0611.0903

今週から勤務時間が一部変更になって、たまに夕暮れの頃に帰宅することになった。うつくしい夕暮れを見られるだけで気分が良くなる、昨日の夕暮れは じきに夏が来ることを告げるような空だった。

夜にはドライブに出た。4月の頭に車を買ってからというもの、ひっきりなしに車で出かけている。目的を決めて遠出することもあれば、あてもなく気分のままに車を走らせて、頃合いで帰るきまぐれドライブも多い。そんなときには途中コンビニでホットコーヒーを買ったりなんかして。

昨日のドライブは後者だった。ドライブのおわり頃雨が降ってきてね。思えばこの車で夜に雨の中ドライブをしたことがなくて、だからかいやにわくわくしていることに気がついた。雨だ。フロントガラスを打つ雨粒が、信号機の赤や 街灯のやわらかな乳白色、車のネオンライトの光を乱反射し、風で形を様々に変えながら滑り落ちてゆく。それは流れ星や、頬を伝う涙とか。ありふれているけれどそういったものを連想させる。溢れてゆく様がこのあいだの涙にあんまりにも似ていてすこし感傷的になったよ(涙も雨や、流れ星に例えられたならよかったのに、哀しみは哀しみのままだ)。そして濡れたアスファルトは水鏡のように、周りの景色をぼんやりと映し出す。建物も歩道橋も、まるで溶けた氷みたいな輪郭でさ。やわらかな印象のそれらは、まるで違ったふうに見えて まぼろしの街がそこに在るみたいだ。

サンルーフを開けて雨を眺めた。街灯に照らされた雨は、夜の闇の中白く爆ぜて それは線香花火のように。ほんとうにきれいなんだよ。そんなこと、17の頃のわたしは知っていたのに。やっと思い出したんだな、と思った。


今朝はほんとうは雨の予報だった。目が覚めたら雨が降っている。そんな目覚めが一等すきで、そんな日とお休みが被るなんて滅多にないからすごく楽しみにいていたのに、今のところまだ降る気配はない。なんだか裏切られた気分だけど、そんなの知らないって感じに風がびゅうびゅう吹いている。嫌だなあ。風のつよい日はきらいなのに。


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