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芸大の作品展を見てきた

芸大の卒展というものを見たくて、行きやすい距離にある2か所に行ってきた。関西だと、東京に比べると多くはないけど、いくつかやってるとこがある。
いろんな作品を見ることができて、気になる作者も見つけることができたので行ってよかった。

見た中で特に気になった作者や作品について、投稿NGじゃないものは写真も載せながら、私の好きポイントや感想を書いた。
絞ったつもりだけど、それでも多くなってしまった。

大阪芸術大学 大学院修了制作展2023

キャンパスは遠くて行けなかったけど、スカイキャンパスというあべのハルカスにあるスペースでやっていた修了制作展に行った。24名の作品が展示されていて、そんなに広くないし人も少なかったので、のんびり見ることができた。

一番長く見ていて気に入った作品は、写真を撮り損ねた。
Wang Xiqiong さんの一連の作品が、不穏で目が離せなかった。
SNS はフォローしたので、また作品を見る機会を楽しみにします。

Wang Xiqiong 『離れても離れても』(パンフレットより)

これは、テーマが『「醜さ」の美学表現』となっていた作品。
大きい作品で、細かくみるとうごめくようなものがいっぱいで、日本画なので絵の具が厚みを持っているのも相まって、醜さときれいさがあった。

Yuan Weifan『生命力』
Yuan Weifan『生命力』拡大

京都市立芸術大学 2023年度 作品展

JR京都駅から徒歩10分とかからない立地で、大阪からでも行きやすかった。ちょっと前に移転したらしく、すべてが新しくてきれいなキャンパスだった。壁も階段も床も器具もまだきれいで、これから絵の具とかなんかでどんどん変わっていくのだろうなと思った。

全学年の作品が展示されている作品展なので、いろいろなたくさんの作品があった。1、2回生までは、講義で制作したであろうテーマごとの作品が多く、学年を重ねるごとにそれぞれの特徴がある作品になっていった。
キャンパス中に展示があり、半分も見れていない。主に日本画と油画を見た。

ピロティみたいなとこにひっそりあった、通り過ぎてしまいそうなこの展示が一番よかった。
柱に違和感を覚えて、よく見たらキャプションがあった。
たしかに紐で囲われて、展示スペースになっていた。
10個くらいの展示物が、ただそこにあった。
遠目にはただ見えてるだけで、近づいてよく見て、ようやく違和感の正体がわかる。

好田一生『ただ見えているだけ』
好田一生『ただ見えているだけ』ホース

油画

德永葵さんの作品が、油彩としてもきれいで、そこにイラスト的な紙人間と紙犬が描かれていて、そのギャップに心奪われた。制作物をまとめたファイルもあって、見てたら2023年の中でも相当数作っていてすごい。

德永葵『かごしま』

以下3作品は、油画基礎1回生の方のもの。写真を並べて、3枚とも青いことに気づいた。青に黄の配色が好きなのかもしれない。
1枚目『水面』は、モチーフの作り方がいいのと、ガラスと水の質感が出ててよかった。
2枚目『レモンのある空間』は、色の使い方が好き。ナイフで削って色がかすれた感じがいい。
3枚目『夜』は、遠くから見たときに目を引いた。濃い青の中に流れる黄色がきれい。

片山桃花『水面』
音山誠真『レモンのある空間』
池畑蛍『夜』

日本画

こんなに日本画を見る機会はなかなかないので、それもうれしかった。

草花の絵と大きい絵が好きなので、縦2mくらいあるこの岡本梨瑚さんの大きな作品が好きだった。場面の切り方、葉の重なり、強弱のつけ方、どれもよくて、こんな風に描きたいなぁと思った。

岡本梨瑚『触れ合い』
岡本梨瑚『触れ合い』拡大

これは、キャプションに1回生とあったし、他にもいろんな方の植物の絵があったので、おそらく講義で課題が出たのだと思う。その中でもこの方の植物が、一番好きだった。右下あたりの葉の色の置き方がよかった。

知念未歩

これは、全体で見るといわゆる日本画というより洋画っぽいのに、細かく見ると日本画のタッチで、色の重なりがきれいだった。

浅田怜乃『流れる』

日本画の手法で、こんなポップな絵描けるんだ!と思った作品。
この方以外の作品でも、かなりビビットな色を使った作品もあったので、日本画って私が思ってるよりずっと自由なんだと思う。

西村咲耶『あはひの無辜』

その他

所属学科によくある作風"らしくない"作品もちらほらあったが、まったく違う作品を展示している人もときどきいた。例えば油画なのにアニメーションだったり、版画なのに立体造形だったり。

この方は油画の学生。でも2D・3Dのアニメーションが展示されていた。動画のQRコードもあったから、ちゃんと見たらよかった。

山本歩未『Me or You』

構想設計は、映像や空間を使った作品だったので写真を撮れていない。
山本絢さんの『底は天』というディスプレイ2枚を使った作品や、村石瑞季さんの『レイゾウコンビニ』という小部屋と冷蔵庫を使った作品で、自分の感覚を外側から見るような気持ちになった。

君野加奈さんの『おなかの子』がかわいかった。
SNSアカウントが紹介されてた気がするけど、調べてもぜんぜん見つけられない。このかわいい子をもっと見たい。

君野加奈『おなかの子』フィギュア
君野加奈『おなかの子』構想スケッチ

あとがき

でかい作品が好きだ。
キャンパスでやってる作品展だと、壁一面使ったような大きい作品があってよかった。壁ごと作品にしているのよい。たのしい。
そもそもどの作品も、自分が家で描いてるような小さいサイズじゃない。そんな作品を山ほど見れて、しかもその作者がそこに座っているかもしれない。すごい。

薄々感じていたけど、私は日本画の塗りが好きだ。
あの薄く色素が層になって色づいて、すこしぱさついたような表面をしていて、顔料が厚みを持ったりする感じ
顔料が高いし気軽に試はせないけど、あの感じを思い出しながら描きたい。
現代日本画を買って手元に置きたい。

卒業展・修了展だと、大学を出てしまうので次に作品を見るには、その作者をちゃんと追いかけていないといけない。そもそも作家として作品を出し続けるとも限らないし、就職して名前が表に出なくなることだってある。
でも、作品展で1・2回生などであれば、また次も行けばきっとまた作品を見ることができる。
それはとても楽しそうなので、きっと来年も京都市立芸大の作品展に行くと思う。
大阪芸大は、次はちょっと遠いけどキャンパスでやってる展示に行ってみたい。

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