4019 スタメン

会社と社員の相互信頼関係(エンゲージメント)を向上させるためのソリューションを提供するSaaS系の企業。月次を見る限り前年同期比で30%程度の成長を続けており、業績は順調に見えます。しいて言えば、売上10億弱の会社なんだからもっと早く成長してくれ、という意見はあるかもしれませんが。

バリュエーション的にはSaaSの中ではかなり安い方だと思います。大抵、SaaSで安い銘柄はTAMに問題があることが多いのでスタメンのTAMについて考えてみようと思います。成長可能性に関する説明資料を見てみましたが、明確な説明はなし。出ている情報から推定するしかなさそうです。

契約している企業の業種にはあまり偏りはなさそう。

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会社の規模は中小企業が中心でしょうか。人材の定着が課題になるのは大企業よりも中小企業の方が多そうですから、これはまあ当然の傾向かもしれません。

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1Q時点の利用企業数は349社。上記を見る限り、ほとんどの企業が対象になり得るでしょうから、開拓余地という意味では十分に残されている気はします。

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ただ、このグラフで気になるのは利用企業数の伸びですね。右肩上がりであることは間違いないですが、2020年度以降は鈍化しているように見えます。4Q決算説明資料によると、コロナの影響によって鈍化した、とあります。確かに、2021年度1Qでは再び増加ペースが加速しているように見えます。安心して良いのかはわかりませんが、月次を見る限りは2Qも前年同期比30%増の業績は間違いなさそう。ここまで見る限りでは成長余地に問題があるようには見えません。

さて、一応現状の数字も確認しておきます。今期の会社予想は売上869百万円、営業利益23百万円です。ちなみに、昨年度の売上は620百万円で、営業利益が21百万円、広告費が94百万円でした。営利+広告費は115百万円で、売上に対する割合は18.5%です。この割合が今期も同程度とすると、今期の営利+広告費は160百万円。いつもの理屈で行くと時価総額は160百万円×65=10,400百万円くらいのはず。やっぱり安い。

昨年度の有価証券報告書によれば、社員数は59人。平均年収は430万円ほど。ここから推定する固定費は、59人×4.30百万円×2倍=508百万円くらいでしょうか。販管費の実績は480百万円くらい。広告費が94百万円載っていますが、まあ誤差の範囲でしょう。それほど無理をして固定費を削っている印象はなし。ちょっと給料安めな気はしますが笑。

ただ、この計算をしていて気になるのは規模の小ささですね。売上も営利もあまりに小さい。エンゲージメントに関するソリューションを提供する強豪がどの程度あって、スタメンの強みがどこにあるのか正直なところ分かりませんが、成長余地が大きいのであればどんどん先行投資して顧客開拓を進めるべきなようにも見えます。規模がある程度大きくならないと、売上の増に伴って固定費も増えると思われますから、営業利益率の伸びはもう少し待たなくてはならないかもしれません。売上が今の4~5倍あればもっと評価されると思うのですが、今の成長ペースを続けたとすると6年後にようやく到達する水準。

前にビザスクの分析をした時にも少し触れましたが、SaaSはある程度規模が大きくないと評価されづらい傾向があるようですので、スタメンもこの理由でディスカウントされているのかもしれません。ただ、月次も出ていますし、単純にバリュエーションだけで比較すると安いのは間違いないので、少しだけ持っておいても良いかなーという気はします。

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