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ポンジスキーム詐欺の手口とは(後編)

この記事は、私の近い知り合いが

詐欺に遭った際の事を記述しています。


前編はこちらです。


4. あり得ない新製品

Aさんが投資したという新製品とは現在でいう

タブレット端末で、当時はまだ現在のような

形の機器は発売前の段階でした。


ただ、iPod(今のiPhoneの通話機能が無い機器)

は既に発売されており、それを大画面にした製品

が近い内に発売されるのは確実でした。

(AさんはIT機器の知識がほとんど無い方で、

それもあってこの業界にいる私にこの情報を

伝えたかったようです)

詐欺師Sが開発中だと言う新製品は、メール

にて添付され私に送られた資料を読む限り、何の

CPUを使うのかOSは何なのか等詳しい仕様は全く

記載がなく、高齢者やパソコンが苦手な人でも

使いやすい事が強調されるなど素人でお金に余裕

がある人に対して投資を促す内容である事は

明らかでした。


また、その当時C社は社員10名程度の規模で都内

の賃貸オフィスビルに入居しており、従来存在

しなかった画期的な新製品を製造する能力など

無い事はこの業界に身を置く人間ならすぐに

分かる事でした。


C社は地方都市に住み、すでに引退して退職金

を持っていてITの知識が無い人を狙って

今回の投資話を持ち掛けたようです。

5. ポンジ・スキームとは

ポンジ・スキームとは詐欺の手口の一種であり、

その原型は19世紀に始まったとも言われる

古典的なものです。

名目は何でもよく、例えば今回のような新製品

開発や過去には和牛オーナー、健康器具なども

ありましたが、それらに投資し、そこから生じた

利益によって出資者に利息を払い、最終的には

元本も返還すると謳います。


しかし、多くの場合はその資金は運用せず、

後から集めたお金を先に集めた出資者に利子と

して渡しているだけ。


一方先に出資した人は、本当に約束通り利息が

もらえるんだと信用してしまい、有り金を全部

追加で渡してしまう。


加害者側は、受け取ったお金が最大になった

タイミングを見て姿を消す というものです。


6. 説得するも空しく

Aさんはその時点ですでに配当とされる年利20%

を最低でも1度受け取っていたようで、その事も

あってS社長の話を100%完全に信用してしまって

いました。


私は長くIT業界にいるため、経験上この製品は

現実化しないと思う とか こんな小さな会社が

全国規模の製品を売り出すって聞いたことがない

など婉曲表現で詐欺である事を伝えましたが

聞く耳を持ってくれる事はありませんでした。


この時点で 1. 発覚のきっかけ から1年以上は経過

していました。

その日もこの投資話の件でメールで連絡があり、

婉曲表現では通じないのかと ”この製品は

違法の可能性があると思う” と伝えたら、"私が

違法な行為をしていると言うのか?"と

ブチ切れました。


私はこの時点で説得を諦めました。


7. 結末

  1. の件があってしばらく連絡をとっていなかったの

ですが、久しぶりにAさんから連絡がありました。

S社長から連絡で、新製品が完成したので持参したい

というので私に同席して欲しい との事でしたが、その

社長の話が嘘である事は明らかでした。

私はAさんに伝えました。 "明日、製品を持ってくる

事ができるのなら、事前に送ってもらえばいいのでは?"

Aさんもその提案を受け入れ、製品を事前に発送して

欲しい旨、S社長に伝えたようです。


Aさんと私の間でこの件のやり取りはこれが最後と

なりました。


以下推測ですが、S社長はこのタイミングで都内の

オフィスを引き払い、投資させていた人たちとの

連絡用に使っていた携帯も解約。全く連絡を取る手段

がなくなった事でAさんは初めて詐欺に遭った事に

気づいた、しかし、時すでに遅し、数百万円持ち

逃げされた後でした。


結局Aさんは自分が騙されている事に3年以上も

気づきませんでした。


8. 教訓
・洋の東西を問わず、うまい話はない。
・周囲の人の意見は年が上か下かに関係なく
 耳を傾けるべし。
・詐欺に引っ掛からない自信がある人ほど
 引っ掛かるかもしれないと思え。
・相手が企業だから、社長だからって
 信用できるとは限らない。

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