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子どもを指導する前に、まず人間の行動原理「心と体と頭の関係性」を知ってほしい。【筆者の思考整理帳05/僕の仮説29】

変化とは、痛みが伴うものだ。

これまでの自分を見つめ直し、悪い点があれば原因を突き止め、いい方向へ進むために改善策を練り、それが正解かどうかもわからないのに歩む勇気を振りしぼらなければならない。人はそれに時間がかかることも苦しみがあることもわかっているから、最初の一歩を踏み出すことに躊躇がつきまとう。

人間は脳が発達してしまったがゆえに、他の生き物に比べて憶病になってしまったのだ。それは心身の痛みが伴うときに感性よりも理性が働くよう進化してしまったから。これは人間が自然界の生存競争を勝ち抜く上で「脳の発達を選んだ」からこそ起こる、ある意味仕方がない生理現象と言える。

しかし、その変化の先に豊かな未来があることも過去の経験で知っている。

だから、人は勇気をもって「何の保証もない未来を見つめて歩む」ことができるのだ。これが今を生きるためだけに時間を費やさない、「未来に時間を投資できる」知恵を得た人間の特権。人は未来に思いを馳せ、五感でイメージを膨らませることができる。これこそが武器だ。

肉体と肉体の勝負に血沸き肉躍るのは、人間が進化の先になくした生き物としての原始的な生存競争への憧れから湧き出てくるもの。それと同じように、人々がゲーム性の高いサッカーというスポーツに熱狂するのは肉体と頭脳との共存が目の前で繰り広げられ、人間の限界に挑んでいるプロ選手に憧れを抱くからだ。

みなトップアスリートに尊敬の眼差しを向けるのはそういうことが理由にある。だが、多くの人はトップアスリートにはなれない。たとえば、プロサッカークラブのアカデミーに在籍する選手たちでトップチームに昇格、もしくはプロになれるのはほんの一握りだけ。プロを目指すとは、それだけハードルが高いところを目指していることを認識しなければならない。

まず、ジュニア世代からこの事実はしっかり子どもに教えることが大事だ。

こういうことを口にすると「子どもの夢を潰す気か」という大人がたくさんいるが、そんな気は毛頭ない。逆に「夢だけを与え、夢破れたときにあなたはその子に何をしてあげられたのか」と問いたい。私は、子どもの頃から両方を教える義務がジュニアコーチにはあると思っている。

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写真提供=佐藤博之

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