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2020年の活動振り返り〜多胎育児のサポートを考える会・フローレンス・個人〜


こんにちは、多胎育児のサポートを考える会の市倉です。

2019年秋から始めた多胎育児のサポートを考える会の活動は、2020年も色々な事がありました。

来年も引き続き!たくさんの方のお力を借りながら多胎児家庭への支援導入を訴え、進めていくつもりですが、ここでこの1年の活動を簡単に振り返ってみたいと思います。

●双子ベビーカーでの都バス乗車、一部路線で叶う!

2019年秋からの活動の中でも力を入れていた点の一つである『双子ベビーカーでのバス乗車』については、非常に前進のあった年となりました。

1月、小池知事との面会の機会を頂き、直接会って『二人乗りベビーをたたまずに都バスに乗せてくれ』と直接お願い。

このとき知事からは『折り畳まなくても都バスに乗れるよう、各所と調整して進めていく』と明言をいただきました。

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そして3月、国交省から『一定条件のもとなら、双子ベビーカーを折りたたまないでバス乗車OKとする』という指針の発表。バス含む交通運輸を取り仕切る国交省よりお墨付きをいただけたことで大きく前進が期待されましたが、そのままコロナ禍へ突入、、、。

話が進んでいるのか否かが分からない状況が数ヶ月続きましたが、その間も東京都交通局へは1ヶ月ごとに電話をかけ『進捗いかがでしょうか』というやり取りを続けていました。

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そして9月。ついに『一部路線で、折りたたまずに乗れるように試行スタートする』という正式発表があり、かなりの反響!

実際に9月14日から新ルールでの運行がスタートし、2ヶ月後には横浜市営バスも全線で乗車が解禁されるなど、少しずつですが状況は変わってきています。

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(↑解禁初日、恵比寿からバスに乗るご家庭を取材しました)

2021年には都営バスでの全線解禁や、他の民間バス会社への波及などが望まれるところ。今後も引き続き提言をしていきたいと思います。


●多胎児家庭向けの支援制度、各区で導入がスタート


2019年末には一部報道で『東京都が多胎児家庭向けに支援制度を創設するらしい』問うことが伝わってきており、それが正式な発表になったのが年明け1月下旬の事。

①移動支援のためのタクシー料金補助 ②ヘルパー制度の期間拡充 ③ピア(当事者同士のつながり)サポート

以上の3点に加え、

④多胎児家庭がベビーシッターを利用する場合、その理由を問わず、子ども1人あたり2,500円/時までの時補助が月16時間まで出る【東京都ベビーシッター利用支援事業一時預かり】

という4つの柱が発表されました。

これを受けて、台東区がいち早く①②を7月よりスタート。

杉並、文京、江東、渋谷、立川、八王子、昭島、などもこれに続いています。

また、④に関しても荒川区・武蔵野市で導入が進み、『手が足りない』という多胎児家庭の悩みに対応する制度が少しづつ構築されていっている状況です。

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課題として残るのは、行政の制度設計の煩雑さゆえの『利用開始までのハードルの高さ』。

多胎児家庭は外出自体が困難さを極めます。行政の窓口に申請用紙を貰いに行ったり、説明を聞きに行くことが非常に難しく、それゆえ既存サービスの利用開始までたどり着けないとという面が多々ありました。

制度利用者の生活を、設計者(行政の職員)がどこまで想像して、寄り添った制度設計にできるか。

制度は出来て終わりではありません。『HPに書いてあるよ』『〇〇まで申請しに来てね』ではなく、行政側から利用をプッシュし出張っていく。

新しい福祉の形が一番望まれるのが、この多胎児家庭です。



●多胎児サークルがオンラインとリアルを柔軟に使い分け、連帯して『関東多胎ネット』が爆誕!


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一方、当事者のママパパたちの動きも非常に活発な一年でした。

「リアルで会えないならオンラインで交流しちゃえ!」と、コロナでのオンラインツールの普及を生かしてたくさんの交流会が開かれています。

多胎児家庭は1/100のマイノリティ。それゆえ、育児の悩みや孤独を分かち合える仲間も少なく、そうした交流を心の支えにしているご家庭も多いです。

『自分たちが感じていた困難や孤独を、このあとに続く多胎児家庭に味あわせたくない!』

そんな気持ちで次々と企画を立て、少しでも横につながろう、情報交換しようと活動する彼女たちを、心からリスペクトします。

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(↑練馬区の双子サークル『twins rapony』のinstagram。毎回楽しそうな企画、、!)

秋にはそうした各地域のサークルが横連携し、【関東多胎ネット】を誕生させました。

サークル立ち上げの支援やイベント後援など、知識と経験を無駄にせず生かしていこうという姿に、日々私も刺激をもらっています。

私も一部この会に関わっており、今後も一緒に関東の多胎児家庭支援を盛り上げていこうと思います。


●政策コンテンスト『マニフェスト大賞』の最優秀成果賞を受賞


11月には、政策コンテストである『マニフェスト大賞』で最優秀成果賞をいただきました!喜!


受賞コメントでは、こんなことを言いました。

友人の双子育児をなんとかしたい、そんな気持ちだけで始めた、活動とも言えないような活動でしたが、心ある議員さんに出会えて、全国の当事者が仲間になってくれて、区議さん、都議さん、国会議員の方が話を聞いて力を貸してくれました。私にとって政治はつい最近まで本当に遠い存在でしたが、今は市民の声と政治の力を、心の底から信じています。

多胎児家庭の支援制度がなぜ2020年になぜこんなにも進んだか。

それは、制度を作る側である『政治家』に生の声をストレートに届けられたからだと思います。

つい数年前まで、私にとってはテレビや新聞の中の出来事であった【政治】。それがこんなにも私達の生活と密に関わっていることを感じた一年でした。だからこそ、その力を信じて、これからも声を届けたいと思うのです。


●多胎児専用の新サービス『ふたご助っ人くじ』のトライアルがスタート!


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最後は、私が勤めるフローレンスでの動き。

フローレンスは、2019年秋に記者会見を実施し、『多胎児家庭の困難』という隠れた社会課題の解決に奔走してきました。  


社会課題を啓発する一方、2020年からは『自らも最良の事業者として、インフラを創造し、最後の一人まで助ける』というストラテジー通り、多胎児家庭専用のサービス開発をしています

私も社内異動をして、このサービス開発に毎日試行錯誤しながら取り組んでいます。


●2021年に向けて

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さて、ここまで成果が上がった項目を上げてきました。でも、まだまだ課題はたくさんです。

2月。町田市で、双子の内の1人を親が殺してしまう事件が起きました。小さく生まれた、医療的ケアのある我が子が『絵本を読んで』とせがんだことに腹を立て、布団で巻いてしまったと報道されています。


また、12月には和歌山県で双子と一緒に無理心中をしようとした母親が逮捕されました。


2つの事件に共通することは、おそらく母親は育児ノイローゼだったということ。周囲にうまく育児困難を吐き出せず、理解者がいなかった事。


事件の報道を聞くたびに、私も、当事者たちも、母親の心情に思いを馳せて、落ち込みます。当事者の中には、『ああなるのは私だったかもしれない』と思う方も少なくないと思います。

多胎児を育てる環境がいかに過酷で、いかに支援を必要としているか。

それはもうわかりきっていることなのに、いつまでこのままの状況は続くのでしょうか。

やはり、多胎児育児の環境は『特殊』なのです。それは『特別扱いをして』とか『優先して』といったものではありません。二人以上の人間を同時に育てることは、核家族化が進む現代の日本ではかなりの困難を伴います。

それ相応の体制を整えていかなければ、今後もこういった事件は起き続けるでしょう。そしてその被害にあうのは、いつだって、愛されるために生まれてきたはずの子どもなのです。

私は、『多胎児を育てている』という理由をもって保育園に入園させ、日中に親に心身の休息をとらせることが本当に必要だと思います。

この点は、まだまだ諦めずに訴えていきたいと思います。


●個人的な振り返り:多胎児家庭支援に取り組むことで私は何をしたいのか


ここからはおまけで、個人的な振り返り。

自分の子供たちも9歳・5歳となり、『親の思う範囲からどんどん飛び出していっている』という場面が増えてきました。

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育児(の、主に手数の面で)が楽になったぶん、思うのです。

ああ、乳児期って、なんであんなにしんどかったんだろうな。余裕があれば、育児をもっともっと楽しめたたなら、子どもを『かわいい』と思える瞬間がもっとあったのだろうなぁ、と。

そしてその『余裕』や『育児を楽しむ気持ち』って、本人の向き不向きももちろんあるけれど、親を取り巻く社会の在り方によって随分補填されるものなのではと思うのです。


双子を産んでもいない私がここまで多胎児家庭の状況に気持を込めるのは、幼馴染の双子ママが置かれたこの理不尽な状況と、自分が子育てで感じてきた社会への怒りや悲しみなどが、少なからずリンクしていたのだと思います。

私はこの『子育てがしにくい社会』を変えたい。

多様な選択肢がある中で『子を持つ』という選択をした人たちが、生き辛さや怒りを感じる機会を少しでも減らしたい。多胎児支援を通じて、私はそれがしたいのだなと、だんだんわかってきました。

もしかしたらこれは、生涯をかけて戦うテーマになるのかもしれません。

どんどん成長する子供たちを見ていると、こんな世の中を子どもたちに背負わせてはならない、と思うのです。



●まずは目の前の多胎児家庭向け新サービスを成功させる!

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そんな思いをこめて、仕事も個人の気持ちもごちゃまぜでつっこんでいる「ふたご助っ人くじ」では、ワンオペ×多胎児育児』という無理ゲーを打破するべく、現在は荒川区と武蔵野市でトライアルを実施しています。

ぜひ身近に対象者がいらしたら教えてあげてくださいね。

ふたご助っ人くじはこちらから


来年もみなさま、どうぞ宜しくお願いします!!


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