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ママが知らない眠れない夜のお話

眠れない夜、4歳の私は真っ暗な部屋の空間を見渡して布団から出ていくか悩んでいた。

居間からは祖父が観ているテレビの音
台所からは祖母が夕飯の後片付けをする音


もっと耳を澄まし
母の音を探す

私がいる一番奥の部屋は薄暗くてひんやりした感じがする。だから昼間は一人で来ることがない。本当は一人でこの部屋にいるのは嫌なのだけど、仕事から帰り、朝よりも疲れた顔をしている母が張り切って日本昔話の本を読み聞かせるから頃合いをみて目を閉じる。

母の手が私の頭を撫でる

しばらくそのまま
じいっと、じいっと

母が部屋を出てお風呂へと向かう音を聞いてから目を開けて暗闇を見渡すと、私以外の何かがいるような気がして恐怖が襲ってくる。

今すぐに襖を開けて母の元へ走って行きたい。でも、そんな事をしたら母はまた私に本を読み聞かせるだろう。


子供ながらに葛藤を繰り返した末に、再び目を閉じる事を選ぶ。

廊下を歩く音
襖が開く音
畳の上を歩く音
襖が開く音


待ちに待った母が戻り、同じ布団に入ってきた。
でも、まだ目を開けちゃだめ。

母の寝息が聞こえてきたら目を開け、母の体にぴったりとくっつく

いい匂い
あったかい

間もなく私の意識も遠くなり
また朝がやってきた

夜よりも元気そうな母の顔を見て、昨夜の自分を少し誇らしく思いながらダイニングテーブルの席につく

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