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高い飲食店は、食事を売っているのではないということがわかった

食事にいくといろいろな価格帯の店があります。でも高級レストランは高すぎと思いませんか?

100円で買ったバンと高級レストランのパンが5倍も10倍も価値の違いがあるとはとうてい思えません。

今回はお金と人間の欲求の関係について考えていきます。

◆ 人は高位の欲望を満たすために、より多くのお金を支払う

「高位の欲望を満たすためにより多くのお金を出す」というのが私の考えた結論です。

マズローの法則をご存知ですか? これはアブラハム・マズローという心理学者の説で、人間は低位の欲望を満たすと次の上位層の要望を満たそうとするというものです。次の5つがあります。

  1. 生理的欲求

  2. 安全の欲求

  3. 社会的欲求

  4. 承認欲求

  5. 自己実現の欲求

この考えを元に現在のサービスと価格を比較すると驚くほど法則にあてはまるのです。次から具体例でみていきます。

◆ 飲食業界とマズローの法則の関係

1.生理的欲求

あなたが外食する目的は何でしょうか? 空腹を満たすのが一番の目的だと思います。これが最初の欲望の「生理的欲求」です。

「お腹を満たす」という条件であれば、2,3百円で十分です。

2.安全の欲求

お店があまりに汚かったり安すぎたら、入るのにためらいませんか? また健康のことを考えて野菜をとったりとバランスを考えて食べます。これが「安全の欲求」です。

自分の安全や健康を守ろうとすると、5百円から千円ともうひと回り高くなります。

3.社会的欲求(相互)

さて食事は空腹を満たすのだけが目的でしょうか? コミュニケーションを深める手段としてもよく使います。友達と食事に行く場合は話しやすい雰囲気のお店に入ります。居酒屋に行くのも話すのが目的です。そして、恋人だったら親密になるためにもっとお金を出すでしょう。

「社会的欲求」にはより多くのお金を出すことがわかります。

飲食をともにするとお互いの高感度が高くなります。これはランチョンテクニックと呼ばれています。おいしい食事を食べると人はポジティブになるので、コミュニケーションの円滑化につながるからです。

ランチョンテクニックの言葉は知らなくても本能的に知っているので、コミュニケーションを深めるために出費をいとわなくなるのでしょう。

コミュニケーションを深めるための食事は千円から5千円と高くなります。

3.社会的欲求(一方通行)

キャバクラやホストも飲食のカテゴリの一種です。こちらも「社会的欲求」を満たすことができる食事施設です。友達や同僚との食事と違うのは、無条件に受け入れてくれるところです。お店が「社会的欲求」をみたす場所を提供しているだけでなく、社会的欲求を直接みたしてくれているのです。

直接「社会的欲求」を提供すると食事は1万円以上と高くなります。

4.承認欲求(低位)

他の人から称賛を得たいという目的で食事を選ぶことがあります。最近増えているのはSNSでの食事の投稿です。見た目がきれいな食事や希少性がある食事の写真は、それ自体に価値があります。これが「承認欲求」です。

この承認欲求は価格は少し高い程度ですが、労力がかなりかかるのが特徴です。

キャバクラやホストの映像を見て衝撃的なのは、何十万も支払ったりする姿です。これはサービスをしてくれるお気に入りの人から称賛を得たいという気持ちから来ています。これも「承認欲求」です。

承認欲求はものに対する価格でなく、他の人との競争です。人との競争になるので、金額は上限がありません。そのため、価格がいっきに釣り上がることがあります。

この承認欲求が絡むと食事は10万以上といったように急激に高くなります。

4.承認欲求(高位)

承認欲求はさらに2つにわかれます。他の人から認められたいという低位の承認欲求と自分の信念にもとづいて自分を承認できるかという高位の承認欲求です。

高位の承認欲求としてあるのが、オーガニックやベジタリアンやビーガンです。こちらも一回り高くなります。

低位の承認欲求よりは価格は抑えられますが、それを維持する労力がかかるのが特徴です。

まとめ

今回はマズローの5段階の人間の欲求と、上位の要望に移動するに従って値段の高いお店になるということを見ていきました。

同じビールでも家で飲むのと居酒屋で飲むのとキャバクラで飲むのでは、金額が全然違います。ですが、欲求の5段階から見てみると正当な金額ということがわかります。

飲食店で見ていきましたが、ファッションや美容院など他の業界でも同じことが言えます。高いお店を見たら、どのように社会的欲求や承認欲求に結びつけて商売しているのか見てみるとおもしろいです。


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