考えます。この問題は差が付くところ。場合分けをして丁寧に調べ上げる、渋幕らしい出題でした。
12=2+2+2+6……① と
12=2+2+4+4……② の2つの場合を考えると
①では(1,1,1,0)(1,1,1,6)(1,1,1,9)の3種類の数の組み合わせが、
②では(1,1,4,4)(1,1,4,7)(1,1,7,7)の3種類の数の組み合わせがあることがわかります。時計の表示としてあり得ないものを除くことに注意して、最後まで調べ切りましょう。

(3)は捨ててOKでしょう。59分から00分になる瞬間だ、というところまでは気づくでしょうが、完璧に答えるのは難しい問題です。1から2、7から8の変化が大きいので01時・07時・11時・17時・21時の5通りが思いつきますが、もう1つ19時から20時でも同じだけ増えることに注意が必要です。

大問3 図形上の点の移動

(1)さえできれば3問とも取れそうな問題。ここで3問正解することができていれば、合格がぐっと近づくでしょう。

(1)はまず、【曲がった理由を考える】というグラフの定石をできるかを問う問題。
『Pが先に着くとすると…』と『Qが先に着くとすると…』を両方調べて比較して、どちらが正しいかを判断します。するとPが先に着くとわかり、PとQの速さの比が8:5まで求めたら、12.8秒の条件を使ってQの速さが5cm/秒だと出しましょう。そしてPの速さが8cm/秒と求められます。

(2)は(1)の結果を使えばすぐに計算できるでしょう。

(3)は面積の差が100cm^2なので、PQ間が10cmになれば良いことを考えれば2通りあることがわかります。2つ目の答えが分数になりますが、確かめが容易なので、簡単にチェックすれば安心して次へ進めるはず。

大問4 おうぎ形の転がり移動

見たことも無いような問題が登場しがちな渋幕の算数ですが、2021年は典型的なおうぎ形の移動の出題でした。2問とも得点したいところです。

おうぎ形Aの半径OPの一部がおうぎ形Bの半径QRと再び重なったところで転がすのをやめる、という条件をしっかり読み、2周目までの図を丁寧に作図できたかどうかがカギでした。

図形さえ書ければ、あとはしっかり計算。ミスの無いように仕上げましょう。ここも2問とも得点したいですね。

大問5 立体の切断

角すいが大好きな渋幕ですが、今年の出方は例年とは少し違いました。比較的イメージしやすい形だったので(1)と(2)は確実に取りたいところです。

(1)四角すいの底面が、もとの四角柱の底面の何分の何倍かがわかればすぐに解ける問題。『底面だけを取り出して』面積比で処理すれば良いでしょう。大事なことなので2回言います。『底面だけを取り出して』処理します。面を取り出せば、複雑さが解消されて考えやすくなるでしょう。

(2)中点で底面と平行に切るので4分の1倍をかけ算すればOKでした。

(3)は「断頭三角柱」を使って求めると解きやすかったでしょう。必要な長さを求めるため、面AEGCを取り出して考えると良いです。過去問では大問5の最後に苦戦した受験生も多かったでしょうが、2021年は最後も得点できたかもしれません。

最後に

渋幕合格を目指す皆さんは、頻出単元である「場合の数」「平面図形」「立体図形」の演習を多く積んでおきましょう。場合の数では、どのように場合分けをすれば漏れなく調べられるかを意識。平面図形では、突拍子もない問題に惑わされず、みんなが取るべき問題で取れる工夫を。立体図形は切断が多く出ます。面を取り出して分析する方法や、断頭三角柱の利用などは、よく使う手なのでマスターしておきたいですね。

2021渋谷幕張(1次)の分析、いかがでしたか?
よろしければ、Twitterのフォローをお願いします。中学受験や算数の情報をつぶやいています。
Twitterアカウントはこちらから

YouTubeで単元ごとの解説動画を公開しています。解説している問題をダウンロードすることもできます。ぜひご活用ください。
YouTubeチャンネルはこちらから


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?