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ジュニアサッカー専門の「noteマガジン」、はじめます。

「街クラブの運営って安定しないな…」

ジュニアサッカーを取材してきて、心に抱える思いだ。安定しない理由を紐解くには、クラブの成り立ちを二軸から見る必要がある。

一つは、経営面。
もう一つは指導面だ。

「そんなの当たり前でしょ」

そう突っ込みたくなるが、試しに数クラブの代表と話してみるとわかる。経営についても、指導についても抽象的な言葉ばかりが並び、論理的な考えがあまり出てこない。だから、すでに少子化の波を受けているのに課題に対する解決策が浮かばず、不安ばかりが募っている。

全国を見渡すと、安定した運営をしているクラブはある。ただ、ほんの一握り。一つ代表的なクラブを挙げると、大阪の"枚方FC"は参考になる。ジュニアから社会人まで各カテゴリーにチームがあり、長年"生涯スポーツ"として選手にプレーの場を提供している。このクラブは今年50年周年を迎えているが、私はここ以外に日本で生涯スポーツにまで成立させている街クラブを見たことがない。地域に根づき、地域とともに歩んでいる。

消滅するクラブ、存続するクラブ。
一体、その差は何なのか?

そもそもクラブ運営にはお金がかかる。
ユニホーム代、保険料、コーチの給料…。

基本、選手の月謝などで運営費はまかなわれているはずである。だが、日本ではクラブの代表がそれを補填していたり、コーチがボランティアだったり、さまざまな無理を強いてクラブを成り立たせていることも多い。いまはその恩恵によって幸せな人たちがいるから、良いとか悪いとか、他人が口出すことではない。

しかし、クラブが消滅してしまったら、その地域の子どもはどこでサッカーをしたらいいのか。

いくら時代が少子化とはいえ、サッカーをしたいと思う子はいなくならない。と、信じたいが、少なくとも地域にクラブがなければ「サッカーの本当の楽しさを味わう」ことはできない。

ボールを蹴る感触。
仲間とプレーする充実感。
勝った喜び。
負けた悔しさ。

出会いは遊びであっても、その子が「続けたい」と思ったのならエンジョイ志向だろうが、競技志向だろうが、チームの一員として継続的に試合をする場がなければサッカーの本当の楽しさ、それを通じた「人生の学び」は得られない。

ここにクラブをやる意味があるのだと、私は思う。

子どもがサッカーをするのに意味なんてなくていい。目標はプロではない。そして、勝つことだけでもない。仲間と一緒にボールを蹴って、敵チームと戦って、勝ったり負けたりして、それを心で感じられたら十分だ。

しかし、プレーの場を提供するクラブは、子どもとは異なる目線を持つことが必須になる。クラブが成り立つような設計を理論立てて考えることが、運営の最低条件。その等価交換として選手(保護者)は月謝等を支払っている。設計図の中に、代表の運営報酬、指導報酬、選手の保険料、備品代などクラブを続けるために必要な費用は含まれているだろうか。

不要に誰かが無理し、誰かが喜ぶスポーツのあり方は時代に合わないし、もう成立しない。クラブが地域に根づいた存続を目指すためには、コーチと選手とお母さんお父さん(保護者)が笑顔になれる関係を築くことが前提条件となる。

コーチは選手に何ができるのか?
コーチは保護者に何ができるのか?
選手はコーチに何ができるのか?
選手は保護者に何ができるのか?
保護者はコーチに何ができるのか?
保護者は選手に何ができるのか?

一つひとつ、クラブに関わる全員が考えてみてほしい。三者がつながり合いを持ち、無理なく支え合って、そして成り立っている。それが地域のクラブであり、そこにある社会の仕組みだ。

そういう位置づけでジュニアサッカーの街クラブを解釈していくと、いま向き合う課題が浮き彫りになるのではないかと思う。地域の街クラブは、小さな社会なのだ。だから、クラブの運営は経営と指導の二軸の目線が必要になる。

「指導には自信があるから大丈夫」

そう、口にする人もいるだろうが、どちらが欠けてもコーチの資格はない。それは選手のためだけでなく、クラブのためにも指導しているからだ。私は指導において「コーチが完璧であることは重要じゃない」と考えている。「完璧であることより人間らしく失敗し、でもそれを認めて成長していく姿をありのまま見せられる」コーチのほうが、子どもの指導には適していると感じている。

コーチが完璧を演じたら、子どもは失敗できない。息苦しい。そもそも子どもがサッカーをするキッカケは「楽しみたい」「仲間と遊びたい」と思ったからだ。それがクラブに通う理由。それなら、子どもの気持ちに応えられる、寄り添える指導ができていれば「いいコーチ」だと言える。

どんなにサッカーの知識があっても、子どもの顔が曇っていたらいいコーチとは呼べない。

もちろん、クラブで指導する限りはサッカーを勉強するのは当然の義務である。それはクラブ、選手、保護者の期待に応えなければならないから。だからこそコーチに対する報酬も大切なのだ。

「地域に根づいた運営ができる街クラブを増やしたい」

これが、ジュニアサッカー専門のnoteマガジンを始めたいと思い立った理由だ。当初は、子どもの発育発達に合わせた指導を中心に記事を書くつもりだった。しかし、それだと2013年から海外のクラブを含めてジュニアサッカーを取材し続け、蓄積してきた知識を地域の街クラブに還元できないとテーマを考え直した。コーチ育成が主な目的だが、「地域との関係づくり」など街クラブの運営を成立させるために、もう少し広い観点で記事を綴っていく。

マガジン名は「僕の仮説を公開します」。

月4回、毎週木曜に配信していくので、ぜひ応援していただけたらと思う。先にお断りさせていただくと取材活動費が必要になるため、有料とさせていただく。その点は、本当に申し訳ない。しかし、他では読むことができない内容であることは、プロの編集者として、文筆家として必ず保証する。

12月5日、今日から「僕の仮説を公開します」のご愛読をよろしくお願いいたします。

木之下潤
「ジュニアサッカーを応援しよう!」特集担当中!

#ジュニアサッカーマガジン
#僕の仮説を公開します

「僕の仮説を公開します」は2020年1月より有料になります。もし有益だと感じていただけたらサポートいただけますと幸いです。取材活動費をはじめ、企画実施費など大切に使わせていただきます。本当にありがとうございます。