第二回:豆星読書会 「読んでみて!」
第二回:豆星読書会は「熱く語る回」でお送りしております!
主催のぱちこ☆は、
月の影 影の海<小野不由美>
を読んで、熱く語ります。
皆さんも、自分の好きな本を読んで、熱く語ってみましょう!
読書会当日まで、あと4週間です。
今回は、自分の決めた一冊を、
まだ読んでいない方におすすめしよう!
の記事です。
今回も、ぱちこ☆オンリーで進めますが、
いつでも受け付けておりますので、
この本「読んでみて!」をお寄せください!
元の記事にも掲載の通り、この記事のコメント欄に、
あなたの「熱く語る」をお寄せください!
また、「読んでみて!」を読んで、
読んでみたよ、という方のご感想もお待ちしております。
同じように、コメント欄へどうぞ〜
元の記事はこちら↓
「月の影 影の海」を、ぜひ、読んでみて!
まず、あらかじめお断りしておきますが、
ぱちこ☆は十二国記の結構なファンです。
恐ろしく偏ったおすすめの仕方をしますので、
ご了承ください。
今回、読み返してみて、やっぱり大好きすぎて、
どこからおすすめすればいいのか、ずいぶん悩みました。
どこをとってもおすすめなんですよね、自分が好きだから。
その「好き」がどう「好き」なのか、
自分が何に魅力を感じて、二十年近く大好きでいるのか、
まとめてみるきっかけになりました。
そして、さらに大好きになりました。
正直、好き嫌いは分かれると思います。
ファンタジーは無理、という人もいるし、
漢字だらけすぎる、と思うかもしれません。
子供向けでしょって思われているかも。
でも、ぱちことしては、どの層の方でも、
楽しめるはずだ、と思っています。
エンタテイメント性は抜群ですし、
だからと言って、その魅力はファンタジーである、
ということだけに、とどまるものでもありません。
そんな、十二国記シリーズの、
「月の影 影の海」
ぜひ、読んでみてください!
生きるとは何か、正しさとは何か >>>物語に流れるテーマ
今回、おすすめするポイントとして、
まず一番目に、
物語全体に流れている「テーマ」をあげたいと思います。
エンタテイメントとして、お話そのものも、
楽しめるのですが、
それぞれの巻に、結構、重めで、
人間にとって普遍的なテーマが、あります。
特に、生きていくとはどういうことか、
正しさはどこにあるのか、といったことが、
取り上げられています。
そういう意味では、特に、若い方は、
このシリーズを読むことに意義がある、と思っています。
古いライトノベルですし、
今のラノベから考えると、あり得ないくらい、
読み辛いかもしれません。
ですが、わたしも若い時に読んで、
ここから多くのことを学びました。
今回、読み返してみて、書かれている本質は、
全く変わらないのだと感じています。
時代が変わっても、わたしたちが、どこかでぶつかる壁や、
どうしようもなく、やるせなく過ごす日々に、
突き刺さるものがあります。
ちなみに、実際には、大人になって読んでみると、
同じ作者の「ゴーストハントシリーズ」よりは、
重厚になっているものの、
ライトな文章で進んでいる印象でした。
そういう意味からすると、大人にとっては、
物足りないかもしれません。
それなら、肩の力を抜いて、
子供向けのファンタジーとして、ライトに読んだとしても、
充分に楽しめます。
ただ、「10代」の自分は、誰の中にもあるはずです。
さらに、いろいろな経験を積み、
さまざまな人間に出会った後だからこそ、
面白いと思える部分があります。
わたしは、あの時リアルに感じていた
大人の社会や、周りに対する葛藤は、
今となっては遠くに追いやられてしまいました。
それを、物語に乗せて、もう一度思い出し、
若い自分の気持ちを、きちんとしまっていく、
そんな読み返しになりました。
十二国記には、誰もが共感できる、
大きなテーマが取り上げられています。
だからこそ、
ファンタジーというだけにとどまらず、楽しめる、
力を持った物語なのです。
彼が彼ではなかったら >>>キャラクター
おすすめする二つ目は、「キャラクター」です。
シリーズものとして、欠かせませんよね。
十二国記は、巻ごとに、違う主人公で展開されるのですが、
それぞれに、魅力的なキャラクターが登場します。
舞台設定上、時代が前後することもありますが、
あの人が、ここではこんな登場を、という、
まさにシリーズものだからこその、楽しさがあります。
楽しすぎて、妄想が尽きません。
実際、舞台が広範囲に渡るわりに、
原作の冊数は、あまり多くはありません。
となると、「もしも」の余地が果てしなく妄想できてしまうので、
楽しみが、本編だけにとどまっていられないのです。
「月の影 影の海」だけに限定すると、
特に前半だけでは、その魅力が分かりづらいかもしれません。
物語は、おかしな見た目の男が、
主人公の前に現れるところから始まります。
異形のものが、主人公を襲い、
そして異世界に連れ去られる、という、
いわば、典型的な展開です。
今回読み返して一番思ったのは、
この主人公が、彼女じゃなかったら、
そして、迎えに来たのが彼じゃなかったら、
この後の話は全く違っていただろうに、
ということでした。
そう考えると、この前半も、
「キャラクター」あってこそ、
彼が彼で、彼女が彼女であればこそ、なのです。
主人公は、物語を通じて、成長し、
元の彼女からは大きく変化します。
彼女の成長と変化も、この物語の魅力です。
正直なところ、シリーズ全体に、
「ハマって」しまうのは、
キャラクターの存在が一番大きいのではないでしょうか。
これについては語り尽くせませんが、
ネタバレになるのでやめておきます!
主人公を苦しませろ、とはいうけれど >>>エンタテイメント性
自分も物語を作る、という人には、
ぜひ、読んでもらいたい。
前半の暗さと、後半の展開が、たまりません。
三つ目は、「エンタテイメント性」です。
展開としては、王道、王道だからこそ、本当に、楽しいのです。
わたしも、昔、
真剣に小説の構造について考えていたことがあるのですが、
「主人公をとことん苦しませろ」という指示が、
どうしても遂行できませんでした。
主人公に甘くなってしまうんですね。
「月の影 影の海」では、前半、
主人公は心身ともにかなり追い込まれます。
ヘタレなだけかもしれませんが、
わたしは、楽しくてハッピーで、ワクワクする話が、
一番好きです。
先が見通せない話や、誰かが誰かを裏切ったり騙したり、
そういう話は苦手です。
なので、初めて読んだ時、心が折れかけました。
読むのやめようかな、と思いました。
どこもワクワクしないし、何に期待して読めばいいのか、
全くわからなかったからです。
わたしと同じような方は、
もう、前半は半分目を瞑ってでもいいから、
読んでください。
最後まで読めば、魅力が分かります。
辛いから、いいんです。
ここが辛すぎるから、このお話は、楽しいんです。
主人公が窮地に追い込まれるほど、
物語は魅力を増すと言いますが、
まさに、その通りです。
生々しい人間らしさ >>>リアリティ
舞台や見た目は違えど、そこに暮らすのは、
わたしたちと同じ、人間です。
最後に取り上げるのは、「リアリティ」です。
市井の人々の、人間らしさ、
人間の心、人間の性といったものが、
ティーン向けのファンタジーの割に、
いやに真に迫っています。
主人公本人も、そうですが、
彼女と関わる人々は、みな、
誰かを妬み、僻み、蔑み、貶めて暮らしています。
前半部分では、
異性界で出会う人々との関わりと、
彼女が戻れなくなってしまった、現世での人間模様が、
交互に描かれます。
「テーマ」のところで、
生きるとは、正しさとは、という話を出しましたが、
それが本当に、リアルに描かれているのです。
「生き抜く」ために、自分が傷つかないために、
道徳的に「正しくない」言動を、
とってしまうことも、あるものです。
自分の芯が強ければ、正しくあれるのでしょうが、
誰でもが、強いわけでも、恵まれているわけでもありません。
誰かを蹴落とさなければ、
自分が生き残れない状況で、
自分なら、何を選んでどう行動するのか。
「もし、自分だったらどうしただろうか」
ということを、主人公の目線だけでなく、
周りの登場人物も含めて考えると、
かなり深い話であることが分かります。
だからこそ、この物語は面白いのです。
舞台はファンタジーですが、
その設定の奇妙さや面白さで、誤魔化してはいません。
世界観を形作っているのは、設定ではなく、
人々の暮らしであり、心のありようなのです。
彼らが人間らしいからこそ、
この世界が本当にどこかにあるのではないか、
という気持ちを抱かせ、物語へ引き込むのです。
「読んでみて!」が長すぎる!
以上、ぱちこ☆が全力でおすすめする、
「月の影 影の海<小野不由美>」を
「読んでみて!」でした。
ネタバレにならずに、おすすめ書くとか、無理だろ、
って思ってたのに、この長さ。
まず、誰が読むねん、って思うけど、
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
(本当に)
当日の「熱く語る」記事はどうなってしまうんでしょうね?
第二回:豆星読書会は、8月24日に開催予定です。
単に、ぱちこが、熱く語る記事を書いて終わりですが、
ぜひ、お楽しみに〜
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