日米欧株価指数の比較

コロナ禍に伴うインフレと、2022年3月からFEDが利上げを始めたことで、米国内外の株価指数や為替に大きな影響をもたらしている。インフレが目立ち始めた2021年からドルインデックスは上昇を始めた。2021年の5月頃に90.028だったドルインデックスは、2022年10月のピーク113.298で考えると25.5%も上昇している。

ドルインデックス

FEDによる利上げについては、あと1回利上げされる可能性はあるものの、ほぼ最終局面に達していると考えられるため、次に台頭するのは利下げ期待である。すなわち、ドルの価値上昇は既にピークアウトしており、今後中長期的にはドル安の傾向(あるいは横ばい)になると予想される。
ドル建てで資産運用すると仮定すると、既に価値がピークに達しているドルをホールドして運用する意味は薄い。ドルインデックスが元の水準に戻るとすれば、ピークから20%のドローダウンを食らうことになるからである。(逆に、例えば円建ての資産を為替ヘッジありで買えばヘッジコストは-5%程度となり、ヘッジだけで稼げてしまう)

よって、可能な限り外貨(ドル以外)建ての資産を買うべきであり、昨年10月頃から欧州株指数が上がり始めたのはこれが理由と考えられる。ドルの立場から見ると資金の流出を意味するのでドルインデックスはこの時期にピークを付け、欧州株指数はボトムを付けた。

DAX(ドイツ)
CAC40(フランス)
FTSE100(イギリス)

最もパフォーマンスが良かったのはドイツで、ボトムから現時点で38.0%の上昇。チャート的にはまだ明確なピークは見いだせない。次点はフランスで34.7%の上昇。直近2ヶ月は横ばいであるものの、ピークを付けたのかはよくわからない。パフォーマンスで考えてもこの2国の差はほとんどない。イギリスは20.0%の上昇で見劣りする上、ピークも既に過ぎているように見える。
ユーロ圏やイギリスはアメリカと同様利上げをしている。東欧圏を抱えるユーロに比べてイギリス単体の方が利上げ耐性はあると思われ(感覚だけで根拠なし)、利上げが長期化する可能性があることが嫌気されていると思われる。

この理屈で言うと利上げを全くしていない日本は欧州圏の株価指数をアウトパフォームしているはずである。TOPIXのチャートは下図。

TOPIX(日本)

欧米と異なり、ボトムは10月ではなく3月である。ボトムからは31.6%の上昇、10月からで言うと27.2%の上昇であり、独仏に比べるとアンダーパフォームである。上昇が始まったタイミングも昨年10月からではなく、今年の3月末ごろ。

直近、日本株の上昇が話題になっているが、おそらく本来は日本株も欧州株と同様、昨年10月頃に上がるはずだったのではないか?ちょうど日銀の総裁が交代する時期であり、急な政策変更等評価し難いリスクが日本株にはあったため、買いが入りにくかったのではないだろうか。
新総裁が緩和路線を継続することが明確になってから急に買いが入るようになったように見える。

欧州株は既にピークに近づきつつあるように見えるが、日本株は出遅れた分だけまだ上昇する余地はありそうである。独仏と同程度のパフォーマンスが出るはずと考えればTOPIXで2450程度まで、日経平均で34600程度までは期待できそう。
日本は欧州に比べて経済状況が良い、利上げをしていないこと等を踏まえれば、上記は最低限の目標でしかなく、もっと上を目指すのかもしれない。ただし、先月時点での日本株のPERは14.5倍であり、他の先進国と比べた場合に飛び抜けた割安感があるわけではない。上記の株価指数を明確に超えるためには、EPS成長は必要になりそうである。

各国の株価指数(左:PER、右:PBR)

さて、欧州株は既に横ばいに転じており、日本株も上昇の大半を消化したと考えると、次に何を買うのかを考える必要がある。
米国株が買いにくいとなった時に欧州株や日本株が真っ先に上昇したのは、市場が大きく資金流入しやすかったからだと考えられる。先進国の中小型株か途上国の株か。いずれにしても買いやすい大きなところは既に買われてしまったので、段々と買いにくい(=時価総額の小さい)市場に資金が向かうと予想する。

直近マザーズ指数は冴えない展開だが、大型主体のTOPIXや日経平均が好調なうちは中小型株を物色する意味が薄く、買いが入りにくいものと思われる。大型株の指数が上がりきって横ばいに移れば中小型株にもチャンスが来るのではないだろうか。

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