見出し画像

バイクとお別れした話

バイクというか、原動機付自転車なのだけれど、長年庭先に眠っていた原付をこの度廃車にした。

7年前に引っ越した時に買った原付で、我が家は最寄り駅まで歩くと30分もかかる辺鄙な一軒家を買ってしまったので、移動手段に困るなぁということで15万円で購入した。

車種はYAMAHAのVino。白と黒のパンダ柄である。

乗らなくなった理由は、妻が病気したために毎朝子供を保育園に送るため、バイク通勤はしなくなったことが大きい。

その送迎は、次男坊が生まれる5年前に買った、愛車の軽自動車N-Boxで移動するのだが、これがまた原付の存在意義を疑問視する結果になった。

というのも、通勤パターンとして、朝、子供を車に乗せて保育園に行き、一旦家に帰り、バイクで駅まで向かい、電車に乗るというのは結構ハードだ。

なので、僕は金に物を言わせて、子供を車に乗せて保育園にいき、そのまま駅の駐車場に止めて通勤するということを数年やっていた。

特に月極駐車場など契約していないので、毎回1100円くらいの駐車場代を払っていたので、相当な金額だと思う。月22000だとしても、年間264,000円ほど駐車場にお支払いしていたことになる。たけー

で、最近になって新型コロナウイルスが襲ってくると、テレワークになり、めっきり通勤することは無くなった。すると、保育園に送って帰ってくるだけなので、もちろん駐車場代は浮くのだが、より一層バイクに乗る理由というのはないのだ。

庭も特に広いわけではないので、ただただオブジェと化していたVinoは、この度お別れすることになった。約2年くらい乗らずに雨ざらしにしていたため、エンジンもかからず、ボロになってしまったので、値段はつかないだろうと思い、購入したバイク屋さんに電話してみると・・・

「お引き取りですねー。10000円になります。」

とのこと。

購入時期が古く、状態も悪いため、廃車になるだろうし、有料での買取というのは難しいそうである。

なんかちょっと安くならないのかなぁと思って、Webサイトで良くみる見積もりサイトに投げてみた。一回メールアドレスを登録すると、複数社からメールが返信されてくるというサイトだ。

予想として、まず値段がつくことはないと思ったので、相見積もりを真面目に取るほど、一生懸命やる価値はないので、10000円より安く引き取ってくれるところがあれば即決で頼もうと思った。

一番早くメールの返信が来たところに住所をお伝えし、出張査定をお願いしたところ、翌日朝には来てくれて、バイクを一瞥するなり、

「これっすか。うーん」

と厳しい表情。どうやら予想に違わず値段がつくことはなさそうだ。

ただ、このバイク屋のお兄さん、とても縁のある人で、ちょうど僕が住んでいるエリアで長年暮らしていたそうで、地域の小話に花が咲いた。

また、バイクはやはり子供ができたりすると乗らなくなる人が増えるそうで、趣味のバイク乗りも、奥さんと子供を置いて一人でツーリングは行きにくいし、次第に手放すようになるらしい。

まさに自分もその気持ちがわかって、原付ではあるけれど、行ける範囲で遠乗りすることが好きで、妻と子供が出かけた日などはちょくちょく一人で走った物だった。

最近は、家庭の事情で子供たち二人を連れて、3人で出かけ、妻に自由時間を与えるというのが習慣になったので、全くバイクにまたがることはなかった。

ただ、バイク屋のお兄さんの話によれば、子供が大きくなるにつれて、またバイクに戻ってくるお父さんが多いそうである。

男のロマンというか、やっぱりバイクに乗って一人、道をいくというのはとても楽しいし、風と一体化するようなあの時間はいろいろなものを捨て去って走るような快感があって忘れられない。とても気持ちがわかるなぁと聞いてて思った。

結果、査定は超頑張ってもらって、5000円で引き取ってもらった。会社に一回連絡すると、10000円で回収してこいって言われるので、この場で5000円にしときますね、と便宜を図ってくれたので、もう即決である。

先方の会社から電話をいただき、「5000円お支払い頂いたことで間違い無いですね?」という問にイエスと回答し、簡単なサインをして手続きは終了。あっけない。


広くなった庭に嬉しく思いつつも、もうちょっと丁寧に乗ってあげればよかったなぁと、廃車になるVinoの姿を見て寂しくも思った。夏の暑い日も、極寒の冬も、風を切って通勤に付き合ってくれたこいつともお別れかぁと思うと、なんだか寂しい。

一眼レフカメラを買った時には、このバイクでこどもの国まで一人で撮影練習に行ったっけなぁなんて、少しセンチメンタルにふけりつつ、バイク屋のお兄さんが運んでいく後ろ姿をぼんやり眺めていた。


その後やることと言えば、ナンバープレートを返却する必要があった。返却先は市税事務所で、僕の住んでいるエリアはここに持っていった。


3月内に返納すれば、自動車税はかからないそうだ。

一枚、住所や名前や車種を書くのだが、別にわかる範囲でいいですよ、とのことでずいぶん適当だった。それにしては、用紙に印鑑は押してくださいとのこと。

絶対いらないと思うのだが、河野太郎はこういったところをもう少し突っ込んで見直し対応すればもっと手続き簡略化できる余地あるぞ、なんてことを思いつつ、原付とのお別れを済ませた。


いつかまた風を切って走りたいなぁなんて思いつつ、次は頑張って中免でも取って250CCとかのバイクにしよかなぁと思う。一回過去に挫折したんですけどね。原付通勤は、何度も事故の危険も感じたので、迷うところでもある。

しばらくはN-Boxが移動手段になりそうだけど、田舎にでも引っ越したらまたバイクを考えようかな。

創作意欲の支えになります!