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10年後、あなたの地域のクラブは生き残っているか?【地域クラブの経営を解剖する01/僕の仮説72】

■ゼロから問う、経営とは何か?

「経済を営む」と書いて『経営』と読む。

この読み方は、あくまで個人的解釈だ。辞書で調べると、遠からず的を射ている。経営とは、「規模・方針などを定めて(経済的にうまくいくように)事業を行うこと。また、その組織」とある。

ジュニアクラブの経営者は、これを実践しているだろうか?

自らの生計を立てる。非常に重要な経営理由だ。自らの幸せ、家族の幸せなくして他人のことは考えられない。極めて当たり前のこと。ただ、クラブ経営を一人で行うことはできない。

少なくとも一人、二人は一緒に戦ってくれるコーチを雇っているのではないだろうか。そうすると、雇用主として雇用者に賃金を支払う。

賃金とは、「労力を提供したものが、報酬として受け取るお金」のこと。賃金といっても経営者が勝手には決められず、都道府県の労働局が定める時間額が存在する。

▼東京都=時間額1,041円
※令和3年10月1日より効力発生

東京では、3時間の労力に対して3,123円の報酬を最低賃金として支払う義務がある。「うちの規定では、最初から1000円だった」は通用せず、不足分は支払わなければならない。

「良い指導者がいたら紹介してください」

長年ジュニアサッカーの取材をしているからか、こんな声をかけられる。そのときに「うちは半日●●●●円、1日だと●●●●●円なんです。これで引き受けてくれるコーチはいませんかね?」と賃金を提示されたことは一度もない。

「どんな経営をしてるの?」

不思議に感じる。経営は「規模・方針などを定めて事業を行うこと。また、その組織」なので、経営者と支えてくれる雇用者、ジュニアクラブでたとえると代表者とコーチとの間に『カネ』と『労力』のやりとりが発生する。

コーチへの賃金を提示できない時点で、このクラブの経営に疑問を抱く。だから、相談を受けても雇用関係を軽く扱いすぎていて、「コーチの紹介」をできるはずがない。たぶん想像すらしていないだろうが…。

きっとサッカー界には数多くの『どんぶり勘定』経営が蔓延している。

そこで、経営学の観点から「クラブ経営を解剖する」企画を配信したいと思った。大きな組織が事例だと、経営に必要な要素が増えるため、小さな組織=『地域のジュニアクラブ』に置き換えて考えてみようと考えた。

前もって注意書きとして記すと、今企画は正解を見出すことが目的ではない。事前に、経営に関する仕組みや構造と呼ばれる『骨組み=フレームワーク』を知っておけば、いろいろ困難な状況に陥ったときに解決策を講じることに役立つ。

純粋な思い。

企画の実施を決断した大きな理由は、このコロナ禍で多くの困り果てた地域のクラブ経営者を目にしたからだ。

2020年5月に地域クラブ救済のために『ジュニアサッカーカンファレンス2020』を開いた経験、そして、10年以上の取材経験を経てたどり着いた「地域のジュニアクラブに最も欠けた根源的な企画」だという自負がある。

経営学を学び、自身も経営を行われる著者の書籍を参考にしつつ、私なりにかみ砕いてお伝えできたらと思う。

■契約とは信頼関係を築くこと

「ジュニアクラブの経営とは何か?」

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「僕の仮説を公開します」は2020年1月より有料になります。もし有益だと感じていただけたらサポートいただけますと幸いです。取材活動費をはじめ、企画実施費など大切に使わせていただきます。本当にありがとうございます。