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「日曜の夜ぐらいは…」第四話:高いアイスの代わりに、三人で過ごす1日を。

三人が仲良く、幸せそうに過ごしているだけで、みているこちらもなぜか心が晴れやかになる。三話までの間に、丁寧に積み重ねられた三人の心情があったからこそ、心から喜ばしいと思える四話だった。

「日曜の夜ぐらいは…」四話では、1000万円を手にしたサチ(清野菜名)、若葉(生見愛瑠)、翔子(岸井ゆきの)はそれぞれの生活で、ままならなさを感じていた。

サチの元には、別れた父親が金の無心を。頭を下げたかと思えば、サチに金銭的余裕があるなら、援助することが当たり前かのように振る舞う父親。車椅子になった元妻と娘への援助なんて一切しなかったのに。「なんかいいことあっただろ、宝くじでも当たった?」なんて、娘の幸せを嗅ぎつけて、おこぼれにあずかろうとしている。堂々たるクズっぷり。サチは、口では拒絶しながらも、3万円を渡してしまう。

若葉の元には、出て行った母親が金をたかりにきていた。若葉は自分と祖母を守るために、通帳を渡す。そこには1000万円ではなく、若葉が汗水垂らして働いた92万円が入っていた。リアルな金額に満足して出ていく母親。宝くじで手に入れた1000万円のために、働いて貯めた92万円が犠牲になる。母親が出て行ったとはいえ、虚しさを感じざる得ない。

翔子は、高校の同級生に売りつけられた美顔器を手に、心を守るため高いアイスを買いにコンビニへ向かった。なぜかそこで店員の揉め事に巻き込まれ、大量のカップ麺を倒し、容器を潰してしまう。美顔器と大量のカップ麺を両手に持ちながら、家まで帰る……

三者三様にしんどい出来事があった日。誰からともなく、会おう!!と三人のグループラインが動き出す。「辛いことがあった時、高いアイスを買う」その処世術の代わりに動き出すグループライン。つらいと言い合いながら、友達と会おうとする三人の姿に、なんだかうれしくなってしまう。

元気だけど、大丈夫じゃない、不幸かも?だから友達に会いたい。全部自分で抱え込んで生きてきた三人が、SOS出せるようになっている。なんて嬉しい成長だ。

おしゃれなカフェでパンケーキ、アンティークショップで家具を見て、サチの憧れのカフェで、長い名前がついた手が込んでいるであろうコーヒーをみんなで飲む。クリームモリモリのカップに口をつけて笑う。なんておだやかな時間なんだ……

話すのは、自分たちに起きたままならない日常と、つらかった友達とのエピソード。仲が良いと言っても、今まで自己開示をしてこなかった三人が、お互いの日常を知ることになる。誰かを否定したり、アドバイスしたりすることもなく、共感しあって、慰めあう。高いアイスを食べる以上に自分を保つために必要な時間だった。

サチの家で、母・邦子が作ったカレーをたべる三人。この上ない幸せを感じながら、三人を引き合わせてくれたみねのことを思い出す。コンビニにみねを呼び出す。みねは幸せそうに笑う三人を見て、嬉しそうに涙ぐんでしまう。

四話はこれまでで一番幸せそうな姿が見れた回だった。辛いことがあっても連絡できる友達がいる、悩みや不安を打ち明けても、馬鹿にせずに受け止めてくれる友達がいる。だからこんな日常も生きていくことができる。

四話の最後で三人は宝くじで当たった3000万円を元手に小さなカフェを開く夢を見つける。長い名前で手の込んだ飲み物と、高いアイスを出して、心を緩められるカフェ。三人を繋げたお金で、三人で幸せになるための道を見つけたのだ。そのカフェで、三人が笑い合う未来を願いたい。

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