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コメディに必要なのは音感

コメディをより面白くするためには、演じる人の音感が必要。根拠があるわけではないです。わたしの自論です。

おっさんずラブ3話は、黒澤蝶子を演じる大塚寧々さんのコメディエンヌっぷり、もっというと面白さを格上げするセリフ回しが炸裂している回だと思っています。

第3話は、夫である武蔵に離婚を告げられた蝶子が春田に協力を頼んで、天空不動産社員のなかから、武蔵の不倫相手を探そうとする回。まあ、武蔵が好きな相手は春田なわけで、しかも片思いなので正確には不倫ではないのですが。誤解が誤解を生み、おかしな展開で話が進んでいきます。

30年連れ添った夫が不倫しているかもしれないって、蝶子にとったらだいぶつらい状況です。でもなぜか蝶子には悲壮感がない。これは大塚寧々さんの持つ雰囲気もありますが、セリフ回しもあると思います。

セリフ回しってセリフを言う時の抑揚という意味です。個人的にはちょっと抽象的な言葉だなと感じていて。音感の方がしっくりくる。セリフを言う速度、音の高低差、緩急などを含めて、音感と呼びたい。

第3話は特に寧々さんのセリフの音の高低差の操り方のうまさを感じます。特に言及したいのが、第3話ラストのレストランのシーン。春田と武蔵、蝶子が3人揃って、会話をする場面。

すべての言葉を同じ音で言い放つこともできるんですが、すこし裏返る音が入るとすごくチャーミングに聞こえるんですよね。「どうでもいいわよそんなの!」とかね。音は裏返っているのに、言い方は強いという緩急が面白くて、笑わされてしまう。

第3話は全体として、寧々さんのかわいさが詰まった回。可愛さの要素を紐解いていくと、不倫されている事実を受け止めきれないが故のおかしな行動と、面白さを生むセリフの音感の良さがあると思います。

ドラマ用サブスク代にします!