鎌倉殿の13人 第31話「諦めの悪い男」

まえがき
 前回の最後に義時と比企能員が対峙した時に、能員のたくらみを裏で頼家に聞かせるよう義時が仕掛けましたが、そこに頼家はいなかったため作戦は失敗となりました。駆けつけた時房から頼家が倒れたとの急報が…
 医師(佐々木秀義の孫と名乗っていましたが、若いとは言え見た目がそっくりな上に喋りが明瞭に…どうやら同じ役者さんが演じているようです)の見立てでは頼朝の時と同じ症状で目覚める事は難しいとのことでした。
 比企能員はここぞとばかりに頼家とせつとの子である一幡を新しい鎌倉殿にしようと躍起になり、北条との対決はもはや避けられない状態となりました。

時政の覚悟
 前回の終わりの方で義時自身は最悪の場合、比企を滅ぼす覚悟を固めていました。(比奈との会話で何を話したのか語られてはいませんでしたが、恐らく覚悟してくれと話していたのではないかと思います)
 今回、時政に対して(比企を滅ぼす)覚悟があるのか問い詰める場面がありました。頼朝が亡くなった時とほぼ同じような状況の中で頼家がこのまま亡くなってしまうという前提のもと、既に比企側の手によって京都にいる全成と美衣の子供である頼全が討たれたという事もあり、北条側としても一幡が跡を継いだら自分達が滅ぼされてしまう可能性が高く、これ以上手をこまねいているわけにはいかなかったと思います。

 今回の鎌倉殿の13人では、北条時政という人物はあまり政治向きでない人物で描かれている事もあり、どうしても義時が主体となって動いているような演出がされていますが、本当はこの時点では時政の方が北条の長として指図していたと思います(もしかしたら時政と義時の間で話し合った上で時政が指示を出し、義時は裏で他の御家人との協力を図ったりなど役割を分担していたのかもしれません)

吾妻鏡との違いについて
 今回の話の中では北条と比企の間を仲裁するために、東国を一幡に、西国を千幡に分配したらどうかと義時が提案していましたが、比企側はこれを拒否したことで謀反の疑いありの証拠だとしておりました。(吾妻鏡ではこの取り決めが決定された後に、これを知った比企能員が憤って頼家に相談しに行くという流れになっています)
 これは頼家を昏睡状態にしたために、能員が北条に攻める事を頼家と話してしていた所を政子が裏で立ち聞きして…という逸話を採用しなかった(先日NHKの歴史探偵でも検証していましたが、ヒソヒソ話を立ち聞き出来る信憑性が低かったので採用しなかったのかも)という事と、前回の話の中で頼家が比企能員を全く信用しない事にしてしまった事もあるため、比企が北条の提案を拒み続けるようにしたのだと思います。

比企の最後
 これまでの話の中では主要なキャラクターで誅殺されてしまう人物については、一部例外はあるものの直前に良いところを見せるという演出をしていましたが、比企能員に関しては家を守るために固執する狂気的な面と、丸腰で来たと思いきやしっかり鎧を着込んでいたという往生際の悪さを見せ、当初からの小賢しいイメージを変えぬまま舞台から去っていきました。
 その反面、能員の妻である道が頼家を健康的に育てられなかったと反省していたり、比企の女性たちが縁側で仲良く会話しているシーンを入れる事で、その後の悲しい場面との落差が際立ったのではと思います。
 それにしても、まさかの比企尼さんが再登場されるとは思いませんでした。最後に道が逃れるよう促したシーンもありましたので、もしかしたら今後どこかで再登場する可能性もあるかもしれませんね…
 また、一幡についてもせつがトウに討ち取られた後に行方知れずとされており、泰時の指示で匿われている可能性もあるんですが、愚管抄(来週登場予定の慈円が残した史書)ではせつ(若狭局)と一幡は逃れたものの義時の刺客によって討ち取られたともあるので、次回には詳細が分かるかもしれません

次回への展開
 実際には北条側のクーデターと言っても過言ではない比企能員の変が起こり、これで北条側の目論見どおり千幡が次の鎌倉殿に…と思いきや頼家の容態が奇跡的に回復し目覚めてしまいました。まさかこうなると思っていなかった義時はこの状況をどう対処するのか、また、回復してしまった頼家はどうなってしまうのでしょうか…
 恐らく、次回以降も立て続けに鬱展開が続くと思われるので正直しんどい部分もあるのですが、次回はもう少し気楽に構えた上で望みたいと思います
(と言いつつも入り込んでしまうんだろうなぁ…)