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The bear シーズン2 エピソード4 「Honeydew」に関するちょっとオタクめな感想

Huluの「The bear」(邦題 一流シェフのファミリーレストラン←なんで?)のシーズン2のエピソード4ががっちり私の好み過ぎて4回観た。私の万年初心者の英語力もあるんだろうけれど、一回目は普通に、二回目は英語の字幕をつけて、三回目は字幕なしでビジュアルとサウンドに重点を置いて、四回目はこのブログを書くために観直し。四回観ても飽きない大変美しいエピソードである。

馴染みのない人にちょっと説明をすると、「The bear」は亡くなった兄が残したサンドイッチ屋をレストランとして建て直そうとするシェフのカーミーの物語である。で私の一番好きなキャラクター、ペストリー担当のマーカスがレストランオープンのためにデンマークに修行に行くエピソードがこの「Honeydew」。キャラクターが濃く騒がしい人の多い他レストランスタッフの中でも、マーカスは落ち着いていて研究熱心でスウィートなキャラクター。

マーカスは寝たきりで反応のない母親の看護の生活から少し離れ、デンマークのレストランでイギリス人のルカの元に修行をしに行くというエピソードなんだけれど、ルカ役にウィルポールター。

ウィルポールターっていうと「ミッドサマー」でのなんか嫌な感じな役とか、「デトロイト」でのすごく嫌な感じの役とか、「Dopesick」のモラルに欠ける嫌な感じのセールスマンの役とか、どんなグラデーションでも「嫌な感じ」を演じるのが本当に上手な演者さんですが、このルカ役に関する記事を英語で検索すると「ホットなシェフ」役を上手に演じたウィルポールターという評価のようで、新境地開拓である。 上手な演者さんはこういう普通の人の役でこそ才能の見せ場である。ボスとして簡潔な指示を出すけれど、指示を出す側を見下す訳ではなく、自分の言葉に柔らかさを持たせないからと言ってA hole(嫌なやつ)な訳でもないという役を説得力を持って演じています。


 I think at a certain stage it becomes less about skill and it's more about being open. …. To-to the world, to yourself, to other people. You know, most of the incredible things that I've eaten haven't been because the skill level is exceptionally high or there's loads of mad fancy techniques.It's because it's been really inspired, you know. It helps to have good people around you, too.

「 (料理で)ある程度の段階になると、技術云々よりも「オープンであること」が大事なんだ。世界に、自分自身に、そして他の人たちに対してオープンであること。今まで口にした素晴らしい食べ物の大半は、技術のレベルが並外れて高いからとか、派手なテクニックがたくさん使われてたからとかじゃなかった。他から大きな影響を受けているから素晴らしいんだ。良い人たちに囲まれる環境も大事だと思う。(意訳)」

このシーンは本当に自然で、そして共感しかない言葉達です。

最後に、後半自転車で怪我をしているローカルの年配の男性をマーカスが助けるシーンで、Reddit等のスレッドで「意味が分からない」という意見もあったんだけれど、自分がアメリカで外国人として生活をしているとあり得るシーンだよなと思った。「What the heck. Are you guys really doing this?」という文化の違いなのか、個人差なのか分からない自分の理解を少し越えたことが起きたときに、そういうものだと相手/事象を受け入れること。受け入れながら自分のモラルでの「正しいこと」をし続けなければいけないこと。そうすると時々相手から思いがけない愛がハグだったりで自分に戻って来ること。マーカスは寝たきりのお母さんからハグを受けとることは出来ないけれど、外国で言葉の通じない見知らぬ人から突然受けとるハグ。マーカスはこのハグが誰よりも必要だったのではないかと思う。人は自分の生まれ育った環境から時々離れて、正しいことをし続けながら、誰かのハグを受けなきゃいけないことがある。それが「正しいこと」をし続ける自分の力になるんだと私は信じている。

エンドクレジットでディレクターにラミーユセフの名前!コメディアンで、自身のテレビシリーズを「ラミー」をHuluで持つ彼。最近だとまだ観てないんだけれど、「The poor things (邦題 哀れなるものたち」にも出てるみたいですね。本当に大好きなクリエイターで、だからこのエピソード好きすぎて4回観るわけだと思いました。



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