鎌倉殿の13人 第30回「全成の確率」

まえがき
 前回は今後起こるであろう北条と比企の主導権争いの序章という感じでしたが、今回はその均衡が破れ比企側が動き出し、それによって翻弄された全成が最後を迎える事になってしまいました。
 これまで想像していた全成は弁慶のような僧兵をイメージしていましたが、今作では気弱で優しく陰陽に長けたお坊さんという印象だったので、荒くれ者というイメージの悪禅師と呼ばれた逸話にどのように結びつくのか気になっておりました。
 また、全成の最後についても史料ではあっさりとした記述となっているため、今回どのような話になるのか期待していたのですが、予想以上の伏線だらけで息をつく間もなく最後まで見入ってしまいました

時連改名の逸話
 オープニング前の人形が発見されるシーンですが、平知康が時連に改名を勧めた後に時房が背後から蹴った蹴鞠が間違って知康に当って倒れた所に運悪く見つかってしまいました(前回の最後に人形を掴むシーンがあったのですが、もっとガシッと掴んていたような…)
 そのタイミングが丁度頼家が倒れたのと同じ時期と言うことと、北条側の勢いを削ぎたい比企能員が先手を打って全成の邸宅を捜索させ、証拠となる呪詛を行うための道具が見つかった事により全成は八田知家の所領に配流となってしまいました。

実衣は匿われるが…
 比企の手は美衣にも及びそうになりますが、義時が先手を打って政子の邸宅に逃れさせて、更に仁田忠常を呼び寄せ守らせる事で何とか防ぎ切りました。
 美衣は頼朝が倒れた直後の諍いが元で政子としばらく疎遠になっていたこともあって政子の元に向かう事を躊躇していましたが、久しぶりに顔を合わせた時に政子が何としても守ると宣言したことで仲直りが出来たことは、緊張が続く中でも少しだけホッとしたシーンとなりました。

既に形をなしていない合議制
 9人となった合議制ですが、この頃には時政や和田義盛など評議に出席しない者(時政については義時が出席しないよう計らった事もある)や足立遠元は自分は不要なのではなどと言い始めており、もはや形をなしていない状況となっていました。
 前回義時が人を信じる事から始めようと鎌倉殿に注進していましたが、全成の件もあってか結局誰も信頼出来ておらず、所領の再配分の件で訪れた能員に所領を差し出すよう詰め寄られました。能員は怒りに震え直ぐに全成の配流先に向かい、美依が危ないと嘘をついた上で再度鎌倉殿を呪詛するよう説き伏せます。
 全成は苦悩しつつ実衣を助けるためと準備を始めますが…あっさりと八田の見張りの者に見つかってしまいました。能員は自分が全成に指示をしたことがバレると不味いため、すぐに頼家に死罪となるよう働きかけました。

半々の確率
 全成が捉えられる事になった過程については今回の全成のイメージに合わせるためにドラマ上での創作が加えられていました(史料上では従者と共に八田知家に誅殺されたとしか書かれていないため)
 実際は北条&全成vs頼家&比企という対立の中で頼家側に先手を打たれ陥れられてしまったようですが、本作では頼家vs北条vs比企のような構図の中で気弱で優しすぎる部分に付け込まれてしまい、結果命を落とすことになり無念極まりなかったであろうと思います。(八田知家はこの時期比企側に付いていたと思われるので流罪と見せかけ比企に討ち取られたのではと自分は考えています)
 全成の初登場時に伊東の追手が迫る政子と実衣の前で九字護身法を唱えてましたがこの時は何も起きず、今回斬られる直前に唱えて成功した(偶然天候が荒れたのかもしれませんが)ということで、以前全成自身が話していたように半分しか当たらないという事が証明され?サブタイトルの伏線回収となりました。

最後に
 今回の最後のシーンいきなり比企能員の目の前に善児が出てきたので、まさか…と思いましたが頼家が倒れたということで次回へ持ち越しに…
 次回サブタイトルは「諦めの悪い男」ということで、比企能員の変に突入ということになるのでしょうか?

また来週も期待したいと思います