鼻茸にとらわれない新しい副鼻腔炎分類(JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. 2020)

PMID: 32644117

これまで副鼻腔炎は鼻茸の有無で病型が分類されてきた。しかし、鼻茸が病態によらないことが明らかになり、新しい副鼻腔炎の分類では、副鼻腔炎が片側か両側か、その次にTh2炎症タイプがどうかで分類を行った。

コメント
海外では鼻茸を伴う副鼻腔炎の予後が悪いことから、鼻茸の有無で分類されているものが主流であった。しかし、
①2016年に報告されたクラスター解析からは、10種類の病態分類エンドタイプに分けられたが、どのタイプにも鼻茸を伴う副鼻腔炎が含まれていること(PMID : 26949058)
②鼻茸が血液凝固系の活性化と線溶系の抑制によるものからなり、病態に依存しないこと(PMID: 32145873)
から、今回の分類で鼻茸の有無は問わなくなった。

日本では2015年に発表された好酸球性副鼻腔炎に対する診断ガイドライン、JESREC studyがある(https://doi.org/10.3950/jibiinkoka.118.728)。鼻茸の有無、両側性、CT所見、血中好酸球%でスコアをつけ11点以上を好酸球性副鼻腔炎と診断する。この分類は、鼻の専門家でなくとも使用でき、再発率に準じた重症度分類が行われており優れたガイドラインである。しかし、嗅裂に存在する鼻茸は外来の診察で判別することが難しく、手術時に鼻茸を発見することを経験する。また、鼻茸の部位により好酸球数に違いがあり基準を満たさずに好酸球性副鼻腔炎と診断できないこともある。
IgG4、ペリオスチンなどはTh2炎症を推し量る簡便に測定が可能なマーカーで(PMID: 31952913)、それらに加えて、①での解析に使用されたマーカーの検査などが簡便に検査が可能になれば、エンドタイプに合わせた生物学的製剤などが投与でき、副鼻腔炎のコントロールが期待できる。

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