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「日曜の夜ぐらいは…」第七話:自分が幸せなときに、周りも幸せとは限らない

外から、楽しそうなサチな声が漏れ聞こえるかつての自宅を眺めるサチ(清野菜名)の父・博嗣(尾美としのり)、お土産を持って訪れたのにもぬけの殻の自宅を目にする若葉(生見愛瑠)の母・まどか(矢田亜希子)、翔子(岸井ゆきの)の軽はずみな行動で、今も苦しむ母親。第七話は、カフェ開業を目指す4人とは裏腹な現状を持つ人々に目がいく回であった。

店舗の物件が決まって浮かれている4人。ことあるごとにサンデイズの店舗の観察をする「警備活動」どんなに小さな理由をつけてでも、見に行きたくて仕方ない。4人にとっては、これまでに見えてこなかった人生の希望が具現化したような場所だからだ。

4人と、それを応援する邦子(和久井映見)、富士子(宮本信子)の間にはずっと穏やかな時間が流れている。

3人は宝くじ屋さんの店員・猫田(椿鬼奴)を訪ねた。そこで、今日で店をたたむこと、入院することを告げられる。自分たちにとって幸せをくれたあの場所がなくなり、応援してくれた宝くじ屋さんは入院してしまう。

自分が幸せで満たされいたとしても、そうじゃない人たちはたくさんいる。連絡先の交換を断った猫田に、最初のバスツアーの後に連絡先を交換しなかった3人が重なる。自分が満たされていないという自覚があるから、次の希望へも手が伸ばせない。

日曜日はくるのが、遅すぎる。そんな言葉を口にする猫田がいつかサンデイズを訪れることを願いたい。

3人だってやっぱり100%幸せではいられない。ずっと貧乏と闘ってきたサチは結局金が解決するのかと、落ち込む。若葉はカフェでアルバイトをしたことで、男性恐怖症を強く認識してしまう。

感情が動くのはいいことだけど……。これからの生活に対して希望だけではいられない。邦子の言葉を借りれば、踏んづけてしまうブロックのような痛みだ。痛いけど、幸せ。生活の中に潜む不安に目を向けられるということは、現状の幸せを十分に理解しているから。幸せじゃなきゃ、痛みにも気付けないのだ。

翔子は、相続放棄について話すために、兄(時任勇気)と会っていた。相続放棄はするから、母親に会いたいと打ち明ける翔子。翔子が元カレの名前の刺青を彫ったことが原因で、実家を追い出されていた。

兄から、翔子の行動がいかに母親の心を壊したか、いかに兄が迷惑をかけられて、心を痛めたかを初めて知る。

翔子からすると、あだ名にして、初対面の知り合いに見せるほどの笑い話だ。母と兄は、その行動にずっと苦しめられていた。自分が笑っている時に、そうじゃない人がいた。

翔子からすれば、ままならない日だ。でも、一方的にままならないと決め切ることができない日。コンビニで高いアイスを買わずにスルーする翔子。

自分がどんなに幸せで充実していても、同じ時間にそうじゃない人もたくさんいる。100%幸せでいられるわけでもない。4人が幸せに近づいているからこそ、その周りで影になっている人物が目立つ回であった。とはいえ、4人には幸せをつかんでほしい。どうか楽しくカフェ開業できますように。



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