闇に浮かぶうなじの白さが、私の視線を縫い留める。食虫植物の芳香の様な、一時の愉悦と引き換えに取り返しのつかない絶望を招き寄せる、静かな静かな香りがした。そのうなじがお前の罪だと、細い月が嗤う。冬の入り、虫も鳴かず。私の凍りついた心臓だけが、場違いな音を鳴らし続けている。 #掌編

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