山下洋輔さんとジャズの地平線
山下洋輔さんと若手ジャズプレイヤーの共演を楽しんできました。
2024年7月15日(月)
JAZZ Horizons ジャズの地平線 〜世代を超えた共演〜
@板橋区文化会館 大ホール
山下 洋輔(pf)
馬場 智章(ts)
石若 駿(ds)
類家 心平(tp)※代演
First Set
①メンバー一人ずつのソロをフィーチャーした40分の大曲GUGAN
Second Set
①New Horizon ②First Bridge ③Alone,Alone and Alone ④A Night in Tunisia
Encore
①5・7・5
山下洋輔さんに興味を持ったのは、ジャズを勉強し始めたときに著書「山下洋輔のジャズの掟」を読んだことがきっかけです。初学者にジャズの「いろは」をわかりやすく書いていて、読む人に寄り添うあたたかい言葉選びにやさしさを感じたので、御本人に会ってみたい!と思ったのがきっかけでした。
山下洋輔さんといえば日本を代表するジャズ・ピアノプレイヤーです。フリーでエネルギッシュな演奏が有名で、オーネット・コールマンやセシル・テイラーとも共演されたことがあります。そんな彼が勢いのある若手と組んでライブをするということで、東京まで観に行って来ました。
開場前から入場待ちの長蛇の列ができており、ご高齢の方が多かったです。
ジャズに関心がある人がこんなに多いのか!と嬉しくなりました。
チケットはB席で¥5,500。今回の会場はライブハウスではなく普通のホールのため、もちろんドリンクチャージはなし。
First Setは山下洋輔さん作曲のGUGAN。舞台に一人ずつ出てきて即興演奏~最後に合奏する40分の大曲でした。終わりの見えない、テーマがわかりにくい即興演奏は集中して聴くのに忍耐力が求められますが、お客さんは食い入るように見ていました。
僕はというと、普段ジャズに親しんでいますが、正直に言ってキツかったです。
ただ、ピアノに向き合ってひたすらに自分の音楽の世界を構築していく山下さんは、「俺の音楽はこうだ」と背中で語っているようでかっこよかった!
会えて良かった!
20分の休憩の後、Second Setが始まりました。ここからは全員による合奏で、どの曲も各人にはたっぷりソロスペースが与えられていました。
特によかったのが「New Horien」での馬場智章さん(ts)。
まるでウェイン・ショーターのような繊細なサウンドとマジカルなフレーズで、これは他の人には真似できないと思いました。映画「Blue Giant」の演奏しか聴いたことがない人に是非聴いてほしい演奏でした。全然違うスタイルだよ!
山下さんは我をあまり出さずに、全体のことを考えてサイドマンに徹していました。
バンド全体をコントロールしていたのは石若駿さん(ds)で、彼も我を出さずに各人に寄り添ったり、時には力を引き出すように煽るような演奏もされていました。
驚いたのは「First Bridge」での類家心平さんの演奏。メンバーの中で最も先鋭的な演奏をされていましたが、この曲ではブギウギ調の昭和っぽいスタイルにピタッと寄せて吹いており、引き出しの多さにびっくりしました。
今回のコンサートは世代を超えた共演のサブタイトルの通り、年齢もスタイルも違う奏者が集っていましたが、それでも素晴らしい音楽を即興で組み立てられるところがジャズの面白さだとはっきりわかりました。来てよかった!