鎌倉殿の13人 第40回「罠と罠」

まえがき

 先週より最終章が始まった訳ですが、前回は誰も死んでいないはずなのに、ここまでかというくらい重い展開になってしまったので今回もかなり身構えながら鑑賞したんですけれども、前回以上の重苦しい展開に見終わった後はヘビー過ぎてどっと疲れが出てしまいました…
 そんな訳でなかなか筆も重い状態になっているので、若干抑え気味な感じではありますが、気になったポイントだけピックアップして行きたいと思います。

泉親衡の乱

 のっけから大胆な解釈で泉親衡の乱が語られていましたが、確かに記録に残る泉親衡という人物は出自が信濃の国である事ぐらいしか知られておらず、義時ら鎌倉御所内の御家人も誰だっけ?という程度しか認知されていなかったはずなので、実は後鳥羽上皇の差し金で源仲章が、正体を隠しつつ義時暗殺を煽った上で身を隠すという設定を盛り込ませたのは凄いビックリしました。
 ドラマでは、同時に後鳥羽上皇が火事で焼けてしまった閑院内裏の建築費用を鎌倉に賄わせ、御家人に負担を負わせる事で鎌倉内の不信を煽らせており、鎌倉に対して(後鳥羽上皇にとっては義時の方がメインかも)あちこちに罠を張り巡らせていました。(まさにサブタイトルの意味通りのような展開となりました)
 史料には泉親衡は源仲章が装っていたという記述は無く(仮にそんな事があったとしても事実が書かれる訳も無いですが)、源頼家の遺児である千寿丸(結局本編には登場しませんでした)を擁することで北条義時を打倒しようと企みましたが、早々に計画が露見され反乱は未然に防がれたのでした。(この時実際に御家人に吹聴し回ったのは泉親衡の意を受けた安念という僧なのですが、捕縛された安念の自白によって和田の息子や甥が関わっているという事が判明しました)

将来の禍根を絶とうとする義時

 義時を含めた鎌倉首脳陣は、裏で京側があちこち罠を張っているのを承知した上で、それを利用して和田一族を滅ぼそうと画策しました。ドラマでは、義時の考え(かどうかは不明ですが、今は害は無いように見えても泰時の代に影響を及ぼす恐れがあるならば、悪い芽は早めに摘んでしまおうという目論見)が語られていましたが、この時点でも僅かに自分の息子のためにという気持ちが残っているように見受けられますし、別の場面では時房との会話で表面上は和田を滅ぼそうとしつつも和田義盛という人物が好きなのではという問いに一応は反応を示していたので、完全に悪に染まったという感じでは無いのかもしれません。
 ドラマも残り8回となっていますが、もはや完全に悪に染まってしまうのか、踏みとどまって最終回の前に善人に戻るのか、これから義時の心がどうなっていくのか注視したいと思います。

三浦義村の信念

 物語の序盤から三浦義村という人物については、北条時政と同様に変わっていないように描かれていると感じています。
 基本的なスタンスとしては、一旦は従う素振りを見せつつ裏では義時と繋がっており最終的に三浦に利する方についていく事でうまく滅ぼされずに生き残ってきました。しかし、終盤に近づくに連れてそれだけではない彼の裏の顔も見え隠れしてきたように思います。(周囲も義村についてはよく裏切る人物と見做されているのか、単純に世渡り上手と思われているのかちょっと不明ですが、近くでその様子を見ている弟の三浦胤義は彼の性格を見抜いており、あまり良い印象を抱いていない感じでした)
 今回最後に起請文を書かされ、和田勢に加わざるを得なくなってしまいましたが、起請文まで交わしているのに覆す事が出来るのか次回の展開が気になるところです。

戦は回避された筈なのに

 もはや戦が避けられない局面まで来ていた両者でしたが、義時から行動を慎むよう言われていた実朝が意を決して政子に訴え、政子も最終手段としてこれまで半々しか成功していない女装させて忍び込ませる方法で何とか義盛を呼び寄せる事が出来たのでした。
 当事者どうし顔を突き合わせるという起死回生の策でしたが、流石に鎌倉殿と尼御台からの説得に義時も折れる事で戦は回避されました。
 …となれば良かったのですが、すっかり安心してしまったためか義盛は実朝と双六を始めてしまったために、血気盛んな和田方は義盛がなかなか帰ってこない事で捕らえられてしまったと誤解してしまい、やはり戦は避けられない運命となりました。回避された時に直ぐに帰るか使いを出していれば良かったんだろうと思いますが、義時の様子からしてもその場を取り繕っただけに見えますし、いずれ何らかの方法で滅ぼされた可能性は高かっただろうと思います。 

 なかなか書く気力も起きずに気がついたら週の後半になってしまいました…次回も悲しい結末になると予想されるので、気持ちが耐えられるか心配ではありますが、しっかり見届けたいと思います。