命萌える春が過ぎ
生命の賛歌響く夏との間
僅かな季節の隙間にだけ
聞こえる歌があるという
雨が洗った大気の間に間に
響き往く歌があるという
おおん おおん おおん
高く低く響く歌は
まるで子供の笑う声のような
まるで母の子守唄のような
まるで父の叱責のような
まるで祖父母の昔語りのような
不思議な響きであるという
命の賛歌響く夏を呼ぶ調べ
動物も
植物も
生きとし生けるものが
その歌を喜んだ
しかし
悲しいかなその歌は
いつの頃からか少しづつ
人には届かぬようになり
今ではその歌を聞けるものは
とても
少なくなってしまったということだ
#詩