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きっかけ

 note株式会社と岩手県教育委員会が連携し、全県立高校63校と県教委がnoteでの情報発信を開始しました。
 これを機に、自分も何か書いてみようと思ったのですが、書くことが苦手な私(苦笑)なので、以前勤務していた岩手県立総合教育センターで自分が書いたメルマガのコラムを掲載します。

<岩手県立総合教育センターメルマガ第129号2019.03.20より(一部改変)>

「きっかけ」 
 「ぼうさい甲子園」を知ったのは今から約13年前のこと。毎日新聞社からの1本の電話がきっかけだ。その電話でぼうさい甲子園とは、阪神・淡路大震災の経験と教訓を未来に継承する目的で始まり、学校や地域で防災教育・防災活動をしている子供たちを顕彰する事業であることを知った。平成18年度からこの事業に応募し、のちに最優秀にあたる「ぼうさい大賞」を受賞しし報道機関でも何度か紹介された、宮古工業高校(当時)の「津波模型」といえば知っている方もいるでしょうか。
 この津波模型は、縦横1,800mm程の大きさで、等高線や等深線のデータを基に忠実に作られており、実際の水で津波を発生させることができるのが大きな特徴だ。他学科とも連携し、それぞれの専門性を生かしたものづくりと、小中学校への出前授業などで、工業教育のみならず地域の津波防災活動にも大きく貢献してきた。
 東日本大震災の発生前、この模型を使ってある小学校への出前授業に参加したときの、「僕んちまで波が来たー!」と模型を見て目を丸くした児童のリアクションは今でも忘れられない。
 その数年後、模型が“予言”した通りに津波が来ようとは…。震災から8年、当時の出前授業を含めた津波防災活動が子供たちの未来を繋いでくれたはずと信じてやまない。

 実は製作当初は、模型に津波を発生させるという構想はなかった。製作を進める中で色々な意見やアイデアが出され、それがきっかけとなって津波防災へと舵を切り、模型は津波模型へと変化していった。もしもそうなるきっかけがなければ、模型はただの模型のままで、小中学校へ出前授業に行くことも、生徒と一緒に津波防災活動をすることもなく、「ぼうさい甲子園って何?」の状態だったかも知れない。これまでの得がたい経験を振り返るとき、人との出会いを含めた素晴らしいきっかけに恵まれたと感じるのである。
 学校生活は、そのすべてが子供たちに何らかのきっかけを与える場になるのではないでしょうか。授業や部活動はもちろんのこと、子供たちとの何気ない会話やしぐさ、教師自身の生き様を見せることなど、教師として人として、子供たちに成長の糧となる、いいきっかけを与えられる存在でありたいものである。

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