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2022算数入試問題分析速報<北嶺中>

はじめに

皆さんこんにちは、三上圭です。中学入試算数の問題分析を作成しています。入試問題を見たときの自身の感覚をまとめていきたいと思います。

初回は道内最難関校『北嶺』です。

全体の印象

制限時間は60分、120点満点。大問5題(昨年と同じ)、小問21題(昨年より1題減)で例年通りのボリュームでした。
全体の難易度は、昨年と比べるとやや易化したイメージです。特に大問4の前半と大問5が昨年より得点しやすかったのではないでしょうか。
学校公表の合格者平均は84.8点,受験者平均は77.0点。なお,専願で出願した場合は合格ラインが下がります。専願の合格者平均は,70点くらいと予想されます(配点が均等だとすると,21題中12~13題で正解できていると良いでしょう)。

大問1 計算問題

2022年も計算問題は4題でした。制限時間が60分と長いため,じっくりと取り組んで全問正解を目指しましょう。

(1)0.0625という小数を分数にして計算しましょう。分数⇔小数の変換は北嶺でも必須です。

(2)1÷[1+1÷{1+1÷(1+…)}]という有名な問題から。北嶺ではこのような典型的な問題のコピーが良く出題されます。有名な問題は一通り対策できると良いでしょう。

(3)やや複雑な逆算(□を求める計算)でした。答えの分数が26/57となり,不安になった受験生も多かったでしょう。あせらず,丁寧に取り組みたい問題。

(4)久々の時間の計算が出ました。時間・面積・体積など単位が絡む計算問題も良く出ます。直前期にしっかり確認しておきましょう。

大問2 小問集合

大問2は例年通りの小問集合。2021年に比べるとやや易しい出題の印象です。落ち着いて、解けるところをしっかり得点したいところ。2022年は(3)の正答率が低そうです。5題中4題正解を目指しましょう。

(1)典型的な時計算の出題。確実に得点したい。

(2)4人の所持金の合計を求める問題。少ない2人+多い2人=全体となるため,1986+3622=5608とすぐに気づけたでしょうか。

(3)2022年の大問2では,これが最も手を付けにくかったでしょう。約数の総和を,約数の逆数の和で割ると求められます。

280÷(70/27)=108

簡単な数(24など)で実験してみて,どのような性質があるのかを確認すると良いでしょう。約数の逆数を足し合わせる際,通分したあとに並ぶ分数に注目すると,上の式の意味がわかってくるでしょう。難しい問題でした。専願受験者は,できなくてもOKでしょう。

ちなみに,東京出版の「マスターオブ整数」(大学受験用教材)に『てにをは』まで一致する(数値だけ違う)問題が掲載されています。それを引用したとすれば,今後も同教材からの出題があるかもしれません。

(4)平面図形と比の典型的な問題でした。北嶺を目指す受験生であれば,何度も取り組んできたものでしょう。GHの長さがBDの長さのどのくらいの割合かがわかれば,難しくないでしょう。問題文の最後の「どこがどこの何倍か」をよく読み,逆数で答えてしまわないように注意。

大問3 条件整理

●●算というような括りがしにくい,条件整理の問題です。文章を読んで条件を整理していくと,消去算のように解くことができます。じっくり考えれば(1)~(3)まで正解できるでしょうが,焦りと緊張のある試験本番ではミスが出てしまったかもしれません。(私も間違えました,笑)

4けた・5けたの整数の計算が多いので,時間がかかり,ミスの可能性も増えます。北嶺ではこの問題のように大問1だけでなく,後半の大問でも計算力を要求される出題が多くあります。

大問4 点の移動・グラフ

たて3枚・横4枚に,1辺が1cmの正方形を並べてできる長方形の辺上を点が移動する問題です。(1)~(3)は解きやすかったですが,(4)が非常に難しい(悩ましい?)問題でした。あきらめて適当に選んで飛ばすのが正解だったかもしれません。

(1)問題文の条件を読み取れているかどうかを確認する出題でした。慌てずに問題をよく読んで対処したいところです。三角形PXYの面積が最も小さくなるときの面積を求める計算が少し面倒でした。相似な図形を見つけて,次々と長さを出していく必要があったでしょう。アからウまでは正解したい問題です。

(2)5択の選択肢問題でした。三角形PXYの面積が常に3以下になるように進むのはどれかという問題でしたが,書く頂点での面積を書き込んでいけばそれほど難しくありません。ここは正解したいところ。

(3)頂点から頂点へ移動するときに3になる瞬間があるかどうかを調べていけばよいでしょう。(2)で丁寧な整理ができていれば考えやすいですが,(2)よりも正答率は低いでしょう。

(4)ここが大問題でした。今度は点Pだけでなく点Qも動き,面積が変化します。2つの三角形の面積の和を考えていく問題でした。
①あてはまるものを1つ選びなさい,という問題ですが答えが3つあるように思えます…出題ミス?おそらく「あ,い,う」のどれも正解になると思われます。これは非常に悩ましい問題で,3つに絞った段階でかなり時間を使ってしまった受験生もいたでしょう。学校の解答発表が待たれます。

②これを調べると1通りしか存在しないことになります。もしかすると①と②のグラフが逆なのかもしれません…。

1つ選びなさい,という問題で3つ答えがあり,次の問題では場合の数が1通り…偶然かもしれませんが奇妙で悩ましい問題です。

大問5 平面図形・直角三角形の相似

正方形の一部を折り返してできる図形から,直角三角形の相似や合同を利用して解き進めていく問題でした。

(1)この問題から手が出なかった受験生もいたと思います。直角三角形の相似を見つけるには「○・×をペアで書き込む」が常套手段です。ここは○,ここは×,と丁寧に書き込んでいくと合同・相似が次々と見つかっていくでしょう。

(2)(1)を解き進める途中で,三角形DFEが直角三角形で,円周角の定理から直径が5cmだと気づいた受験生も多いでしょう。比較的,よくできていたように思えます。

(3)これは難しい問題でした。角の表記方法(角ABCなら,A→B→Cと進んだときにできる角ということ)を知らない小学生に出題するのであれば,このような問題文にせざるを得ないのかもしれませんが,やや不親切に思える問題です。今回はHとDの2つが正解でしょう。(1)を解く際に点EとFを結んでいれば点Eも正解と思えますが,元々の図にはEFの線は無いため注意が必要でした。

(4)(3)を解く過程で三角形FGHが二等辺三角形であることに気づけば,難しくない問題でした。


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