忘れ物はこちらですか?

新元号が発表された瞬間、私は配達車のラジオに耳を傾けていた。

その時脳裏に浮かんだのは、凛とした青空と美しい春の花、そして冷涼で芳しい風だった。

そのことに、ひどく驚いた。

万葉集が由来というその新元号はとても美しい響きだと思う。
その美しさを来月からの新しい時代に反映できるかはわからないし、そもそも期待してはいけないものだと思う。それとこれとは話が別だ。

ただ、その元号を聞いて美しいと思った自分に驚いた。
言葉の響きに風景を見、風を感じ、香りを嗅ぐ。
そんな感覚はとうの昔に死んでしまったと思っていたから。

毎日仕事に行き、自分を殺して笑顔を作り、私生活では罪悪感や憤りを感じながら、頭の中は乱雑で疲れ果てていた。
そんな中の言葉に見た風景は、信じられないぐらい美しかった。
そして思い出した。
私はかつて、あらゆるものに美しい風景を見ていたと。

煌めきのような、のどけさのような、静謐な、畏れるような、ありとあらゆる美しさを見ていたのに。

もう一度見たい。あの美しい世界を。

令和元年まであとひと月。
私はいつか無くした私を取り戻す元年にしようと思う。
それを持っていながら幸せに暮らせる日々を過ごすための元年にしようと思う。

そのためにできること。
まずは食べて眠ること。
いや。ちゃんと眠って、食べること。

新元号まであとひと月。
まずは静かに行く末を定める目が欲しいので。
その準備のためにも、ちゃんと寝ようと思います。

#日々 #令和元年にやりたいこと



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?