米国株ハイグロのバリュエーション比較とかその他色々

FOMCでのハト派転換で米国株式市場の懸念材料はほぼなくなったと思っている。10/11月のFOMCからおよそ1ヶ月半にわたって、株式市場は上昇し続け、特にハイパーグロース株は30~50%上がっている銘柄がザラである。12月のFOMCでポジティブサプライズがなければ押し目があるかもと思っていたが、杞憂に終わった。

ハイパーグロース株が2021年の終わりから2022年にかけて暴落したのはFEDによる利上げであり、その利上げは7月に終わった。さらには来年には利下げの準備があるとすら言っており、金利に対する懸念は少ない。ただ、これまで短期間で株価を上げてきたのも事実であり、来年の0.75~1%の値上げをすでに織り込んでしまっているようにも見える。

金利とPERの関係(超概略)

とはいえ、マルチプルが切り上がらなくてもEPSが上がれば株価は上昇することができ、この観点も優位なのはやはりハイパーグロース株である。利下げの織り込みが終わっていたとしても、多少横這いが続いた後に株価は上昇を継続するように思われる。
ちなみに高金利下であるからバリュエーションの高いグロース株には投資できないとという意見も見るが、高金利はすでに実現されており、株価にはとっくに織り込まれているはずなので、この意見はトンチンカンである。

今グロース株に投資するなら生成系AIは外せないだろう。ソフトランディングが今後のメインストリームになっているのも、中立金利が上昇しているのも全部これが原因と思われ、生成系AIを外したグロース投資もあり得ない。

ここまでリードしてきたのは$NVDAをはじめとした半導体株である。確かに一部の半導体株は生成系AIの影響で驚異的な業績を叩き出している。ただ、製造業の一種ではあり、成長力には限界があるし、生成系AI以外の半導体での市況の影響も大きい。業績の爆発力ではソフトウェア系には一歩劣ると思われる。生成系AIの恩恵があるソフトウェア系の企業に軸足を置いて投資していきたい。

アメリカのハイパーグロースのうち、SaaS系のバリュエーションを比較すると以下の通り。赤字の企業が多く、情報が集めにくかったので、時価総額÷四半期売上高予想(コンセンサス)で比較した。PSRの4倍くらいのイメージである。ちなみに生成系AI恩恵だけでは数が少なくなりそうだったので、あまり関係ない銘柄も混じっている。

バリュエーションの比較

日本株と同様、時価総額が大きい方がマルチプルが大きくなる傾向があり、興味本位で決定係数を調べてみたところ、R^2=0.6756でうっすら相関関係はありそうな結果。時価総額が大きいとDCF法の最終項以外もゼロ以上の数字になるからだろうか?

時価総額とPSRの相関

ちなみにここまで日本株の話は全くしていないが、それは生成系AI発祥の地がアメリカだからである。これからハイパーグロースの生成系AI恩恵の銘柄を買おうと思ったらアメリカ株を買うのが一番素直だし、選択肢も最も多い。日本人ならともかく、外国人投資家がわざわざ情報が取りにくくて選択肢の狭い日本株を買い向かうとは思わない。アメリカ株に上昇余地があるうちはこちらをメインにした方が無難ではないだろうか。

世界のマネーの総量は短期的に大きく変わるわけではないので、アメリカの債権以外は引き算で考える必要がある。アメリカ株はアメリカの債券を見ないといけないし、アメリカ以外の株はアメリカ株を見る必要がある。アメリカの債権が買えなくてアメリカのグロース株も買えなかった昨年や今年の前半はアメリカ以外のバリュー株が上昇したが、それはアメリカ国内に投資先が不足していたからである。アメリカの債券もグロース株も買える(しかもそれは他よりも魅力的な投資先である)今、それ以外の投資先に資金を入れておく理由は全くない。先月中旬から日本株が変調をきたしているのは日銀警戒もあるかもしれないが、メインの理由はこちらと思われ、今日本株の特にバリュー株で大きなポジションを持つのはリスクかもしれない。

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