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地元を、語る

皆様は「地元」にはどういう街であって欲しいと思うのだろうか。何故このような疑問を呈そうとしているかを以下でやや回り道をしながら説明しようと思う。

 親族以外の方と会話したことがあれば、例えばバイト先で一緒になった彼と、例えば大学のペアワークで同じ班になった彼女と、こんな苦い経験をしたことがあるのではないだろうか。

A「こんにちは!」
B「今はもう夜ですけど…」
A「…」
B「…」

 初対面の人間と話す際に共通の話題を見出すのは意外と難しい。同じ宇宙船地球号に乗る私たちでもその文化的背景が異なれば世界の見え方は全く違ってしまっている。
 こちらが相手との間に存在する気まずさを乗り越えるべく親切に話を振っても一刀両断されてしまう、なんてことがあったら私は「もう2度と外出なんて愚かな真似はしない」と心に誓うだろう。

 そこで絶対に失敗しない誰にでも使える万能な話題を考えようと思い立ったのが今回のテーマにつながるわけだ。
 日本国が遊牧民で構成されていない以上、誰しも一箇所は「地元」と呼べる安住の地を認識していると思われる。
 たとえ幼少期の親御さんが転勤族であったとしても、この地元枠組みの外にはならない。

「あの市には仲良くした小学校の友達がいるな」
「あそこは印象に残っているな」
と思える街が貴方の地元になる。

 重要なのはそんな誰しも持っている「地元」をトークテーマに据える場合、その地にはどうあって欲しいと思うか、ということである。

 例えば「高級でおしゃれな街」であって欲しいのならば、そこをナワバリとしていたであろう貴方もどこか貴婦人のような、パルファム溢れる香ばしさを相手に印象付けることができるであろう。
 逆に「寂しく荒んでいた町」であれば、そこに愛着を持つ貴方はどこか叩き上げのような、親の七光りには屈しないという鋼の印象を相手に与えることができるだろう。


 ちなみに私は後者の方がかっこいいと思うタチである。そこでネコの皆さんにそんな私の地元を多少の誇張しつつ紹介することでこの文章の結びとさせていただく。

 まず第一に、私の地元は犯罪率が高いことで有名である。『バットマン』を観てたらゴッサムシティのロケ地が母校だったことがある程である。

 第二に、スーパーマーケットで買い物を済ませたら、皆商品を手で持ち帰っている。ビニール袋に詰めると言う概念がまだ成立してないため、私が布教している最中である。

そして第三に、書店が異様に少ない。教育格差とは読んで字の如くこのことだったのかと物理的に体験できるのがわが町の魅力であり実力であると断言できよう。嗚呼愛すべき我が町よ。



 これが今回の内容である。ちょっぴりお茶目な地出身の私からは、やはりどこか異端のような、環境に屈しない格好よさなのような雰囲気が溢れているのかもしれない。


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