見出し画像

東京都町田市で、双子家庭の虐待死事件。本当に「待ったなし」の多胎児家庭支援


こんばんは。

多胎育児のサポートを考える会の市倉です。


昨日は、あまりにも悲しくて辛いニュースを知りました。

東京の町田市で、双子の男の子(2歳)を殺めた疑いで、母親が逮捕。

詳細な背景がまだ報道されていないので事件へのコメントは控えますが、多胎育児のサポートを世の中に訴えてきた立場としては、非常にショッキングなものでした。

●「多胎児を家族だけで育てる」という無理難題

昨年、私が勤務先のフローレンスとともに行った「多胎児家庭の育児の困りごとに関するアンケート調査」では、全国から1591件の多胎児家庭の辛い現状が浮かび上がりました。

スクリーンショット (211)


アンケートの詳細はこちら:https://florence.or.jp/cms/wp-content/uploads/2019/11/191107florence_press.pdf


多胎育児当事者の93.2%が「気持ちがふさぎ込んだり、落ち込んだり、子どもに対してネガティブな感情を持ったことがある(あった)」と回答。

画像1

コメントの中には「子どもを投げてしまったこともある」「毎日泣いていた」「気が狂うし死にたくなる」「何度子どもを殺してしまうかもと思ったことか」と、まとめていて苦しくなる言葉ばかりが綴られていました。


●1日に授乳18回、オムツ替えは28回……壮絶な多胎育児の実態

以下は、実際に双子を育てたご家庭の育児日記を元に一日のタイムスケジュールをイラスト化したもの。尋常でない日々がわかると思います。これが、明日もあさっても、毎日続くのです。

画像2

今回の事件の家庭がどんな生活を送っていて、どんなサポートを受けられていたか、もしくは受けられていなかったかはわかりません。

ただ、「多胎児を家族だけで育てる」ということの無理難題を、どうかわかってほしいのです。

●圧倒的に不足する、多胎児家庭へのサポート

昨年朝日新聞が行った調査では、「全国の道府県庁所在地と東京23区に、双子など多胎児を持つ家庭への特別な育児支援策の有無を尋ねたところ、約25%の市区で「特化した支援はない」」ということがわかりました。

スクリーンショット (206)

(朝日新聞デジタルhttps://www.asahi.com/articles/ASM9R4HCSM9ROIPE00D.html「多胎育児、自治体で支援策に差 25%「特化支援なし」」)

「ある」と応えた75%の自治体も、多くは「多胎家庭向けの育児教室や父母の交流会などを開催」が最多とのこと。


もちろんそれが助けになるご家庭も多いと思いますが、圧倒的に「大人の手が足りない」という状況の家庭を支え、親に心身の休憩を与えるに足るほどの支援をしている市区町村はほんの一握り、いや、ゼロに近いといってもいいと思います。


●とにかく、親に「休息」の時間を

私は当初から、「保育の必要性認定に【多胎児を育てていること】」を入れてほしい」と訴えてきました。

画像5

保育の必要性とは、内閣府が定める子ども・子育て支援新制度において保育園に子どもを預ける基準。

以下のいずれかに該当することが必要となります。

スクリーンショット (208)

(内閣府HP「保育の必要性の認定・確認制度」より引用https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/pdf/setsumei5.pdf)

現在は主に親の就労や出産、介護でしか子どもを預けられないのですが、「多胎児を育てている」ということを理由に、日中保育園に預け、少しでも心身を休ませてあげてほしい。これが叶えば、全国の自治体で、入園の対象になります。(もちろん、周囲のサポートがあり入園が必要でない方は、預けなくて良い)  

とにかく、選択肢を増やしてほしい。今のままでは、やる気のある自治体の、それもかなり限定されたシーンにしか支援が波及しないのです。


●もう、本当に待ったなしの多胎児家庭支援

画像7

今の日本は、出産する母親の100人に一人は、多胎児の母親になります。

これを読んでいるあなたの街にも、睡眠を削りながら、必死の思いで多胎児の命を明日に繋いでいる親がきっといます。

豊田市や町田市の事件を対岸の火事と思っていては遅すぎる。

多胎児家庭への支援は、本当にもう、待ったなしの状況です。


これまで多胎児支援に関する動きは、当noteにまとめていますので、ぜひお読み下さい。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?