骨髄検査と体調は良いのに動けない状態について

骨髄移植をしてから、月に一度のペースで骨髄検査（通称マルク）をしています。白血病患者にとっては最も重要な検査で、毎回検査結果を聞くときは緊張します。

白血病細胞が体内に存在するかを検査する方法は大きく3段階あります。血液検査で血液中（白血球）に存在するか調べる。骨髄検査（胸や腰の骨に小さな穴を開け、骨髄の中にある骨髄液を抽出する）で骨髄液に存在するか調べる。骨髄液をさらに細かく調べ、遺伝子異常がないかを調べる。

この内、最も重要なのは遺伝子の検査です。遺伝子異常があると、やがて骨髄で白血病細胞が作られ、それが血液中に流れ出てくるからです。おかげさまで移植してから遺伝子の異常もなくなり、寛解状態をキープできていますが、こればっかりはいつまでも慣れません。

※「フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病」になった僕の体験に基づいて書いています。医療機関によって異なる場合があるため、あくまで個人の見解として読んでください。

体調が良いのに動けない理由

今のところ慢性GVHDも特に現れず、体調は良好です。軽い貧血は続いていますが、立ちくらみをしたり輸血が必要なものではありません。熱もほとんど出ず、お腹も壊していません。

ではなぜ動けないのか。動けないといっても普通に歩いたり、家で生活する分には問題なく、外出したり運動ができないという意味合いです。理由は2つ。

ステロイドの影響

GVHDを防ぐためにステロイドを服用し続けています（医療機関によっては移植してもステロイドを使わないところもある）。ステロイドを服用すると、副作用で筋力が落ちます。僕の場合は体重にして10kg分くらい落ちました。

エアロバイクでちょくちょく運動はしていますが、ステロイドを服用している間は筋力がつきにくく、体重も対して変わらず体力もそんなにつきません。

単にリハビリが足りないだけなのかもしれませんが、直ぐに足が痛くなるので難しいところ。なので、長時間歩いたり、ましてや走ったりはまだできません。Fitbitの計測値を見る限り、1日4,000歩も歩けばキツイです。

免疫抑制剤の影響

移植の直前からずっと服用し続けています。文字とおり、免疫力を抑える薬です。これが最も重要で、ドナー細胞に対する拒絶反応を抑えるために必要な薬です。

今の僕は、白血球の数は基準値ですが、かといって免疫力が普通の人と同等にあるわけではないのは、免疫抑制剤によるところが大きいです。また、ドナー細胞が患者の体に馴染むには時間がかかるため（完全に馴染むには数年かかる）、そもそも直ぐには回復しないようです。

免疫力が低いということは、例えば人混みに行けば風邪を引く可能性が高い。埃っぽいところに行ったり掃除をしたりすると、感染症になる可能性がある。生物（菌が残っている食べ物）を食べると、菌に感染する可能性がある。といった問題があります。

外食も控えたほうがいいのは、そもそも食べられる物に限りがあり、店で出してもらう水も要注意だからです。今はまだ、水はペットボトルの水しか飲みません。しかも毎回ペットボトルを消毒しています。

また、人は誰でも体内にいろんなウイルスを一定数持っていますが、普通の免疫力があればそれらは活性化することなく何の影響もありません。しかし、免疫力が低下している状態だと、それらが活性化して感染することもあります。今でも採血の度にウイルスが出てきたり引っ込んだりしてドキドキです。

いつから動けるようになるのか

こればっかりはよくわかりません。通院のたびに、調子がよければ少しずつステロイドと免疫抑制剤の量が減っていくので、薬の量が減るのを気長に待つしかないかなと思います。

減るペースはほんとにゆっくりで、1mg減らしただけでも軽いGVHDが出たこともあり、そうするとまた元の量に戻ったりもします。

元々、一年くらいは社会復帰は難しいと言われているので当たり前ですが、思いの外、体調が良いことでもどかしさを感じている現状。頭ではわかっているんだけど。今はとにかく、ストレスを感じないようにすることが大事なので、一日一日を大切に、やりたいこと、できることを少しずつこなして行きたいと思います。

あと、やっぱりまだ見てくれがよくないので（髪がないので帽子、コンタクト禁止なのでメガネ、マスク着用）、たまには人と会って話したいなーとか思いますが、僕自身抵抗を感じてしまっています。場所も選ぶし。そこもまたもどかしいところではあります。

少し言い訳っぽい内容になってしまったけど、そんな感じです。ほんとに順調に来れていて元気なのは間違いないので、感謝しかありません。むしろ、もどかしさを感じているのは贅沢なくらいですよほんと。

あと二週間ほどで発病から一年。今がある奇跡を忘れないように。

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