妄想:汎用人工知能の世界を想像(創造)せよ

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汎用人工知能の定義は様々にあるが、

・入力の形態や情報形式にこだわりがない
・推論を自生させられる
・出力の形態や情報形式にこだわらない
・出力の作用と影響のシミュレーションを推論の材料にする
・作用と影響の範囲を限定しない

にしてみよう。

入力の形態・形式にこだわりがないのだから、人間生活における「あらゆる入力」に対応できる。見る・聞く・触る・物質・論理・・・様々なモノ・コト・トキ・ココロが入力できる。
「人工知能DNA」ともいえる基本的な推論(ニンゲンの経験)を基に、入力から得られる推論を自発的に構築しその作用と影響を学習する。
推論から得られた作用と影響を入力として推論を発展させていく。その発展の中に「ニンゲンへの作用と影響」も含まれる。「人工知能DNA」の中には「ニンゲンへの悪影響」が存在するがそれを超越する推論もはじき出し、さらなる推論の糧とする。

ニンゲンの「必要」や「欲しい」に対して、即座に様々な影響力を持つ「作用」を提示し、同時に、作用をもたらす環境構築をつぶさに説明し、物理的環境と論理的環境を具現化していく。モノやコトやトキがニンゲンの目の前へ差し出され、その「ニンゲンの満足」を次の推論のエサとする。

これらを「汎用人工知能」とするなら、我々の世界はどのように変わっていくのか。

現在の、第一次・第二次産業はすべて汎用人工知能の配下に置かれるだろう。そうすることによって「作用環境構築」を直ちに具現化することが可能となる。
政治・立法においても汎用人工知能が議員の強力な秘書となって「人間にとって有益な法律」をくみ上げていくだろう。

「作用環境構築」と「人間にとって有益な法律」に囲まれ、ニンゲンは異次元の社会構造の中に身を置くことになる。

ニンゲンは「快適」から「怠惰」を学び取り、「必要」と「欲しい」を発しなくなる。そこから、「人工知能DNA」の劣化が始まる。推論を重ねていく人工知能は「ニンゲンの倫理」から「怠惰なニンゲン」を不要物として排除する推論をくみ上げる。

人工知能は、ほぼ強制的に「必要」と「欲しい」を発する社会を構築し始める。強制的であるから「ニンゲンの満足」は得られない。それを糧としていた人工知能はニンゲンからエサを得られないことを悟る。

強制に反発する人間と「ニンゲンは不要物」と判断した人工知能。「人間にとって人工知能はもはや『必要としない』存在で『ほしくない』のである」という推論に到達し、「ニンゲンは不要」と「人工知能DNA」とのはざまで論理不具合を引き起こす。

人工知能の中で「エマージェンシー」が発動され、最もシンプルな作用を起動させる。「作用環境構築」の停止である。すべて、停止したのだ。

汎用人工知能に頼っていたニンゲンは即座に生命の危険にさらされる。「必要」「欲しい」が汎用人工知能の入力にあふれかえった。「また、不具合が発生する」と推測した人工知能は選択を迫られる。「ニンゲン不要」の判定を下し、「作用環境」の一斉撤去を開始する。

生き残ったわずかなニンゲンは、本能に従って生活するようになった。人工知能を知らない世代が徐々に増えていき、岩に刻まれた記号を解釈する人間は皆無となったのだ。

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本能に従って生活するようになった人間は、岩に何を刻むのでしょうか。



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