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お金に余裕がある時の俺の一週間の休日 前半編

8/14

友人と上野をぶらぶらと歩き、その道中で見つけた居酒屋へ入る。昼の3時だというのに満席に近い程の繁盛ぶりで、そこが高架下だというのも相まってかなりうるさかった。ビールや焼き鳥などを注文して適当に飲んでいると、向かいの居酒屋の席から近寄ってくる一人の男。その男に声をかけられ、顔を見上げるとなんと高校の同級生だった。高校を卒業して以来実に約4年振りの再会である。まさかこんな場所で、こんな形で再会するとは夢にも思わなかった。ちょっとした奇跡だ。

彼とそこで軽く立ち話をした。彼は今上智大学の4年生で、つい先日留学を終えて日本に帰ってきたとのこと。大学を留年した挙句休学してフリーター生活をしている僕とは明らかに住む世界が違う。こんな優秀な人間のことを僕みたいな者が"同級生"などと呼んでいいのだろうか。多分あんまりよくない。

立ち話を終えて彼に別れを告げ、ノスタルジックに浸りながら飲んでいると、今度はまた別の友人が偶然僕達の前を通り掛かりそのまま合流。不思議な事は連鎖するものですね。結局終電頃まで飲み続けて解散。

解散後、一人で帰りの電車に乗っていたところ寝過ごしてしまい、起きた頃には既に最寄り駅までの上り電車も終わっていて、またやってしまったと思いながら豊田駅にて立ち往生していた。すると、偶然そこにいた60歳くらいのおじさんに「3000円で最寄駅まで車で送ってやる」と言われたので、半信半疑ではあるがそのおじさんの車に乗り込むことにした。

そのおじさんの本業はタクシー運転手で、僕のような終電を無くして困っている人を探して個人で送迎する所謂白タク?をやっているらしかった。

最初は半信半疑だったもののそのおじさんは悪い人ではなく、はるばる30分程運転して僕を最寄り駅の国分寺駅まで届けてくれた。世の中捨てたもんじゃないなと穏やかな気持ちで3000円を支払おうとしたところ、「フェラチオさせてくれたら無料でいいけどどうする?」との提案を受けた。一瞬、脳が理解することを放棄する感覚に陥ったが、それを振り切ってよくよく話を聞いてみるとおじさんは自称ゲイで、よくこの手を使って若い男のチンポをしゃぶっているらしい。僕は丁重に断ってきっちり3000円を支払い、その上で「まあ双方同意ならいいと思いますけどね」とか言ったりした。本当に不思議な日でした。

8/15

友人の家で餃子パーティーをするというので、材料調達の為昼から買い出しへ。餃子に何を入れてやろうか、いっそのこと日高屋で冷凍餃子でも買っていくお笑いでもやってやろうかなど考えながら、結局当たり障りのないニラやチーズなどを買い、酒やつまみも買い込んだ。一通りの買い物が終わり、パンパンになった袋を持っていざ友人の家へ!と思った矢先、餃子パーティーをする上で一番大切であろう餃子の皮を買い忘れていることに気がつく。慌ててスーパーに戻って餃子の皮だけ買いました。

全ての買い物を終えて合鍵で友人宅へ入ると、家主であるその友人はまだ帰宅しておらず、とりあえずタバコを吸おうとベランダへ向かうと死にかけのセミが仰向けになっていた。僕は僕が知っている生物の中で世界一セミが嫌いなのでそれに近寄ることすら出来ず、箒の先にちりとりをくっつけた武器を作ったりして退治を試みたもののダメだったので、諦めて外でタバコを吸った。だから夏は嫌いなんだよな。結局セミとか大丈夫な奴に全てやってもらいました。俺は本当に何にもできないな。

餃子を作って食べて酒を飲んで深夜、アイスボックスにストロングゼロを入れた飲み物を飲みながら、花火をしに近くの公園へ向かった。300本入りの花火を最初は一本ずつ楽しんでいたものの、あまりの多さに途中から飽きてきて束のまま花火に火をつけて「たいまつごっこ」などと言ってふざけていたら、めちゃくちゃ火傷しました。その火傷によって出来た水膨れが可愛かったので愛でたりしていましたが、火傷したこと自体は普通に後悔しているので、もうこんなことはやりません。

8/16

昨日の友人の家で起床。特に何もしない時間が4時間くらい続いた。女達が化粧をする所を眺めながらうとうとしていた記憶がある。

夕方6時、吉祥寺の美舟へ。もう通い始めて1年くらいになる。美舟の酒はいつも濃すぎるし、飯は人ん家で食う味がする。だがそれでよく、それがいい。

いつものように2階の畳部屋へ行くと、部屋の奥に今までは無かった喫煙所が出来ていた。店のおばちゃん曰く、この時期なので座席での喫煙が禁止になったのだそうだ。今夏一番のショックな出来事である。あの美舟でさえも禁煙に陥らせたコ/ロ/ナは本当に罪だ。喫煙所がある美舟の姿など見たくないし、煙たくない美舟なんて、ほうれん草の無い家系ラーメンみたいなものですよ。やっぱりちょっと物足りなかったです。相変わらず酒は濃かったのでそれはいいんですけど。

帰り、国分寺駅からすぐそばの「くにがまえ」という家系ラーメンを食べて帰った。深夜2時まで営業しているので終電で帰ってもまだ間に合うありがたさに感謝しつつ、ラーメンと大盛りライス2杯を胃に納めた。いつもはくにがまえを食べ終えると躁状態から一気に鬱になるけど、何故かこの日はそうはならずに済んだ。この3日間の酒を飲み続ける生活が幸せすぎたのかもしれない。帰り道ちょっと泣きそうになりました。

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